鈴木三郎さんの「野鳥散策(57)チゴハヤブサ(ハヤブサ科)」(05・08・27)
 
      12枚の尾羽が扇のように広がった。

  全長  28〜31センチ・絶滅危惧2類に指定

  わが家の近くで繁殖する渡り鳥ですが、毎年営巣場所が変わるのでどこに巣を構えるかはじっくりと観察を続けないと分かりません。

  自分では巣を作らず、カラスなどの空いた巣を拝借する習性があります。
 
  真横から見る翼は細長く、いかにもスピードが出そうな感じだ。   7月31日、親に餌をねだるヒナ。

  5月頃に南から渡ってきて6月になってから繁殖に入ります。この時期は殆どの野鳥たちが子育てを終わっている頃で、空いている巣を探しやすいことでしょう。

  北楢岡地区の中心部は神社とお寺が並び、境内の大きなケヤキとイチョウがこんもりとした林を造っています。
 
  丸々と太ったヒナ。真っ白い綿毛(めんもう)が少しずつ抜け、次第に褐色の羽が見えてきた。   左から第1子、2子、3子の順と思われる。

  地区を通る国道13号はかなりの交通量で、とても静かな環境とは言い難いところです。しかし、チゴハヤブサはこの場所を気に入ってくれたようです。

  今年は神社の杉の木で営巣を始めましたが、この場所は5年ほど前にも使った場所でした。

  親鳥は境内で一番高いケヤキのてっぺんに陣取り辺りを警戒し、雛のいる巣に近づく鳥は徹底して追い払いにかかります。遠くから自分より数倍も大きいトビがゆっくり飛んでくるのを見つけると、番(つがい)が協力してすごいスピードで襲いかかります。キーキーキーッ、甲高い鳴き声を響かせ上から下から攻撃されたトビは逆さになりながらやっとのことで逃げ去ります。
  8月9日、巣立った3兄弟。「ヒナ」から「若鳥」と呼ばれるまでに成長しました。   周囲に目を配り、親が運んでくる餌を待つ。

   カラスには1日に何回も攻撃を仕掛けるので、頭のいいカラスはだんだんと近づかなくなりました。やっと安心できる縄張りを確保できた頃に雛が誕生しました。

  7月21日、白い綿毛にくるまれた雛3羽が巣から顔を覗かせました。

  高い位置と小枝に囲まれた巣は見つかりにくい場所にあり、撮影出来るポイントもなかなか見つかりません。木の下を360度ぐるりと回って、やっと2カ所見つけました。
 
  羽を伸ばした姿はもう立派な若鷹だ。   親から受け取った餌のツバメは、まだ生きてました。

  白い綿毛に包まれた雛を見ると猛禽類の子供とは思われないかわいらしさです。
 
  颯爽と飛び立つ直前の若鳥。

  3羽の雛は順調に育ち、8月13日には元気に巣立ちました。雛に運んでくる餌はオニヤンマ、アブラゼミなどの昆虫類が多いですが、時にはツバメを運んできたこともありました。素早い動きで宙返りするツバメを捕まえるチゴハヤブサは、さらに敏捷に旋回する優れた飛翔能力を持っているのでしょう。(大仙市北楢岡住・日本野鳥の会会員)