サンノゼは昨日から真夏日の天気になりました。今日、日曜日も気温はどんどん上昇して最高は摂氏35度ぐらいまで達しました。明日はもっと暑くなると云う予報です。とは云え、いつもながら湿度は極端に低い為、暑さは感じても、汗をほとんどかかないと云う気候です。これが、この土地の暮らし易さだと思います。
今回は先週の続きのような話題なんですが、市民権と永住権についてお話したいと思います。当たり前と云えばそれまでなんですが、アメリカで市民権を持つと云うことは、すなわちアメリカ国民になると云うことです。
日本では両親(両親の何れかが日本人であれば良いと云うような話を聞いていますが?)の日本国籍に基づいて、子供は日本国籍を取得出来る訳ですが、アメリカは国籍は出生地主義に基づいている為、両親の国籍如何に関わらずアメリカ国内で生まれた子供はアメリカ国籍を得ることが出来ると云うシステムです。従って、外国からアメリカに旅行に来ていてその間に出産した子供はアメリカ人であり、日本の駐在員の奥さんがアメリカで出産した子供もアメリカ人、不法入国でアメリカに滞在している母親から生まれた子供も、親の資格と関わりなくアメリカ人として市民権を得ることが出来ます。
アメリカには日本では当たり前の戸籍が存在しません。どうしてアメリカ人であるかを証明するかと云うと、出産した病院が発行する出生証明書が全てです。市役所には戸籍も住民票もありません。ですからパスポートを申請する場合も、この出生証明書のコピーの提出を求められます。もう一つの特徴はアメリカには個人が複数の国籍を維持することを禁止する法律がありません。つまり、アメリカ国民であり、他の国の国民でもあると云うことが可能です。特にヨーロッパの国の出身者には、この二重国籍者が沢山います。先ほど説明したように日本国籍を持つ母親がアメリカ国内で出産した場合の子供は当然ながらアメリカ人ですが、現地の日本国領事館に指定期日内に届け出ることによって日本国籍も取得できます。つまり子供は二重国籍者になりますが、21才の時点でどちらの国籍を選択するか本人が選ばなくてはいけません。従って日本人の場合、公式に二重国籍者であり続けることは困難です。
それでは永住権とはどんなものか?と云うと、国籍はアメリカでは無いけれども、法的にアメリカ国内での無期限の生活が認められる権利です。生活と云うことは当然ながら自由に仕事に就くことを認められる訳です。いわゆる移民者の資格です。この永住権資格を証明する身分証明書が、その昔、緑色のフィルムでラミネートされていたことからでグリーンカードと云うのがこの資格の俗称になっています。もっとも現在のグリーンカードは緑色をしていませんが、名前はそのまま残っています。
永住権資格の維持には1年の半分以上の期間、アメリカ国内で居住していること。アメリカ国内で納税義務を怠っていないことなどの条件があります。その昔は永住権を取得した後、日本に戻っても年に一度ハワイに遊びにくれば永住権を維持出来たと云う話も聞いたことはありますが、現在は不可能でしょう。
永住権は資格であり、新規の年間発行数に制限があり、優先順位別にカテゴリーが決められていて、且つ、特定の国の申請者に実際の発行が偏らぬように、人種毎の制限数が定められています。取得のシステムは本人の申請に対して移民局が審査し、妥当と認められた場合に発行されます。優先順位のカテゴリーはアメリカ市民の直近親族や未婚の子供などが第一優先、次に移民ビザ保有者の配偶者や未婚の子供が第二優先、以下、知的職業人とか芸術や科学で特に優れた能力を有する者、等々、第7優先の難民、最後に優先順位なしと云うカテゴリーもありますが、現実に優先順位無しのランクまで割り当てがまわることはほとんど無いようです。永住権希望者でアメリカ人親族等のつてが無い人は第6優先であるアメリカ人が不足している分野の労働者と云うカテゴリーで申請をおこなうことになります。ただここ証明がなかなか面倒で、申請者個人だけでは解決出来ぬ問題も多く、採用側の協力が無ければ不可能な状況で、現実には皆さん、相当苦労をされている訳です。
また、現在、永住権取得に関わる大きな問題として申請後、全てが旨くはこんだと仮定しても最短、この永住権取得には2年半程度の期間がかかります。増して優先順位が低いカテゴリーでの申請者は条件が満たされていても3−5年の期間が必要になっています。かってはアメリカで一旗挙げると云う気概と健康な身体の条件が揃っていれば永住権の資格を得ることが出来た訳で、移民によって出来た国であり、移民システムの継続がアメリカの活力維持に絶対に必要であると云う世論と移民がアメリカ人労働者の仕事を奪っていると云う世論は景気のアップダウンに交互して盛り上がり、特に景気の悪い時期には、政策的に移民者数を制限しようとする動きが直ぐに出てきます。
この永住権の取得に関係して実は今までお話したシステムと関わりの無い妙な制度があります。上記のような制度で注意深く永住権を発行していても、自ずから移民の出身者が多い国と少ない国が生じます。つまり移民者の人種的な偏りです。これを調整して移民者の人種のバランスを計る目的の時限立法として生まれたのが、毎年約5万人分ほど抽選で永住権を与える制度です。つまり、アメリカへの移民者が少ない国の人達を対象に、希望者は郵便で指定期日までに応募すると、その応募者の中から抽選で永住権が当たると云う制度です。
応募資格が該当国籍を持つ人と云うだけで、制限が無いために、毎年世界中から250万人ぐらいの応募があり、抽選による当選者数は5万人と云う難関なのですが、毎年200人ぐらいの日本人の方も、この永住権を手に入れているようです。随分、運の良い人だと思いますが、実際に私の知り合いの方でも、この抽選で永住権を手にした人が2人います。
昨年、日本の留学関係の本を見ていたら、この抽選の書類提出の代行業者の広告を見つけ、5000円ぐらいの費用を請求していたようでした。特別な書式がある訳で無く、名前、住所、連絡先等を箇条書きにする簡単な内容で、申し込み費用もなく、郵送するだけの簡単なもの、この作業費用として5000円を徴収し、しかも広告にはあたかも当選し易くなるような記述があり、悪徳なものだと驚きました。
さて永住権から市民権への資格の切り替えですが、永住権を持って7年間(5年間?)アメリカで犯罪を犯すことなく生活すると、簡単なアメリカの歴史や社会制度を知っていてかつ簡単な英語能力があると認められる試験を受けることによって市民権に切り換えることが出来ます。
永住権と市民権の権利の上での大きな違いは永住権保持者には選挙権及び非選挙権の資格が無いこと、逆に永住権保持者はアメリカ市民の義務とされる裁判に関わる陪審員義務が無いと云うことや警察官や裁判官のような職業に就くことが出来ないと云うようなことですが、現実の生活上はほとんど違いが無く、税の責任やその他の権利はほぼ同一です。
しかし、現在、アメリカは好景気に浮かれて世論でも問題にされませんが、景気が悪くなると、社会保険や年金等、国の福利厚生等で、永住権保持者に対しての権利に制限を加えようとする議会の動きもある為、昨今、市民権を得た方が将来が安心と思う永住権保持者は増えているようです。二重国籍を認める出身国の人達にとってはアメリカの市民権を得ると云うことは何ら大きな問題である訳はありませんが、二重国籍を認めない日本の出身者にとってはなかなか難しい問題です。特に私のような古い人間にとっては、日本国籍を捨てると云う気持ちにはなかなかなれません。
では
岩間@サンノゼ