石木田一彦さんからの投稿(7)「日本『年賀状』事情」(01・10・30)

 昨年、大手スーパー、コンビニなど、これまで十数年間増進してきた年賀状商品(名入れ印刷、パック商品)の売り
上げが軒並みダウンした。大きな要因はパソコンの普及である。アンケート調査では、50%が自分のパソコンで印刷
したと答えている。

 日本一の年賀状のシェアを誇る富士写真は、200万件相当を扱う。予想売上では300億近いと思われる。2位がマ
イプリントで100万件、3位がフタバ70万件…と言われている。ハガキは官製お年玉付で1枚50円である。当然現金
仕入れ。印刷ミスもうっかりするとばく大なロスとなる。大手業者は数億の単位で5円の交換手数料を払い、ハガキ
を切手に交換して、換金屋で現金化する。ロス率は13%位である。しかし抽選番号が当選のものもあり、4等の切
手が100枚に2枚の確率で当たる。50円と80円の切手セットなので計130円。100枚につき260円が収入となる。つ
まり5000円につき260円が浮いてくる。

 総合的にロス率は軽減され、1枚のハガキにつき8〜9%の損失で済む。非常にリスキーに思われる年賀状ビジ
ネスだが、印刷の世界では1枚の通し単価が最も高い商売でもある。いまだに年賀状で儲けて年越しをする零細
印刷会社が多いのも、理解できる。

 パソコンの影響はそんな零細印刷屋を直撃している。他方一世を風靡したプリントごっこももう勢いはない。もっ
とも、理想科学は学校・企業向けのリソグラフで食っていっているが…。

 ハガキに印刷しないでインターネットで送信して、年賀の挨拶をするシステムも人気である。味気ないという人も
いるが悪くはない。

 欧米では年中いろんな行事があり、グリーティングカードは大きなマーケットに成長している。おそらく日本の年
賀状の数十倍の規模をもっている。銀座の伊東屋には外国人がひっきりなしにカードを買うために来店する。1セ
ット1000円、2000円のものを平気で手にいっぱい買う客もいる。コミュニケーションの発達しているバロメータなの
かもしれない。

 年賀状のビジネスの準備は約1年半前から始まる。つまり今は2003年の羊の準備が本格化している。商談が
年明け早々からあり、やっている業界では季節商品という感じがしないだろう。市場は縮小しているのに競争が
激しくせわしない。

パソコンを恨んでも詮なし。こんなふうに猛烈なスピードで年賀状ビジネスの世界は変化して、悲喜交々、今シー
ズンも始まっている。