10日間に2回の日本往復と云う異常な(?)スケジュールも終わって、私の体の時計は今何処の時間帯に合っているのか?と云うような感じの時差ぼけで悩んでいます(笑)。何処に出かけるのも苦にならないほうですが、いくら飛行機に慣れても時差ボケには馴染めず、今でも最大の敵です。私がアメリカに戻ったその日に、あの池田市の小学校での殺人事件のニュースを知り、その昔、池田と云う町の中に私の職場があった時期もあり、事件のあった小学校の隣にある公団住宅に友人が以前暮らしていたこともあったりしたことから、池田の町も、その小学校も良く知っているだけに、本当に身近な事件に感じられ複雑な思いです。
今日は以前からまとめようと思っていたアメリカの年金の話を少し。アメリカの年金は2つの種類に分かれていますが、システム自体はさほど複雑ではありません。こちらで年金のことを多少でも勉強すると、非常にシンプルなシステムで且つ、別に複雑な計算を必要とせずに、その時点で、自分が将来どの程度の年金を給付されるか?積み立てた年金がどの程度の価値あるものか?他人を頼らずに簡単に分かることです。私自身、以前は日本企業の厚生年金に入っていて、その後は国民年金の拠出額を毎年海外から送金をしていますが、いったい将来いくら位年金を受け取れるのか?全く分からない状態と比べるとアメリカの年金システムは合理的で良く出来ていると思います。
まずは所得のある人が全員参加するシアルセキュリテイーシステムです。この年金は年齢に限らず給与所得があればその給与の支払いと同時に源泉されますから、強制的な年金システムになります。これは給与所得額の確か15.3%(毎年変動するので今年の正確な数字は少し違うかもしれません?)に当たる額を源泉とするもので、従業員と雇用主が源泉額の半分ずつを負担します。ただし、自営業者の場合には相当する就労収入に対し源泉額を全て自己負担しなければいけません。ただし、給与以外の所得、例えば銀行預金の利息や株や住宅などの資産の売買による収入に対してはソシアルセキュリテイーの源泉の対象にはなりません。
ソシアルセキュリテイーの対象となる人間は国籍に関わらずアメリカ国内で所得を得る全ての人が対象となりますから、日本からの駐在員などもアメリカ国内で給与を得るようになった時点から源泉徴収の対象になります。ソシアルセキュリテイーを受給するのに必要な各自の番号、すなわちソシアルセキュリテイー番号は連邦税と州税の家族控除を受ける場合に必ず必要な番号なので、子供が生まれた年に親は必ず子供の為にこの番号を取得する必要があり、事実上、国民総背番号制であって、一度取得したその番号は一生変わることはありませんから、転職してもそこで得た収入は同じソシアルセキュリテイー番号を使って、源泉されますから、転職や再就職による年金に関連した個人情報の混乱は非常に少ないと思います。逆に雇用主は従業員の入社時に採用者に対して必ずこのソシアルセキュリテイー番号が書かれたカードの提示を求めますし、多くの場合にはそのコピーを会社が保管します。
さて年金を受け取れる条件ですが、一般的な受給の資格は年齢が62歳に達すること。この拠出を10年間継続した場合に定めています。従って拠出金額に関わらず、その期間が10年に満たない場合は受給資格をもらえません。ただし、この10年と云う期間の条件は通算であり、転職や途中休職しても合計の拠出期間が10年を超えれば受給の資格があることになります。
拠出期間が10年を超えると毎年一度、過去の毎年の所得と拠出額をまとめたリストと現時点で期待出来る年金額とその受給条件の説明が各個人に郵便で届けられます。特定の事務所に出かけて計算してもらうようなややこしさは無く、拠出者にとって非常に明快です。また私の知る限りにおいては、受給時にアメリカ国内に在住しているか?どうかに関わらずその給付を受けることが出来ると聞いています。
もう一つの年金システムはここ数年日本でも話題になっている401Kプランです。これは任意の年金システムで雇用主がこのプランを従業員の福利厚生の一環として採用するか?は雇用主の選択です。また、雇用主がこの401Kプランを採用していても、各々従業員がそれを利用するか否か?、拠出額をいくらにするか?も制限金額額枠(給与所得内で最大利用可能な比率が決まっている)の範囲であれば従業員は自由に選択できます。この年金システムは公的機関が運営している訳ではなく、民間の投資銀行(日本の証券会社のようなもの)が取り扱っています。
401Kプランと云うのは個人の給与の中から自分で決めた金額を投資プログラムに拠出すると、会社側はこの個人拠出額に見合う一定比率の投資補填をしてくれます。その合計額を自分が選んだ投資プログラムを利用して運用、退職後、その運用成果の金額を自分の年金に当てると云うものです。このプログラムを利用した場合の個人への更なる利点としては個人の拠出額は全額給与所得から控除され、結果として連邦税と州税が安くなることです。
雇用者にとっても、毎月一定比率の額を補填するだけで、それ以降の責任を負わない年金システムになります。また雇用者が転職した場合も過去の拠出額に関して、先の投資プログラムをそのまま継続することも出来ますし、転職先の新たな401Kプログラムに、その拠出額をペナルテイー無しで移すことも出来ます。ただ一定の年齢に達することなく、401Kプランを解約すると、大きなペナルテイー金の支払いを伴います。
雇用者とって、このシステムの利用は非常に簡単です。401Kプランを使いたい雇用者は雇用先が契約する投資銀行に口座開設します。投資銀行は401Kプランの為に60〜80種類の投資プログラム(商品)を用意しています。その種類は元金保障型の定期預金に近いようなローリスクローリターン商品から、投機に近く上手く行けば短期間で数倍の金額になるようなハイリスクハイリターンの商品に至る種類の投資プログラムです。
実際には投資商品の種類が多すぎて、契約時にどのようにその商品を選択をして良いのか?迷うこともあり、投資銀行から派遣される投資マネージャーは本人の意向(リスクはあっても大もうけを期待したいか?安全な運用を望むか?年齢などを加味して)を受けて、アドバイスをするのが普通です。一般的には雇用者の年齢が若ければハイリスクハイリターンの高利回り商品の比率を高め、年齢を経るに従って手堅い元金保証型に近い商品の比率を高めるように進めます。具体的に云うと若い人の場合は拠出額をリスクの高い高利回り商品に60%、中程度の商品に20%、元金保証型に近い商品ものに20%をと云う具合です。いずれにしても思惑どおり増えるか?増えないか?逆に損をするか?は個人の選択の問題であり、極めて自己責任型の年金プログラムです。
実際にこの401Kプランですが、一般的に云って大変人気があります。現在アメリカの銀行定期預金の金利が年4〜5%で、日本の預金金利と比べるとずば抜けて良い訳ですが、
昔からどうやらアメリカ人は銀行預金を将来の為の蓄えにすると云う人は少なく、やはり利回りが良い株投資などに走る傾向はあるのですが、個人で株投資にのめり込むとこれもまた大変です。そんな訳で401Kプランは正にその中間的な仕組みであり、自分の選択した商品の投資専門家にその運用を託すと云う考え方は受け入れられている感じがします。
毎四半期ごとにプロスペクタスと呼ばれる各投資商品の実績やその商品が運用している株式の詳細などが本になって個人に届けられると同時に毎月の運用成果も個人に通知されます。またその結果を見ながらいつでも商品の選択を変更できることもその魅力です。
株価が右上がりの伸びを示した昨年夏までは、運用成果は自分でも驚くほどの増え方を示しましたが、昨年の秋以降は株価の低迷で、この半年の間にピークの3割ぐらいは価値が下がってしまったような気がします。ただ、長期的な投資が前提のプログラムであるだけに、まあ、皆さんそう慌てず、今はじっとしているしかないと比較的冷静です。
ではこの2つの年金の併用で、退職後の備えは十分か?と云うとそうでもありません。するとアメリカ人はどうしているか?と云う話はまた別の機会にいたします。
それじゃ
岩間@サンノゼ