岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(117)景気の減速」(01・2・5)

 伊藤さんの顔が舞い上がった紙風船上げからもう一年近くになるんですねー。いやー!時間が経つのは本当に早い!特に自分の年齢が一つ増えるのに従って益々時間が経つのが早く感じます。カリフォルニア州の電力不足とアメリカ全体に関係する天然ガス不足に乗じた公共料金の値上がりの凄まじさにはもうただ驚きです。先週、自宅に届いた電気とガス料金の請求書の金額を見て、予測はしていたものの思わず、わーっ!と声を上げてしまいました。両方を加えるとその合計額は先月受け取った請求書のなんと2.5倍なんです。公共料金たるものが、何でこんな値上がるの?と憤懣やるかたない時、日本の新聞には日本国内の東京XX、東京YY、料金の値下げ!と書かれてあるんですねー。何か良く分からないアメリカの現状です。でも、ここまで公共料金が上がると全ての物価に影響を与えない訳はない!と思いますので、我々現地生活者の中にも、もやもやした生活に対する先行き不安感が広まりつつあります。

 昨年前半からドットコム企業と呼ばれるインターネット関連会社の経営の雲行きが怪しくなり、その多くは倒産したり、吸収合併されるニュースが目立ちました。それでも、まだ夏前までは株価に乱高下はあったものの、平均的なアメリカ人の蓄財の中心になっているミューチュラルファンド(投資信託?)の価値はまだ上昇傾向が続いていました。そんな訳でドットコム企業のネガテイブな話が耳に入ってくるものの、多くの人は、まあ何とかなるだろう!と云う印象を持っていました。しかし、下半期になると株価は次第に下方を向き出し、偶には値上がることもあるけれども全体として確実に右下がり。ミューチュラルファンドも下がること!下がること!これはアメリカ人にとって久々の経験でした。結果的には昨年上期のミューチュラルファンドによる利益は、この下期の値下がりでほぼ全てが帳消しになった勘定だと思います。

 同じ金額を銀行の定期に入れておけば、少なくとも一年間で5%の利息はついたと云う訳で、一昨年ぐらい日本で、アメリカ型年金システムとか云って、もてはやされた投資型の年金もその利回りの良さは今は少し怪しくなってきました。最も経済に明るい人(?)に言わせれば、個人の直接株投資とは違うのだからもう少し長い目で見る必要があると云うことなのですが、それでも、毎月、目の前でどんどん目減りしていくその様子を見ているとあれれっ!と言いたくなるのが本音です。

 また、これまでのアメリカ景気を支えてきた大きな柱の一つであるパソコン売上の低下も昨年秋頃から問題になっていました。それでもアメリカの消費者の購買意欲はまだあると云う期待感は強く、クリスマス商戦に期待をした訳ですが、クリスマス商戦の蓋が開くと、出足は悪くない!中盤の伸びはいまいち!後半の駆け込み需要が期待出来る!など等、競馬の実況中継もどきの状況で一喜一憂の報道で振り回されました。しかし、これも年明けのニュースでアメリカ国内でカタログ商品販売で最も歴史があるモンゴメリーワードと云うデパートはクリスマス商戦での不振を理由に倒産。ついで中級商品の取り扱いでは定評のあるJCペニーと云う大型デパートチェーンも販売不振を理由に多くの店舗閉鎖と従業員のレイオフを発表となりました。

 追い討ちをかけるようにパソコンメーカーの相次ぐ業績見通しの下方修正の発表、パソコンの主要電子部品を供給する半導体大手各社の業績見通し下方修正。IT景気でこれまで急成長してきたAT&Tから分離したルーセントテクノロジーの大赤字による10000人を超えるレイオフの発表。ビッグ3の自動車会社の工場の操業短縮が相次いで発表されたと思ったら、その中の一つ、クライスラー社は大赤字によって20000人を超えるレイオフを実施するとの発表等など。2001年1月はアメリカ人の景気感覚を冷やすようなネガテイブな話ばかり聞こえてきます。

 シリコンバレー地域のハイテック企業の中では、まだ大規模なレイオフを発表したところはありませんが、この電力などのエネルギーのコストアップに対応した経費節減の動きと不透明感による人件費圧縮の動きは顕著となり間接部門縮小の動きはどの企業でも始まっています。一連の景気減速が本格的な不況につながるのか?それとも政府の目指すソフトランデイングが可能になるのか?今の状況では良く分かりませんが、消費者心理だけは確実に冷え込んできたと思います。

では また!

岩間@サンノゼ