岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(137)薬」(01・10・23)

 アフガンのタリバン攻撃や炭そ菌問題等、アメリカに関わる大きな話題は多いのですが、生活そのものは特に変化がある訳では無く、普段の生活に戻っています。21日の日曜日から日本出張に出かけますので、その前になんとか!と思い、いつもながら何か無いかな?と話題を探しています(笑)。私自身ちょっと風邪気味なことから、今日は薬の話をさせてください。

 アメリカでは医療と薬がはっきり別れています。医者のオフィース(日本流の医院)に出かけ診断を受けて治療法が決まったとしても、医者から薬をもらえることは無く、医者は処方箋を書いて患者に渡すだけです。アメリカの医者は患者に対して処方箋の薬の作用とか副作用に関して非常に詳しく説明してくれますが、患者に薬を直接渡すことはほとんどありません。
軽い風邪と診断された場合、喉が少し痛い程度ならアメやトローチの類をなめなさいとか、市販の風邪薬で十分とか云う説明で、水分を十分に取るように言われることもあり、処方箋は必要なしと言われるケースも珍しくありません。

 処方箋を書く紙の様式は大体決まっていて、メモ用紙サイズで、レターヘッドには医者の名前、医師の免許番号、住所と電話番号が印刷されています。そこに処方箋医薬名と強さを示す単位、それに必要数量(錠剤の場合は個数、液体の場合にはcc)と患者名が書かれています。しかし、私の経験ではどの医者も大変癖のある手書き文字なので、薬の名前に明るい人で無いと何の薬の名前が書かれているのか判読不明(笑)です。

 処方箋薬を手に入れるには、日本同様、薬局に出かけることになります。その昔は町に個人の薬局店が随分あったようですが、現在、都市ではほとんど大手のドラッグストアーチエーンが主な処方箋薬を販売する場所になっています。ドラッグストアーは野菜や肉類など生ものを置いていない以外はスーパーと同じような品揃えで、日本で喩えるような店が見つかりません。

 大体、この店の一番奥にPXと書かれたところが薬局になっており、処方箋薬は日本同様に全てガラス窓越しの棚に並んでいて、レジの前には家庭常備薬の類で処方箋が必要でない薬やビタミン剤が並んでいます。大抵のショッピンセンターではドラッグストアーはスーパーマーケット店舗の隣に並んでいて、朝9時から夜9時ぐらいまで開いていますが、病院に近い場所のドラッグストアーは24時間オープンしているところもあります。病院にはエマージェンシーと云って24時間患者を受け付ける救急部門がありますので、そこで診察を受けた患者の為に必要な処方箋が買えるような仕組みになっています。

 話はそれますが、私の感じとしては家庭用常備薬ではこれと云って効く薬が無いような気がします。風邪薬、胃腸薬、睡眠薬、花粉症薬、目薬、外傷用の軟膏等の多くは処方箋なしで買え、様々なブランドのものが並んでいるのですが、ちょっと強い抗ヒスタミン剤などは処方箋薬になってしまい、常備薬として買うことが出来ません。例えば結構効き目のある蕁麻疹薬などは日本では簡単に買えたように思うのですが、こちらでは処方箋が必要になってしまい、どの薬が効くかが分かっていても医者のところにまず行かなければいけない仕組みです。また日本の薬局に沢山置いてある栄養ドリンクの類の商品を先ず見ることはありません。

 さて話は戻りますが、その処方箋ですが、昨今は薬剤価格の高騰によって処方箋薬代を負担する保険会社がこの処方箋薬の選択に色々注文をつけてきています。そんな訳で医者が書いた処方箋薬を薬局に持っていくと、あなたの保険ではこの処方箋は認められていないと云われ、類似効果のある薬や、ジェネリックと呼ばれる、その薬を開発したメーカー製で無くて、同じ成分のライセンス生産の薬に切り替えたり等、最近は処方箋をもらっても薬局での混乱が起こっています。大抵は処方箋を受け取った薬局側が直接医者に電話を入れて、切り替えとか代替薬が可能か?などを打診して選ばれますが、常用していた薬が突然保険が効かなくなりました。と云われて驚くこともままあります。
 

 もう一つ、日本に絶対無いだろう?と思うのが、処方箋薬のテレビコマーシャルです。こう云う症状の病気にこの処方箋薬はとても効きます。これは処方箋薬ですから使用を希望される方は医者に相談してくださいと云う種類の大手製薬会社の広告が毎日のように30秒や15秒のスポット広告として流されます。患者がその名前を知って医者のところに出かけ、この名前の薬を使いたいのですが?と逆に医者に対して処方箋薬の希望を伝える訳です。実際にどの程度の医者がそれを認めるか?分かりませんが、相当な回数の広告を毎日、見かけることから推定すると、それなりの効果があるのではないか?と思います。日本でも名前だけは有名になったバイアグラもその代表ですが、コマーシャルとして多いのは花粉症薬、他に血圧降下剤とか、コレステロール抑制剤、アルツハイマー病抑制剤など、どちらかと云うと長期に服用が必要な薬が多いような気がします。

 最後に処方箋薬の開発はやはりアメリカだなと思われることが良くあります、アメリカでは既に4〜5年前からごく普通に利用されている処方箋薬が、つい最近の日本の新聞で日本でも発売されることになったなどと云う記事を良く見かけます。

それでは

岩間@サンノゼ