先日、地元の新聞記事を読んでいたら、私の暮らすサンノゼ市を中心としたサンタクララ郡は人口200万人を遙かに超えている大きな都市圏なのですが、その地域で、この1月に住宅を売りに出している物件数が1000件を割り込み、超物件不足の状態にあるとの記事がありました。
人口の流入が多く、極端な住宅不足が続き、住宅価格は上昇の一方で、完全な売り手市場にあるのですが、家の売却は簡単でも、次に本人達が生活の為に購入しようとする物件が簡単に見つからないと云う状況が、この珍現象を起こしているそうです。
日本の銀行の預金金利の20倍と云う魅力的な利息でも、平均的なアメリカ人は銀行貯蓄を利用した資産運用に、あまり強い関心を示しません。多くの人達の資産はミューチュラルファンドと呼ばれる投資信託(日本の投資信託に比べて高度に研究されているもののようです)と、もう一つが住宅取得です。住宅取得に関しては税制上からも大きな優遇策があり、住宅価格の値上がりが非常に魅力ある資産作りであると同時に大きな節税効果を生み出すことから、夫婦合算の確定申告上の優遇策で認められる4軒の住宅を持つ人もそれほど珍しくありません。
そんなことから自ら購入した家で長く暮らすと云う考えより、家族構成と生活のレベルに応じて家を移り、次第に大きくなった家を退職時に売却、最後は気にいった土地に夫婦だけで暮らせる便利なこじんまりした家を購入し、過去の住宅売却益を老後の生活の一部に充てると云う人も多く、住宅購入による資産作りを盛んにさせている訳です。従って住宅は生活の場であると同時に重要な資産ですから、常に、より高価に
売却出来るチャンスを狙い、住宅そのものの手入れや庭を綺麗に保つことを怠らないと云う発想が出てくる訳です。まあ、自分の家は売り物として常により良い商品に保つ努力をしている訳です。
さて住宅の価値判断は?と云うと日本の考え方と少し違いがあります。まず日本だと交通の便利さが重要なポイントになる訳ですが、こちらでは住宅は、場所は多少不便でも安全で静なところにあると云うことが重要視されます。駅や空港まで何分とか、高速道路への入り口に近いと云うことが住宅地としてはマイナス要因になる場合が多いようです。極端だと思うのですが、一人暮らしで病気になったらどうするんだろう?と思うような山の中の一軒家的な感じの家が結構人気あります。
新築家屋のほとんどは建て売り方式で、今は屋根材や内装はオプションと云うところが多く、床材、カーペット、壁紙等々は色柄材質などを自分で選ぶことが出来ます。無論、最終的には価格と予算に関係してきます。寝室やバスルーム以外の部屋には扉がありませんから暖房は集中方式で全ての部屋、通路やバスルームまで暖まります。(余談ですが、この時期に日本の家に泊まるとトイレと風呂場が寒いのに驚きま
す)。この設備のおかげで冬でも薄着生活が出来る訳なんですが、これは燃料費の安い国だから出来ることだと思います。
家のサイズは住宅建坪と共に3BR2BAと云うような表現で示され、寝室とバスルーム(トイレ、浴槽、洗面所が一体です)の数で表記されます。寝室数は3,4,5ぐらいが標準で、バスルーム数としては最低2ユニット、本音は3ユニット以上を欲しがります。アメリカの住宅の一つの特徴はバスルームに多くの面積を削くことのように感じます。これ以外にキッチン、ダイニングルーム、リビングルーム、洗濯室と大体2台の車が完全に収納出来るガレージが一つの家の単位となる訳です。
最近の家の流行はリビングルームと同様のサイズの部屋をファミリールームとして加えられることです。ファミリールームは日本で云う居間として扱われるリビングルーム、リビングルームは接客用の応接室となる訳ですが、お互いに扉で仕切らないのも特徴です。同じ建屋構造の家であれば、2−3割の土地の大きさが変わっても住宅価格にはほとんど反映されません。1000坪を超えるような大きな宅地で無い限り、その土地面積は表示されません。とは言え、サンノゼのように住宅建築事情が悪化している町では一戸一戸の土地サイズは次第に縮小の傾向にあり、ちょっと前までは一戸分の土地は前庭:1、家の敷地:1、裏庭:1の比率で割り振られていた住宅地が、最近は外から目立たぬ裏庭の面積が極端に縮小傾向となり、新しい家を訪問すると裏庭が随分狭くなっていることに気づきます。
さてその住宅の付加価値を高めるものは?と云うと、プール。見た目は非常に良く、日本人には憧れ(?)の的であり、リッチさの象徴のようにも感じさせるのですが、清掃や藻の発生を防ぐ薬品、フィルター代、水を循環させるポンプや水温を保つヒーター等の電気代に水道代と云う具合で、その維持コストが高く、お金をかけてもほとんど利用しない人が多く、最近はプールは敬遠され、家の付加価値を高めるどころか、購入条件としてプールを埋めて欲しいと出されることもあります。次に暖炉。実際にはサンノゼ地域の住宅で冬の暖房に暖炉を必要とすることはないのですが、ちょろちょろ燃える暖炉の火は家の暖かさのイメージを作り出す効果が大きく、リビングルームに一つ、ファミリールームに一つと云う具合で、暖炉の数は住宅の付加価値を大変高めますし、子供だけで無く、アメリカ人は暖炉の前に座るのが好きです。
冷房。これはアリゾナやテキサス等、南部の州では必須の設備なのですが、サンノゼの夏の気候が超低湿度で大抵は毎日午後から寒流の影響で冷えた海風が吹くために、日差しは大変強くても、日陰に居れば涼しいと云う環境から冷房設備はほとんど必要ありません。そんな訳で、この設備はマイナスではありませんが、プラスにもなりません。
キッチンの間取り。これは住宅購入の決定権を持つ奥さんに非常に影響力があります。流行は広く明るいキッチンと十分な収納スペースですから、売却する前にキッチンをより魅力的に改造してから売り出す人が多くいます。(にも関わらずアメリカ人の奥さんはほとんど料理をしませんから不思議です)庭。庭のデザインや草木に好き嫌いがありますから、相手によってケースバイケースとなる訳ですが、綺麗に維持管理された庭を持つ家は、家そのものの手入れも良いだろうと云う買い手の判断から、家が早く売れることが多いようです。
まあ、そんな訳で、こちらで暮らしていると、自分の家が現在はどの程度の価格帯にあるのか?がいつも気になり、近所の家が売りに出た場合は価格の入ったチラシを手に入れたり、不動産屋から近所の相場を聞いたり、新聞情報を手に入れたりで、株の売買並に住宅価格の上がり下がりは気になるところです。
岩間@サンノゼ