1月20日、首都ワシントンでは新大統領の就任式典が盛大に行われました。日本と違って大統領が直接選挙に近い方式で選出されるせいか?その関心も強くCNNを始めとするニュース中心のテレビ局は一日中中継放送をしていました。宣誓式、就任演説、パレード、それにワシントン市内数10数箇所で開かれたパーテイー等、そのイベントは大掛かりで派手なものでした。どちらが良いか色々な意見もあるとは思いますが、個人的には皇居での認証式を済ませて国会前で大臣達と記念写真を撮影してそれで終わりと云う日本のやり方は国民と無縁な式のような感じさせ、国政は国民に身近なものと云う思いを感じさせる点ではアメリカのような演出も必要なのでは?と思いました。
昨年末、話題に取り上げたカリフォルニア州の電力不足の問題ですが、遂に1月16日17日の両日、電力供給に余裕が無くなり、計画停電が実施されました。今年に入って数回、電力供給の限界に近づき計画停電実施寸前の状態に陥ったのですが、これまでは州外の電力会社の緊急支援で切り抜けてきたので、カリフォルニア州の多くの人はこの問題を認識しながらも、まさか計画停電の実施が本当にされるとは思っていなかったと云うのが本音です。しかし、今回の実施によって、州民も電気不足の現実問題を経験した訳で、電気代が今月から大幅なアップになると云う家計上の問題を含めて、省エネに対する意識が急に高まったような感じがします。その影響で、家庭用大型給湯器機の保温カバーとか家庭で使う蛍光灯が急に売れ始めたようです(笑)。
この問題は発電と配電の2つの事業を有する電力会社は事業の独占をしやすく、企業間競争がないことから電気代などの価格が吊り上げられて消費者を著しく不利な立場にする危惧がありえるので、企業が新規に電力事業に参入し易い環境を作り出し、市場の競争原理を働かせることによって消費者の利益を図る目的の規制緩和であったのですが、当時は電気の供給量に余力があり、州内の景気もいまいちであったことから、規制緩和を実施しても電力事業に新規参入する企業が無く、全くあてが外れてしまいました。やむなくその後の好景気によって電力は不足し、その分を州外の余剰電力購入で補っていたんですが、消費者の電気代の上限は押さえられている為に地元電力会社は州外からの購入電力と消費者が支払う電気代の差額が次第に大きくなって、資金も底をつき、既存の電力会社の事業が成り立たなくなりその極限に来てしまった訳です。消費者利益を保護する筈の規制緩和政策だったのですが、前提条件が変わってしまって、逆の効果を生み出してしまうと云う結果になってしまいました。
実は規制緩和に関連してもう一つ消費者にダメージを与える恐れが濃厚になってたのが、航空運賃なんです。これも規制緩和によって新規航空会社の参入を容易にし、市場競争原理を働かせて、特定の航空会社による路線の独占による航空運賃の値上がりを押さえる目的の自由化政策の一環でした。この規制緩和が実施されてから米国内で非常に多くの新規航空会社が設立され、多くが競合する路線では非常に魅力的な航空運賃になりました。その新規航空会社の中には従来の大手航空会社のサービスのコンセプトと違うやり方を採用することで大いに成功したサースウエスト航空のような会社もあります。私の面白い経験としてはカナダのオタワからアメリカのボストンに飛ぶ時に、時間の関係で初めて聞く航空会社を利用することになりました。カナダからアメリカへの飛行ですから、国際線なんですが、アメリカ国内に乗り入れている国際線の航空会社の名前は大抵知っている私も、その会社の名前は聞いたことがなかったのです。なんとその搭乗口で驚いたのは、この路線に使われている機体は18人乗りの双発のプロペラ機でした。これが国際線?と云う感じでしたが、国際線らしく機内食は出ました。
しかし、これらの新規の航空会社の存在感は1〜2時間の距離を飛ぶ比較的短距離の路線であり、3時間を越えるような路線はやはり大手航空会社と競合することは難しいようでした。アリゾナ州のフェニックスを中心としたアメリカウエスト航空と云う会社はアメリカ国内でもかなり成功して国際線にも手を伸ばし、その最初の便としてフェニックスー名古屋間の運行を開始した数ヶ月後に倒産なんてこともありました。
その後のアメリカ航空業界の経過は結局、これらの中小航空会社は倒産したり、大手航空会社に買収され、その路線は再び大手航空会社に支配される結果になりました。特にバリュージェットと云う航空会社の飛行機がフロリダで墜落事故を起こした後、それまで運賃最優先であった乗客の心理が、多少の差であれば大手航空会社の方が安全(?)と云う方向に働き、大手航空会社にとって追い風となりました。更に一定の距離を乗ると無料航空券が手に入ると云うマイレッジバンクの魅力が乗客の航空会社の選択に大きく影響しています。どうせもらえるならハワイとか外国行きの無料航空券をもらえる航空会社の方が良いと云う訳で、特にビジネスで利用する人達は大手の航空会社を好みます。私の例で云えば、年間の飛行機利用が多い為に、毎年日本行きの無料航空券が3〜4枚は手に入ります。
結局、現在、アメリカ国内の主要な路線はユナイテイッド航空、アメリカン航空、ノースウエスト航空、デルタ航空、USエアー、コンチネンタル航空、TWA航空の7社で占められる結果になってしまいましたが、最近になってユナイテイッド航空がUSエアーを吸収合併することを発表(これはまだ独占禁止法に触れる恐れがあると認可されていません)、先月、アメリカン航空がTWA航空の吸収合併を発表、対抗する形でノースウエスト航空、デルタ航空、コンチネンタル航空の3社が合併するのでは?と云うもっぱらの噂です。これも実は規制緩和の結果です。
そうなると大きなアメリカの主要路線は3つのグループ航空会社に支配されてしまう訳で、ただでさえ好景気に支えられて、割高な米国内の長距離国内運賃が寡占によって更に値上がるのでは?と云う懸念が大となります。
現 在、日米亜の航空会社によって競争が激化している太平洋路線は成田ーサンフランシスコ間のエコノミー席の往復運賃は7万円ぐらいで購入できます。また日にちの限定などの条件をのめば、多分5万円代の往復航空券も買えると思います。この飛行時間は片道8時間から10時間です。一方、サンフランシスコーニューヨーク間のエコノミー席の往復運賃は10万円を切ることはめったにありません。この間の飛行時間は片道約5時間半です。太平洋路線は完全に競争原理が運賃を下げていますが、アメリカ国内運賃はもはやそうではありません。これが3社の大手航空会社で支配されるようになった時、予想されるアメリカ国内運賃は多分、更なる値上がりにつながるのではないかと思います。既に成田空港に発着する航空機の数で最も多いのはアメリカの航空会社で日本の航空会社ではないそうですし、やがて国内線にも規制緩和で外国の航空会社が乗り込んでくるなんてことがあるかもしれませんね。
それでは!
岩間@サンノゼ