岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(92)お盆祭り」(00・7・10)

 日本の学校はこれから夏休みですね。こちらサンノゼでは、ボツボツ夏休みも1ケ月を迎えます。ただ高校や大学となると、夏休み期間中でも夏のクラスは開講していて、勉強が遅れている学生や普通の学年より先行して単位を取得したい学生達は、この夏の授業に参加していますから、必ずしも夏休み中、全ての学校が休みになると云う訳ではありません。

 今日は7月8日と9日に行われましたサンノゼのお盆祭りのことをお話したいと思います。サンノゼ市のダウンタウンに近い住宅地域に、ジャパンタウンと呼ばれる一角があります。戦前は移民されてきた日系人の方が、この地域に沢山住んでいたようですが、現在は実際、この地域で生活されている日系人の方は、それほど多くありません。それでも日本食のレストランが10店舗ほど集中し、本願寺の別院のお寺、日系
人キリスト教会、日系人を中心としたシニアセンターや老人ホーム、日本食材店、日本の食器や化粧品店、ゴルフ用品店、豆腐屋さんに和菓子屋さん、空手道場に、生け花を始めとする諸々の習い事を教えるクラスなどもここを拠点にしているところが多いので、やはり、サンノゼ地域における日本文化の中心地だと思います。

 15年ほど前まで、この地域は夜になるとあまり安全ではないと云われたこともありましたが、一つは日本食のポピュラー化によって多くの人が足を運ぶようになったこと。地元日系人が町の再開発に積極的に取り組んだこと。サンノゼ市が治安に接触的に取り組んだこともあり、旧市街の雰囲気を残したままですが、この区域は見違えるほど良い町になりました。

 サンノゼ市内の日系人のお祭りとしては春の桜祭り(これは日系キリスト教会が中心に運営)と、このお盆祭り(これは日系仏教会が中心に運営)の2つがあります。以前は本当に日系人だけのお祭りでしたが、最近は、この2つのお祭りは共にサンノゼ市の大きな行事として数えられるようになりました。

 お盆祭りは、直訳されて英語では Obon Festival となっています。行事の内容は日本食を中心とした多くの露天販売とやぐらを組んでの盆踊りです。今年の土日の参加者は2000人ぐらいだそうです。このお祭り、そのものは北カリフォルニア地域の日系移民者の方と、その家族の皆さんの大きな行事になっていて、周辺の仏教会のある町からはバスを貸し切って、お年寄りの日系人の方は孫やひ孫(現在は4世、5世の時代)を連れてここに集まり、友人と再会したりする、その交流の場にもなっています。

 さて盆踊りの参加者ですが、日本では考えられないくらいに多彩で多様です。まさしく国際的な(?)盆踊り。この地域の民謡会とか日舞踊会、カラオケクラブ等などに所属する人達は皆さんお揃いの浴衣で、これはなかなかのもの。しかし、一般参加となると、Tシャツ、短パン、はっぴにサンダル等は、まだまだ驚きませんが、着物を着込んでくる人、ゆかたと云うよりほとんど寝間着姿の人、どうみてもガウンに腰紐の人、果ては黒の紋付を羽織った人等様々。履物はもちろん白足袋に草履や下駄履きの本格派から、スニーカ、サンダル、革靴まで、これも多彩なんです。つまり日本の常識に拘っていてはこのお祭りは成立しません。下にTシャツを着こんで、短めの寝間着姿に黒の靴下を履いて、スニーカー姿で団扇を持って踊る姿はなかなか見物です。

 驚くのは毎年増えているのは白人の人達の参加です。10数曲の曲に合わせて踊るのですが、親子を含めてそれなりに練習を積んだと思われる家族。浴衣姿がとても似合う親子等など、このお祭りが地域に定着してきたことと、異文化の融合がこういう形で進んでいること等など色々感じさせられます。

 当然、仏教会が主催するお祭りですから、最後はやぐらの上にお坊さんが立ち、参加者全員が合掌、黙祷をして今年のお盆祭りも終わりました。

 ただ毎年、個人的には一つ残念なことを感じています。サンノゼ市内に事務所を構える日系企業の数は150社とか200社と云われていま
す。サンノゼ周辺を含めたシリコンバレー地域全体となると400社は超えていると思います。加えて、この地域に留学等で滞在している日本人学生も随分いると思うのですが、日系企業自体も、その企業で働く日本人の人達も、ほとんど、この種の日系人行事に関心が無く、ボランテイア等で手を貸すこともしないことです。移民家族を中心に広がってきた日系人社会と駐在員や学生として滞在している日系社会は同じ町に存在しながら、融合も協力もないことです。なぜか日本人と云うのは団体を作ってかたまりやすい反面、同じ仲間で無いと意識すると、以外に冷たくなってしまうんですね。 にぎやかなお祭りの中、今年もこんな気持ち持ってしまいました。

岩間@サンノゼ