岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(81)求人求職−1」(2月28日)

 こちらサンノゼはまたまた、雨の週末になってしまいました。本を読んだり、資料をまとめたりするには良い週末と云う訳なんですが、やはり終日家の中にいると、つい睡魔が襲ってきます。

 サンノゼを含むシリコンバレー地域の失業率は1.0%強の数字になったそうです。アメリカ全体の平均が4%台ぐらいだと思いますので好景気のアメリカの中でもこの地域が如何に求人が多いかと云う一つの例だと思いますが、やはり仕事を求める立場としては何でも良いと云う訳には行かず、それなりに自分の能力や経験を認めてくれて、それに見合うポストや給与などの諸条件が整った企業に就職したい訳ですし、採用側も採用後、直ちにそのポストに見合うレベルの仕事をこなす能力を持つ人を採用したい訳ですから、お見合い同様(例が良くありませんね)、双方にとって、やはりそれなりの難しさがあります。今日はアメリカの就職に関わる話をしたいと思います。

 日本のように特定の時期に一定の人員を一度に採用する定期採用なるシステムがほとんど無い国ですから、官庁でも一般企業でも職場に空きポストが出来たり、増員の必要が生じた場合、その都度、その職種と人員に限定して求人作業を始めます。今まで、この求人案内の媒体には、ほとんど地元新聞に頼ってきました。現在でも毎日の新聞紙面の10ページ以上がこの目的に用意されていて虫眼鏡が必要なほど小さ
い3行広告と呼ばれるものから、1ページサイズの巨大広告まで、職種、勤務地、必要な技量、資格、実務経験年数や応募方法等を記述した求人広告が載せられています。

 また、日本では合同求人説明会と云う言葉?かと思いますが、ジョブフェアーと云う特にハイテック企業が一同、大きな会場に集まり、求職者に対して各企業がブースで、必要とする職種や採用条件等の説明をしたり、求職者に具体的なアドバイスをしたり、求職者の履歴書を受け取ったりする等の便宜をはかる機会が定期的に開催されています。ただ、このような場はあくまでも案内であって具体的な採用面接をする場
ではありませんし新卒者向けとか、転職者向けと云う区別もありません。要は企業としてこういう人がほしいので応募して下さいと云う訳です。

 更にハイテック企業を中心に最近増えているのがインターネットを利用した求人求職情報の提供です。各企業のホームページを見ると、必ずJOB OPPORTUNITYと云うページがあり、そこには現在、その企業が求めている職種や採用条件、応募方法が記載されていて、定期的に更新されています。また求人を専門に情報提供したり、逆に求職を専門に情報を提供するインターネットを利用したサービスビジネスが増えてい
て、求人求職側、双方もそれらの情報サービスを利用する場合が増えているようです。これからの動きを予想すると多分、インターネットが求人求職案内情報の主役になるのではないか?と思います。

 さて、求職側として自分の能力に見合うと判断して応募する場合に、履歴書を指定の場所に発送するのは日本も同じだと思いますが、その履歴書の中身が実は日本とは大変な違いがあります。まず履歴書の定型フォームなるものがありません。履歴書の記述や形式は応募者にとって自分の個性の主張と如何に魅力的な印象を第一印象として求人側に与えるか?のポイントになりますから、最大の注意を払う作業です。現実に随分多くの人を採用した経験からすると、読みにくい形式や内容の履歴書はまず没!の対象になってしまいますし、スペル間違いなんかを見つけると関心は半減してしまいます。

 さて、その履歴書の中身ですが、氏名、連絡先、最終学歴、資格、実務経験(職歴)、趣味の記述が主体となります。その中で一番重要なのが実務経験の記述です。いわゆる何年何月から何年何月まで何処の会社で何のポストで仕事をしていたか、その仕事の内容や、どのような成果を出したかを短文にして内容濃く表現することです。

 従って、実務経験の少ない新卒者は大学卒、高校卒に限らず、一番不利な立場になってしまいます。「勉強に専念していたので実務経験はありません」と記述した場合、まず採用の対象にならないのが普通ですから、学生時代のアルバイトやインターンシップと呼ばれる在学中の実習経験を最大限表現するか、もしくは必要な能力があると認められる為の資格を記述して、そのマイナスを補います。無論採用側もやむなくエントリーレベルと呼ばれる無経験者を対象としたポストで募集することはありますが、はっきり云って給与的にも仕事内容的にも魅力に乏しい場合が多く、学歴もほとんど認めらず最低給与に甘んじる等、それはなかなか苦しいスタートになってしまいます。

 逆に履歴書の中で、記述が必要無いものは生年月日、生まれた国や都市、男女、人種、既婚や未婚、家族情報、親族情報等で本人の顔写真の添付は必要ありません。これらの記述を求めることは差別と云う観点から法律で厳しく禁止されています。簡単な話、日本にある履歴書定型フォームへの記述を求めたら、求人側はかなり重い罪で罰せられると云う訳です。

 履歴書の発送は以前、郵便主体でしたが、ファックスに代わり、今はほとんどインターネットに代わりました。応募条件マイクロソフトのワードフォームでEメールに添付して発送して下さい。と云うような記述があったり、連絡先にEメールアドレスが記載されている場合はこの条件に該当します。求人側としては応募者が最低レベルのパソコン操作能力を持っているか?の判断も出来ますし、履歴書受け取り後の整理や管理もしやすいし、担当部門への転送も簡単な訳です。

 採用システムが先ほど説明したように定期採用で無い為、採用に関して人事部門が深く関与することはほとんどありません。応募者からの履歴書を受け取った人事部門は求人を依頼してきた部門の職歴要求に合致しそうな履歴書であれば、その部門のマネージャーに転送し、そのマネージャーが受け取った履歴書の記述を具体的にレビューすることになります。その履歴書の中から選別されて採用側として関心が持た
れた応募者が、次にインタビューと云う面接段階に進むわけですが、この話は長くなるので次回とします。

では

岩間@サンノゼ