日本では南の地域がボツボツ梅雨入りになる時期かと思いますが、こちらは安定した夏型の季節に入り、雨はなく、湿度もない、晴天の空が広がる季節に入っているので、この時
期に日本へ出張するのは、ちょっと躊躇いがあります。乗りなれない通勤の満員電車に乗るだけでもいやなのに梅雨の時期は電車の中は湿気でむんむん、雨で濡れた傘がスーツとズボンを濡らし、朝から何となくブルーな気持ちになってしまいます。そんな中で通勤ラッシュに毎日時間を費やす都会のサラリーマンの人達は本当にタフだなと感心してしまいます。
5月も中旬を過ぎると、こちらの学校では授業も一段落してフィールドトリップと呼ばれる遠足のシーズンになります。もっとも遠足と云っても、徒歩で何処かに出かけることは稀で、スクールバスを使って、水族館やテーマパーク、博物館など社会見学で一日を過ごす訳です。この行事が終わると、中学校や高校では最終学年の生徒のパーテイーが開かれ、卒業式を迎える訳です。
入学式とか始業式と云うものが実施されないアメリカの学校ですが、中学校や高校では卒業式が比較的盛大に行われます。また卒業式には両親の参加も多く、孫の卒業式の為に遠路はるばる旅をして参加する祖父母も沢山います。卒業式は金曜日の午後から行われるケースが多いのですが、これは親が参加しやすい時間を配慮したものと思います。また大学になると土曜日が卒業式として選ばれます。
高校までが義務教育のアメリカでは、特に高校を卒業することイコール一人立ちする意味を持っていることから、大学進学や就職に関わらず、人生の一つの節目と云う意識が強く、その意味で生徒にとっても両親にとっても大きなイベントと感じているように思います。私の日米の経験から判断すると卒業式のシステムそのものはあまり変わらないように思います。
あえて違いを上げると、アメリカの場合は「やったー!」と云う笑顔が多いのに、日本の場合は別れからつながる涙が多いことかもしれません。
高校の卒業式には校内のフットボール競技場がよく使われます。両サイドの応援席に父兄や下級生が座り、緑の芝生が卒業式の会場になります。卒業証書を受け取ったり、来賓が挨拶をする演台が中腰くらいの高さで作られています。
学校の制服と云うものがほとんどない国ですが、卒業生はこの日、映画などで見られるようなガウンを着用、頭には角帽を被って参加します。先生も黒のガウンを着用しています。
ただ生徒の角帽の上には、自分でお母さんありがとう!とか簡単なメッセージを見やすい文字で書き込んでいるのがアメリカの生徒らしさを感じさせます。まず卒業生は父兄や下級生が拍手で見守る中を競技場の端から小さなグループ単位で歩いてきて卒業式のバックの音楽は何処でも威風堂々に決まっているようです。卒業生が指定の席に着席するまでの間、周りからは名前を呼んだり、鳴り物入りで大変にぎやかです。
卒業生が全員着席した後は国旗の入場です。こちらでは国旗と同時に州の旗と校旗の3本が用意されます。卒業式のような場合、サンノゼでは市警察の騎馬隊が協力して、なかなかの重みのあるのを感じさせます。そして、参加者全員が起立、帽子を脱いで、全員での国家斉唱が続きます。日本の卒業式では国歌斉唱、国旗の掲揚云々にはまだ議論があるようですが、アメリカ人は自国の旗と国歌が好きで、かなりいい加減な感じの人(?)でも、国歌、国旗掲揚時には自分がアメリカ国民であることを誇りに感じるように思います。この時は私のような外国人の立場は複雑ですが(笑)。
次に卒業式を始める挨拶があり、日本同様に来賓の式辞がありますが、せいぜい学校区の教育長が挨拶する程度で時間も短いように感じます。次に生徒代表(無論、学年で一番の成績の生徒の出番になる訳ですが)、下級生に送る言葉を話す訳ですが、これが、日本のように形式に縛られたもので無く、生徒なりに工夫を凝らした話をするのが特徴で、参加者全員が笑い出すような場面もあります。
次に卒業生の一人一人が名前を呼ばれて、演台に進み、校長と握手を交わして卒業証書を受け取りますが、アメリカ人の生徒はこう云う場面が下手で、握手の前に卒業証書を受け取る手を出してしまったり、ぶっつけ本番の弱点がもろに出てきて笑わせます。ただ日本同様、この場面だけは涙を流す女子生徒も珍しくありません。一つの高校では500人程度の卒業生がいますから、この卒業証書の受け取りには結構時間も掛かります。
ようやく、全員に卒業証書が渡されると、校長が簡単な挨拶をして、最後の言葉としてクラス2000年の皆さん卒業おめでとう!と云うと、卒業生は一斉に歓声を上げて立ち上がり、帽子を高く投げ上げたり、クラッカを鳴らしたり、友達と抱き合ったり、写真を撮ったり、アメリカの卒業式の中で卒業生が最も感激する場面です。同時に、それまでスタンドにいた父兄や下級生に、会場が開放され、親子で写真を撮ったり、友達の両親や先生に挨拶をしたりしながら卒業式は自然修了します。
伊藤さんが恒例の記事にされている大曲高校の卒業式の写真を毎年見る度に日本の卒業式の独特の雰囲気を感じ取りますが、普段は大らかなで雑なアメリカ人の生徒ですが、この日はお祭りはいつもとイベントとは何か違う雰囲気を感じさせます。それでは!。
岩間@サンノゼ
写真1: カリフォルニア大学デービス校 卒業式1(演台側)
写真2: カリフォルニア大学デービス校 卒業式2(卒業生側)
写真3: サンノゼ オークフローブ高校 卒業式(式が終わって父兄も会場に合流)