岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(103)ガソリンスタンド」(00・10・23)

 岩間さん宅近くのガススタンドこの週末のサンノゼは真っ青な空なんですが、気温は低め、冬の季節特有の風もあり、落ち葉が舞い散っています。でも充分に気温が下がらないことから、日本やこちらの東海岸で見られるような色鮮やかな紅葉ではなく、ただの汚い色の枯れ葉と云う訳であまり風情を感じさせません。週末、私も半袖の上に薄手のセーターを着る必要が出てきましたけれど、町の中では相変わらず季節感のない格好(真冬の格好をした人がいると思うと真夏の格好をした人もいる)をした人達をまだ見かけます。

 今日は我々の生活に身近なガソリンスタンドの話をしたいと思います。こちらではガソリンスタンドと言っても(?)の反応です。実はガスステーションと呼んでいます。車通勤が当たり前である以上、ガソリンの消費も多く、私の場合はほぼ1週間に1回はここに立ち寄っていることになります。

 日本と比較すると、まだまだガソリン価格は安いものの、今年の春から続いているガソリン価格の高騰で、皆さん頭を痛めています。例年、夏休みと云う時期にガソリン需要が増加するのですが、それを過ぎると、価格は一気に下がるのですが、秋に入ってOPECの原油高値安定策と不安定な中東情勢の影響を受けて、高値安定が続いています。現在、この辺りの無鉛ガソリンの価格は1ガロン(3.8リットル)当たり、1ドル95セントぐらい、サンフランシスコに行くと1ガロン2ドルちょっとの値段になっていますから、昨年の今ごろと比較するとほぼ倍近い値段でガソリンを購入していることになります。

 ただ、ガソリンは州による値段の差も大きく、先日、フロリダ州に出かけた時に見たガソリンの相場は1ドル50セント以下でした。気持ちとしてはカリフォルニアは全米でも有数の石油産出州、フロリダでは石油は出ない筈、どうして産油州の方がカソリン価格が高いの?なんですが、その理由はガソリンに課す州の税制に違いがあることと、需要があれば価格は上昇すると云うことにあるようです。

 昨年までは大抵の車は20ドルを支払えば、満タンにして多少お釣りがあるのが普通でしたが、今は20ドルでは車のタンクを満タンにすることが出来ないのです。生活の中で、20ドルを高い安いの一つの目安にしているアメリカ人にとって、ガソリン代の高騰は心理的に物価が上昇していると云う気持ちを抱かせます。

 さて、こちらのガスステーションですが、構造自体は日本とほぼ同じなのですが、日本ほど消防法の規制が厳しくないせいか?周囲をそれほど高いコンクリート塀で囲んでいる訳で無く、せいぜい目の高さ程度の塀で、コンクリートで無く、生垣で仕切られているようなところもあります。販売されているカソリンはレギュラーと呼ばれる通常の無鉛ガソリン、メデイアムと呼ばれる少しオクタン価の高いガソリン、それに日本のハイオクに当たるオクタン価の一番高いものの3種類です。軽油を販売しているガスステーションは街中ではほとんど無く、ハイウエー沿いの大型トラックが給油出きるガスステーションに限られています。つまりは小型車普通車は乗用車、商業車共にジーゼル車がほとんどないと云うことです。

 サービスシステムの違いはカリフォルニア州内では、このガスステーションがほぼ100%セルフサービスになっていることです。キャッシャーに従業員が一人いるだけです。通常は料金を先に支払うプリペイ方式です。現金で給油する場合は、各給油ポンプの前に車を停めて、キャッシャーに行き、大体、必要と思われる金額を先払いし、自分の車の停めているポンプ番号を伝えます。この時に15ドル分だけ入れて欲しいとか、5ドル分だけ入れて欲しいと云うような指定も出来ます。

 後は自分で3種のガソリンからどれを給油するか?を決め、そのノズルを車の給油口に指しこんで、ポンプのスイッチを入れて、ノズルのレバーを引くと給油が始まると云う訳です。このポンプの操作自体は基本的にどの機械も同じ考え方なのですが、スイッチ等が各機械によって多少、異なる為、初めて立ち寄ったガスステーションでポンプを前にハテ!と手間どっている人を時々見かけます。給油が終わると、自動的にノズルのレバーが外れて給油が停止するのですが、ひどいガスステーションに行くと、ポンプに自動停止の機能が無く(壊れていて?)、ガソリンが噴出することもあります。

 さて、ノズルを元の位置に戻して、車の給油口に蓋をして、つり銭がある場合は再びキャッシャーに戻って、ポンプ番号を告げるとつり銭をもらえます。クレジットカードで支払う場合はもっと簡単で、ポンプの機械についているクレジットカード差込口にカードを入れて引き出し、給油を始めてください!と云う表示が出ればそのまま使えます。無論、必要に応じて領収書も発行されます。

 ガスステーション自体、アメリカでも競争はかなり激しいようで、店じまいする所も珍しくありません。またビジネスの拡大を狙ってスナックや飲み物を販売する店も増えていますし、自動車修理やオイル交換などのサービスに力を入れる店舗もありますが、逆に徹底的なコストダウンを狙って、給油以外のサービスを一切除き、10台ほどのポンプを一人の従業員で
管理している店なども増えてきており、経営は両極端になってきているような感じがします。

 もともと何でも自分でやる習慣の強いこの国の人達ですから、ガソリンの値段が安ければポンプを自分で操作して給油することに、何の戸惑いもなく、セルフサービスのガスステーションが主流になってしまいました。日本に出かけたことのあるアメリカ人は日本のガソリンスタンドを見て、客の車が停まるなり2〜3人の従業員が、ガラスを拭いたり、灰皿を綺麗にしたり、はては道路に出て、お客の車が道路に出る安全確認をしたりするのを見て、これで日本のガソリン価格が高いのが分った!なんて皮肉られることがあります。

 ただ、セルフサービスの店でも、ハンデイキャップの方の車(ナンバープレートを見れば直ぐに分かる)が、ポンプの前に停まると、セルフサービスであるにも関わらず、従業員は,この車に給油する作業を手伝うことになっているのは良い習慣だと思います。

それでは