こちら編集室「人間関係」(5月19日)

  秋田市内で先日、秋田テレビと秋田放送の記者とお酒を飲む機会があった。秋田テレビの加藤さん、秋田放送の神谷さんである。お二人ともこの「秋田県南日々新聞」をテレビで取り上げ、ニュースとして県内に映像を流して下さった方である。たった一人のインターネット新聞を取り上げ、社会的にその存在感を高めてくれた大恩人なのである。いつかはいつかは、お二人にお礼も兼ねてお酒を共にしたいと思っていた。以前は出費ばかりの新聞なので、秋田市まで出かけ泊まり掛けの飲み会の企画なんて夢としか思えなかったのだが、やっとこのごろケンニチは少しばかりのゆとりを生み出した。そんなことから加藤さんに相談した。お二人とも大喜びで秋田市内の小料理店をセットして下さった。

  秋田市の「キャッスルホテル」に電子メールで宿泊を予約した。ケンニチは立ち上げて以来、ささやかながらも自分の事業として独立採算制を取ってきた。広告収入と大曲駅の観光情報センターのプラズマへのニュース提供、それに「おばこネット」が管理運営するホームページへの表紙写真の更新、そして「おばこ特集記事」の取材と原稿料でどうにかこうにか取材にかかるガソリン代などの経費を上回る収入を得るようになった。そうなると見栄っ張りの自分はどうせ泊まるなら秋田市内の一流ホテルへと気負いたくなる。

  このホテルへの宿泊は今年に入って2度目だ。さすが秋田市でもトップクラスのホテルだけ合ってフロントもロビーの雰囲気もいい。約束の時間までロビーで新聞に目を通しながら時間をやり過ごしたが、ホテルの感じの良さは気分をも和ませた。中でも嬉しかったのはお会いする加藤さん、神谷さんのお二人に渡したいと思った資料があり、そのコピーを依頼した時だ。ある程度の紙数もあり、当然、有料だと思っていたがホテルでは「いいえ。サービスさせて頂きます」とステキな笑顔と優しい言葉でお金を受け取るのを断った。秋田の人はサービス下手だと良く言われるが、このホテルで受けた印象は少なくともその評判を払拭してくれた。

  飲み会の会場となった小料理店ではJAあきた経済連の方と女性の雑誌編集者とも同席だった。いずれの方も初めての人だったがお酒の好きな秋田人である。直ぐに打ち解けて生ビールでのカンパイとなった。経済連の方も雑誌編集者の方もこちらがインターネットで新聞に取り組んでいることにとても興味を示してくれ、話題は弾んだ。加藤さんも神谷さんもケンニチがやっと少しばかりの収入を上げ、こうして秋田市へ酒を飲みに来れるようになったと言うと自分の事のように喜び、「良かった。良かった」と言ってはカンパイのグラスを傾けた。

  中でも神谷さんの話は面白かった。神谷さんとは神谷さんが横手支局に勤務していたころから知り合いだったが、本社に異動になってインターネットで「秋田県南日々新聞」を見つけた時は、まさか自分がやっているとは年齢的にも考えられず「一体、だれがやっているんだろう」と不思議に思っていたという。「失礼ですが、伊藤さんの年代でまさかインターネットで新聞をやっているとは思えなかったんです」と神谷さん。しかし、毎日、更新される記事を読んでいると「とても内容がクオリティーなんですよね。これは相当、ベテランの人でないと手がけない記事だ。それだけに不思議だったんです。誰なんだろうと」。神谷さんは仰った。

  余りにもお褒めの言葉を受けて恥ずかしいほどだったが、嬉しかった。「どうもおかしい。これはやっぱりプロの記者が書いている記事だ。とにかく誰なんだろうと思い、写真家の泉谷玄作さん(仙南村)に聞いたんです。そうしたら伊藤さんがやっているインターネット新聞だとなって。びっくりしましたよ。それで良し!。テレビで取り上げようと取材することになったんです」とその経緯の報告だった。

  一方の加藤さんは大曲市出身。自分の事は中学生のころから知っていたと言い、「伊藤さんはいつもトレンチコートを着て町を歩いてたんですよね。あれが格好良かった。さっそうと歩いてたんですよ」と随分、昔の事を記憶していた。そうそう。30代のころはそのようなコートを着ていたかもしれないとこちらは答えた。その当時、こちらはまだ中学生だったと言う加藤さんのことは知るよしもなかったのだが、人間はどこでどんなふうに人に見られているものか。“人の目”があると良く言われるが、普段の行動は大事なものだと思った。その加藤さんも今では30代。秋田テレビのベテラン記者として活躍されている。

  話を聞いていた経済連の方も女性編集者も話題が今年2月の「空飛ぶケンニチ」に及ぶとさすがに目を輝かして「それはすごい。インターネットって、これまでとは考えられないような人間関係を生むんですね。いいなー」と感動していた。本当にいまだにあの日のことはケンニチの忘れられない思い出である。加藤さんも神谷さんもまるで自分のことのように「空飛ぶケンニチ」を話題にし、お二人に自慢してはビール、酒を口に運んだ。こちらもどんどん酒が進み、翌朝、ホテルの部屋で目覚めた時はいつどんなふうにして帰って眠ったのか記憶さえ失っていた。いずれ朝の目覚めの良さから判断しても気持ちよく飲み、気持ちよく酔ったのだろう。

  とにかくお酒を飲みながら、ケンニチは加藤さん、神谷さんというテレビ局の記者から本当に温かい応援を貰い、運営されているんだという思いで心底、嬉しかった。いつかまた機会を見つけ、声を掛けてほしいとお二人に願った。ええ。いつでも秋田市に出かけますから・・・。

  ケンニチはこのようにして念願だった秋田テレビ、秋田放送の加藤さん、神谷さんと秋田市で泊まり掛けで一緒にお酒を飲めるまでになった。読者にも心配をかけたが、疲れ切ったパソコンもこの秋までには何とか新しいものに買い換えられるだろうと思っている。ひんぱんに画面が真っ青になり、そのたびに馬の尻にムチをあてるような感じで「コラッ!」とばかりにキーボードをパチンと叩いては気合いを入れ、正常な画面に戻しているのだが、いずれは限界が来ることだろう。秋ごろまでには何とか新しい機械に切り換え、もっと安心して運営できるケンニチにしたいと思っている。

  心配。本当にこのケンニチは読者に心配を掛ける新聞である。こちら編集室を読んでは一喜一憂される読者の方もおられる。記事の間違いを指摘し、「お一人でやっておられるので目が届かない面もあるでしょうが、頑張って下さい」とメールで励まして下さる県外の読者もいる。中には本を読んで感動し、こちらにもその感動を分かち合いたいとばかりに本を送って下さった読者もいる。童謡詩人「金子みすゞの宇宙  みんなちがって、みんないい」は今も自分の大切な本として記者室の机に保存している。この方とはこれまで何度かお会いした。でもまた会いたい。心底、会いたいと思っている。ケンニチは時には行き届かない面もあるかもしれないが、これからも読者一人ひとりとの交流を大事にし、人間関係を温めあいたいと思う。相方向性が可能なインターネットの機能をフルに活用して。