岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(98)ブエノスアイレスへの旅−2」(00・9・4)

 夏のバケーションシーズンの終わりのサインのようなレイバーデー(勤労感謝の日とでも訳しましょうか?)の3連休を迎えています。この休みが終わると11月末の感謝祭の連休までは連休も無く一生懸命働いて!と云うことになります。しかし、この時期だど多くの家庭では夏のバケーションの予算を全て消化してしまった家庭も多いでしょうから、私の近所の方などは、出費のかさまない自宅の庭仕事に精をだしています。

 小さな公園からの街中の風景。今日はブエノスアイレスでの食事の話を始める前に、車に関わるこの町の感想を少し書かせてください。私自身、今まで日本の小型自動車はほぼ世界市場を制覇していると思っていたのですが、この町で見かける日本車の数は少なく、多くの車は欧州系のルノーとかフィアットの小型車です。タクシーも例外なく欧州メーカーの小型車でした。実はアメリカで見かけることのない車ばかりで、珍しい小型車ばかりと云うのが感想でした。本当か?どうか?分かりませんが、聞いた話では日本車はブエノスアイレスの街中に残る石畳の道に不適で、スプリングやショックアブソーバーが直ぐに壊れてしまうと云うのです。

 次に複数車線がある大通りで、車線を区分する白線に関わらず、車線を跨いで走行する車を結構見かけることです。車線変更が目的でなく、そこが空いているからの理由だそうです?。また、街中を走る流しのタクシーが異常に多いのです。しかし、乗客を乗せたタクシーは少なく、ほとんどは空車状態で流しているんです。この町のタクシーは全て個人タクシーでボデイーの色は屋根の部分は黄色、窓から下は黒と決まっています。国の失業対策の一環としてタクシーの認可を緩めたところ、一気にタクシーの数が増えてしまったようですが、乗客が増えない状況で、街中ではよく歩道に立ち止まっている乗客を探して、のろのろ走るタクシーが交通渋滞を起こしています。

 歩道で手を上げてタクシーを呼ぶと2−3台のタクシーが停まってしまい、客の争奪で運転手同士が客を忘れて口論を始めてしまうことがままあるそうです。最後に歩行者優先ではない町です。もちろん、この国の道路交通法(?)にそのように記述されているとは思わないのですが、歩行者が優先なんて思って歩くと、とんでもないことになりそうです。車の方は道路を横断する歩行者に対して、クラクションを鳴らして勢い良く飛び込んできます。そんな状況ですから歩行者も勇敢に道路に飛び出していきます。

 中学校の生徒。公立学校は昼で授業は終わりとか。さて今日のメインのブエノスアイレスでの食事をテーマに入ります。この国の名物と聞くと誰も口を揃えて世界一美味しいビーフとワインと言います。牛は人口の2倍以上いるそうです。人口的にイタリア系とスペイン系が圧倒的に多いことから、イタリア料理やスペイン料理のレストランも多いのですが、夕食として招待を受けると、やはりステーキかバーベキューの肉料理です。一人分、正味900gぐらいが相場のようです。ただ前菜として大きなイタリアンソーセージや胸腺や内臓料理なども沢山食べますから、一人、1kg以上の肉を食べているのは確実です。

 アメリカ流のステーキは熱い炭火の上で直接肉を焼き、表面を先に焦がして、肉のうまみを逃がさないようにするのがコツと理解してきたのですが、ここのステーキは薪を燃してその周りに肉を置いて(炉辺の原理?)じっくり焼くのが特徴と云うことで、これが甘く出来ないと一家の主人としての信頼は得られないそうです。焼く前に肉に塩を多少振るだけで、食べる時はソース類は全く使わず肉の味を楽しむだけなのですが、まず油っぽくないことからしつこさが無く、肉の味がすると云う点では非常に食べやすく、私はいつも全部平らげてました。

 ワインはブエノスアイレスから西に1100kmほど行ったアンデス山麓を中心に葡萄畑が広がり、そこでワインが作られているそうです。話によるとアルゼンチンのワイン生産量は世界でも4−5位らしく、その質も高いそうです。ただ、私はアメリカで暮らしていてアルゼンチンワインなんか聞いたこともない?と云うのが本音だったのですが、これらのワインはアルゼンチン国内の消費が多くて輸出する分などほとんど無く、海外で見かけることは稀だそうです。こちらの人のワインの好みは圧倒的に赤と云うことです。白は熟成期間が短く、安物と云うのがコメントで、白好きの私も彼らにも逆らえず、滞在中はもっぱら赤ワインを飲んでいました。私自身、全くのワイン通じゃありませんので、その評価はあてになりませんが、カリフォルニア産の赤ワインと比較すると渋み(?)が少なく飲みやすい感じを受けました。それにしても皆さん食事の席で良く飲みます。(私も良く飲みました)
 

 日本やアメリカとの大きな違いはレストランでの夕食時間が著しく遅い習慣です。夕食のためにレストランに出かけるのは夜の9時過ぎ、レストランのテーブルについてワインを飲みながら食事が始まるのは10時過ぎ、食事が終わってレストランを出るのは深夜と云う訳です。我々がアメリカから来た人間であることから、招待側も気を使って多少早めに夕食に誘ってくれるのですが、我々がレストランに着く夜の8時半ごろは店内はガラガラ。我々がレストランを出る夜の11時ごろ店内は満席と云った具合でした。アメリカとは逆に食事は深夜型の国です。しかし、深夜型と云いながらも、会社の始業はさほど遅くなく、朝9時には始まりますし、銀行なども10時から開店しています。皆、慢性睡眠不足じゃないか?と感じてしまいます。

 もう一つ、外食時には皆さん服装に大変気を使っていることです。お客の皆さんのテーブルマナーなども、しっかりしている国と云う印象を受けました。これは欧州の影響が強く残っているからではないかと思います。

 港にあった税関ビルです。それ以外の食事となると人口300万人以上の国際都市ですから、日本食レストランも市内に何軒かありますし、中華料理店もあります。ただその数の違いは我々の暮らすサンノゼ辺りと比較にならず、日本食派の人が生活するのは苦しいかもしれません。ある日、大きなスーパーを覗いた時、そのコーナーに寿司と書いた提灯の看板があり、何があるのかちょっと見てみました。実はパックに入ったりんごの薄切りのような果物がのったにぎりなど、奇妙な材料を使ったものもあり、妙な感じもしましたが、アルゼンチン流の寿司(日本の寿司を想像しないでください)は地元で人気が高まっている食べ物の一つだそうです。

それでは次はタンゴの話をしたいと思います。

岩間@サンノゼ(本紙から=カーソルを写真に当てますと写真説明が読めます)