岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(125)義務教育雑談−2」(01・5・1)

 アメリカの平均的な小学校の校舎ゴールデンウイーク突入ですね。以前は日本でゴールデンウイークが始まる!と話しても何のことやら分からぬアメリカ人がほとんどだったのですが、最近のビジネスの国際化で、日本を少し知るアメリカ人が増え、最近は連休があるのでその期間中は日本の会社との連絡が難しくなると話すと、それ?ゴールデンウイーク?なんて問い返す人も増えました。

 今朝、こちらの地元新聞の経済欄を見たら田中真紀子外務大臣と小泉首相の写真入りで新政権の誕生で、日本の経済復活のインパクトになるか?云々を大きな記事として取り上げていました。GDPや貿易輸出入高など色々な経済指標を並べて論評していましたけれど、表の中にあった日本地図上の主要都市名に横浜が静岡の位置になっていたのがちょっと気になりましたけれど(笑)。

 前回に続き今週も、アメリカの義務教育に関わるお話を雑談風に書かせてください。人口増の激しいシリコンバレーでは慢性的に先生が不足の状態です。就職先に困らないシリコンバレーでは先生の職に就こうとする人達が少なく、特に高校における物理、化学、数学等理科系の先生の不足は深刻です。先生の不足から、やむなく既にリタイアーした専門の先生に復職してもらったり、企業からボランテイアの形で専門知識を持つ技術者に先生の代役をしてもらったりで、学校区は先生を求めて四苦八苦の状態です。

 教職のポストの少ない州からも先生を募集しています。無論、その州の先生の平均給与よりも高い給与でリクルートするのですが、その給与でも、生活費の高いシリコンバレーで暮らしていくには不十分と云われます。実は先生の給与自体がシリコンバレーの企業で働く人の給与と比べると非常に低いのです。給与は各学校区が支払うので、同じ教職経験を持っていても学校区によって給料に差がでます。税収や寄付の多い裕福な学区では先生の平均給与は高く、低所得者の住民が多いところの学校区の先生の給料は安くなってしまいます。先生の給与問題は昔から問題になっているのですが、未だに大きな改善は無く、数年に一度、給与改善を求めた先生のストライキが実施され、学校が一時閉鎖になることも珍しくありません。

 先生の給与が安い一つの原因として3ケ月間の夏休みが関係しているようです。つまり学校区の立場としては夏休み期間中、先生は学校で仕事をしませんから給与は支払わないと云う訳です。つまり年間給与は12ケ月分で無く、9ケ月分の給与になり、それを12分割して毎月の給与としてもらう訳ですから、額が厳しいのは当然です。まあ、夏の3ケ月、必要であれば先生も他の仕事に就けると云う理屈なのですが。。。。。

 先生に対する生徒の対応ですが、大きな特徴があります。苗字を使って相手も呼ぶことは、めったにないアメリカですが、先生に対しては、どの生徒もミスター、ミセス、ミスにを苗字を付けて呼びます。またクラスも何年何組と云う表現でなく、ミスターXXXのクラスと呼ばれます。その意味では先生は尊敬されるポストであると云う考え方は間違いなく、存在しています。2人の子供を通じて多くの先生に出会いましたが、ほとんどの方の場合、先生と云う仕事が好きで長く続けていると云う印象を持っています。

 始業時間は学校でまちまちです。小中学校は8時前後から授業が始まるのですが、朝一番、生徒は教室に自由に入れる訳ではありません。教室の鍵はクラスを持つ先生が管理していますから先生が教室の鍵を開けない限り、生徒は教室の入り口のドアの前で列を作って先生が来るのを待ちます。高校になると複数の中学校卒業の生徒が集まりますから、通学の範囲も広くなります。以前はきめ細かいスクールバスのサービスで、生徒の登校サービスをしていたのですが、最近は予算カットからスクールバスサービスが大幅に減ってしまい、代わりに親が通勤前に自分の車で子供を学校に送るケースが多く、そんな理由で、高校は朝の7時半ぐらいに授業が始まるところも多くなりました。また、16歳で運転免許が取得できる関係から高校3年や4年になると自分の車で通学する生徒も増えますから、高校の敷地には生徒用の大きな駐車場が不可欠です。

 一日の授業は3時ぐらいに終わります。中学ではそれほどでもありませんが、高校になるとクラブ活動はかなり活発です。高校スポーツの全国大会は聞いたことがありませんが、地域の高校間の試合は多く、特にアメフトは何よりも人気のあるスポーツです。クラブ活動は強制されませんが、大学に入る為には勉強以外の高校生活の活動を示す必要があり、クラブ活動はその良い記録になります。また選手として卓越したレベルを持っていれば大学のスポーツプログラムからスカウトを受けることも出来ます。

 日本の体育授業に該当する授業は高校だけです。小学校でも中学でも運動の時間はあるのですが、それらしいスポーツを習うと云うよりグラウンドで生徒が勝手に遊んでいると云う感じがします。高校では1年生、2年生が日本の体育の授業に近い内容のクラスを必修科目として取る必要があります。これは季節に応じて色々なスポーツを習う訳で、日本の体育の時間の内容に似ています。体育の授業は結構厳しく、病欠した場合などは後日、メークアップと云って、放課後の時間にグラウンドを10周回ったりして、減点分を取り戻す必要があります。

 音楽や美術となると中学高校共に本人が選択しない限り、習う必要はありません。実はこれが不思議なことなのです。学校教育として体育や芸術に関わる教育内容は極めて貧弱なのに、この国ではなぜ優れた音楽家や芸術家やスポーツ選手が育つのか?と云うことです。

それでは!良い連休をお過ごしください。

岩間@サンノゼ

写真1,2: こちらの平均的な小学校の校舎です。
カリフォルニア州では地震対策と云うことで、大学を除く、ほとんどの学校は木造と平屋建て構造です。
また教室に窓がほとんどないと云うのも特徴です。