ニューヨーク、ワシントンDCでのテロ事件以後、私にとってアメリカ国内線を使った初めての出張になりました。出張先はテキサス州のサンアントニオ市なのですが、サンノゼからの直行便は無く、テキサス州のダラスーフォートワース空港で一度乗り換えをして、サンアントニオ空港に到着です。ダラスフォートワース空港までの飛行時間がおおよそ3時間半、そこから乗り継ぎ便の飛行時間が1時間。待ち時間や時差の2時間を加えますと一日がかりの移動です。サンノゼから車でハイウエーを走ると丸3日の旅だそうです。
テロ事件以来、アメリカ国内でも飛行機を利用した出張や個人旅行を控える傾向にあり、一時的な現象だと思いますが、私が今回利用した往復の全ての便の乗客率は30%程度。
しかも航空券は大幅な値引き状態にありますから、航空会社にとって現在、厳しい状況を肌で感じました。これからやってくる感謝祭やクリスマスでどの程度乗客率が回復するのか?
気になるところです。
今回の出張目的はある業界のコンベンションへの参加なのですが、会場では当初650社ほどの企業が展示ブースを持つ予定だったのですが、やはりテロ事件の影響で、訪問者減の予測から100社ほどが直前に展示ブースをキャンセルしたこともあり、会場内では空きスペースが目立ち、訪問者も少なく感じました。特に毎年相当数になる日本、韓国、台湾から訪問者が今回ほとんど無く、日系企業の展示ブースも日本からの人の派遣はないらしく、ほとんどが現地スタッフと駐在者で運営されていました。
テロ事件の影響が、アメリカ国内だけでなく海外にも強い影響を与えていることを改めて感じました。話を聞くと日本企業の多くは横並びに当面、社員のアメリカ出張は自粛と云うことになっているようです。
さてサンアントニオの町ですが、テキサス州の南に位置して,メキシコ国境にあたるリオグランデ川まで、車で3時間と云う場所であり、かっての支配者であったスペインやメキシコの文化を肌で感じる南の町です。テキサス州と聞いて頭に思い浮かべる光景は西部劇に出てくるようなごつごつした岩山、埃のもうもうと立ち上げる荒地や砂漠、それにサボテンではないかと思います。
しかし、実際はテキサス州の大半はこの頭に描く光景とは違い、適度な降雨量もあり山の起伏はほとんど無く地平線が見えるような平地で、緑の多い地域がほとんど、土地も大変肥沃なことから、州の大半は大規模農業には最適の土地で、西部劇に出てくるような風景は州の西の端の一部の地域だけです。そんなことから、このサンアントニオの町も周辺も大変緑の多いところです。
サンアントニオと聞いても日本の方には、あまりなじみのない町の名前であろうと思いますが、「アラモ」と云う名前を聞くと、その昔、ジョンウエインが監督兼主役を演じたスケールの大きい西部劇映画{アラモ}を思い出す方は案外多いのではないかと思います。
この町は本物のアラモの砦に使われた古い石造りの教会跡が町の中心に位置し、現在は大きな観光スポットになっています。なぜ有名か?と云うと、アメリカ側の歴史から見ると、メキシコ統治を不満とするテキサス人が一度はここを統治するメキシコ軍を追い出したものの、奪回に訪れたメキシコの大軍から退去を求められたものの、その命令に応じずに、この砦に立てこもった為、テキサスの自治をメキシコから勝ち取ろうとするテキサス義勇軍188人とメキシコ軍2400人が13日間にわたる戦闘の末に、テキサス義勇軍が全滅した場所として知られています。
その後、このアラモの悲劇が各地のテキサス人を奮い立たせ、アラモを忘れるな!を合言葉に、数ケ月後にメキシコ軍を破り、テキサスの独立を勝ち得る大きな役割をはたしたところであり、テキサス人にとって歴史に残る誇り高き場所です。
町全体は古いスペイン情緒を残した教会や一部地域のビルを除いてはモダンな町に変身していますが、実際に町を歩くと、テキサス色も強く残っていて、型の良いカーボーイハット、
棒タイ、大きなバックルのついたベルト、それにブーツを履いた男の人をよく見かけますし、それに何よりも道路や駐車場では大きなピックアップトラックが目立つことです。
ピックアップトラックを自家用として持つことはアメリカ国内で一つの流行なのですが、ガソリン価格の高いカリフォルニア州では日本の自動車メーカー製の小型ピックアップトラックが
人気なのに、ここでは何事につけても大きい方を好むテキサス人の嗜好どうり、アメリカの自動車メーカー製のフルサイズと呼ばれる大きなピックアップトラックの方が好まれます。
またメキシコに近いことから、メキシコ系住民の人口も多く、スペイン語は何処からでも聞こえてきます。
逆にアジアは遠く、その接点を感じさせるものは非常に少ないのですが市内に日本庭園があるのには驚きました。文化の代表であるアジア系のレストランとしてやはり中華レストランは目立ちますが、日本食レストランとなると、市内に1〜2軒しかないらしく、寿司に馴染みのある人も少ないようです。
そんなことからこの町のレストランと云うと、先ずはステーキ、メキシコ料理(テックメキシカンと云ってメキシコ料理にテキサス風にアレンジされています)、イタリア料理(これはアメリカ人に一番人気がある)が中心で、多くのレストランも大体その分類の中に入ってしまいます。
都市としては南部の道路と交通の要所であり、農産物の集散地にもなっています。最近はシリコンバレー企業でもこの付近に製造工場を移すところも多く、ハイテック企業も目立つようになりましたが、観光資源の少ないテキサス州の中では、珍しく、アラモの砦を中心とした観光が町の最大の産業になっているようで、町の規模から比較するとホテルも多く、中規模のコンベンションは良く開催されています。
その観光の目玉の一つが、町を縦断するサンアントニオ川の蛇行部分を町の中に取り入れ、観光運河に改修し、運河の両端を遊歩道にして、数多くのしゃれたレストランやショッピンセンター、野外劇場などを並べたアベニダデルリオ(川沿いの小道)と呼ばれる一帯です。
全長は8kmほどのこの運河地域全体のイメージは、古いスペインのデザイン風のものが多く、石橋の形はベニスやオランダを感じさせるようなところがあり、手入れが行き届いていることから、日中も夜も大変な人手です。加えて、この運河周辺は通常の市内の土地より5mほど低い場所になっている為に、交通の混雑や騒音から分離され、市内にいながら別世界の感じがします。運河によってその周辺の古いビルデイングが全て活性化してしまったと云う、なかなか頭を使った計画の実行に関心させられました。
これは偶然なんですが、こんな時期にも関わらず10名ほどの日本人の団体観光客の方がガイドと一緒に町を散策されていました。時期もさることながら、南部のこの辺りまでおとづれる日本人観光ツアーがあるのに驚きました。
決して大きな町ではありませんが、アメリカ人なら一度訪れて見たい感じのする町のように思います。テキサスに旅行される機会があればお勧めしたい町です。
それでは
岩間@サンノゼ
写真1.アラモの砦(以外に小さく周囲の石造りの囲いも低く13日間持ちこたえたのが
不思議な感じがします)。
写真2.ダウンタウンの町並み。
写真3.運河周辺はレストラン街になっています(屋外で食事するには丁度いい気候)。
写真4.運河を走るリバーボートです。夜は真ん中がテーブルになって食事をしながらの
ツアーが出来ます。