岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(143)日米航空社会の差」(01・12・27)

 先日の大曲訪問では大変お世話になりました。23日の早朝にサンフランシスコに戻り、今は時差ぼけ調整中です(笑)。私にとって珍しく米日往復の旅が多い年で、合計11回になりました。

 年によっては一度も日本に行かないこともありますけれど、平均すると年に3回から4回往復しています。ただ、一回の日本出張期間中に日本で何泊したか?となると、ほとんどが3ー4泊だけ。今年は一週間を超えた滞在は一度もありませんでした。自分の仕事が終わったら、出来るだけ早くアメリカに戻ると云う、昔からのサラリーマン気質は変っていません(笑)。

 この米日往復に、どの航空会社を利用したか?となると、圧倒的にアメリカの航空会社になります。今日はなぜ?アメリカの航空会社を利用するのか?と云う背景をエコノミー席を利用するビジネスマンの立場からお話しさせてください。無論、個人の感想から出てきた話なので、異論を持つ方がいらっしゃっても当然だと思いますので、その点はご容赦ください。

 太平洋路線がパンマム、日本航空、ノースウエストの3社でほぼ独占されていた時代には、私自身、日本航空を主に利用していたように思います。理由は日本航空の機内の清掃が他社より行き届いていて清潔感があったことと、こちらの日系企業や日系の旅行代理店に対するプロモーション活動も徹底していてPR活動も相当なもので、緊急時にも相当、細かな便宜をはかってくれていたように思います。そんな訳で日本に出かける便となると先ず日本航空便の座席を代理店は薦めてきました。

 しかし、この状況はユナイテイッド航空が業績不振のパンナムから太平洋路線を買収して状況が変ってきました。ユナイテイッド航空はアメリカ国内では最大規模のサービスネットワークを持つ航空会社でしたが、事業はアメリカ国内の路線が中心で長距離の国際線を持っていませんでした。やはり国際線の運営にはそれなりの経験が必要なようで、珍しがって搭乗した初期の太平洋路線は酷いものでした。利用した航空機は旧パンナム機体を塗り替えただけで、古くて汚くて備品の故障が多いと云うのが実情でした。サンフランシスコから大阪に
飛行する間にエコノミー席用のトイレの排水が詰まって半数以上が使えなくなってしまいトイレのドアに乗客が出入り出来ないようにガムテープを張って故障中と表示され、飛行中、乗客は残ったトイレの争奪戦に終始した等と云う信じられないような問題を経験したこともありました。

 おまけに搭乗したスチワーデスは国際線担当としてはまるでダメ。日本語に対応できる筈のスチワーデスとなると、即製の最たるもので、機内放送では、まともな日本語が使えない有様で、一時期はスチワーデスとは別に、日本語の通訳サービス係の女性を搭乗させていました。

 ただ、その後、ユナイテイッド航空は驚異的な努力を払って、アメリカ国内での実績をベースに、旅行代理店に対して積極的なプローモーション活動を行うと共に、現地の日系企業に対してもきめ細かいPR努力も怠りませんでした。当時は日本経済がとても強く、日本批判を避ける為に、せめてアメリカの航空会社を利用しようとする風潮が日系企業の人たちに有ったのも事実ですし、日系企業の人間は日本の航空会社を利用して当たり前と云う雰囲気に当時の日系企業の駐在員が少し反発したのも事実です。

 さて私が、なぜユナイテイッド航空を含めたアメリカの航空会社を利用するか?と云うと個人的にはいくつかの理由にあります。先ずは長時間の飛行となりますので、何よりも空間が非常に大切です。アメリカの航空会社のエコノミー席は前後の座席との間隔が日本の航空会社よりも広いのです。私のような背丈でも日本の航空会社の機内でエコノミー席に座って足を組むと、膝が前の座席に当たってしまいます。前の座席の背もたれを倒されたらもう悲劇です。次に予約時にエコノミー席でも座席の指定がほぼ確実に出来ます。通路や窓側と云ったこと以外に機内のレイアウトさえ知っていれば座席の列まで指定できます。航空券を予約した時点で、貴方の座席は36列のC席と云う具合に決めてもらえます。

 例えば映画のスクリーンなどがある壁を前にした座席は足が伸ばせないばかりか、スクリーンからの反射光で、周囲が明るくなってしまい眠れません。非常口近くの座席は前に座席がありませんから足を伸ばせて良い点もありますが、隣の座席が空いていても、この座席は席の肘掛を動かすことが出来ないので、2人分のスペースを占有できません。壁を後ろにした座席では背もたれが十分に傾きません。そんなことから座席を指定出来ると云うのは長時間の旅では非常に価値があります。日本の航空会社でも、一応希望として受け付けるのですが、はっきりと保障はしてくれません。遅めに搭乗手続きをするともう希望した座席がないと云うことになります。

 また預ける手荷物は、利用頻度の高い我々の場合、機内に積み込む時に、到着時に最初に手荷物が出てくるように手配されていて、到着後の手荷物受け取り用のターンテーブルの前で、荷物が出てこない?と、長く待つこともありません。日本の航空会社でもビジネス席とかファーストクラスの航空券を持っていれば同様なサービスは受けられますが、エコノミー席では頼んでも先ず難しいでしょう。

 機内に乗客が搭乗する順番も、利用頻度の高い利用客にはファーストクラスの客の搭乗が終わった後、ビジネス席の客と一緒に搭乗することが出来ます。これは機内に手荷物を
持ち込む場合、その置き場所に困る心配が無く大変重宝なサービスです。

 では、なぜ利用頻度の高い利用客であることが分るか?と云うと、アメリカの航空会社が一足先に始めた飛行機に乗った距離に応じて個人の口座に飛行マイル数が貯まるマイレッジサービスがあるからです。このマイル数を無料航空券や上のクラスの座席に置き換えが出来ることから、飛行機を利用する客のほとんどは、このマイレッジプログラムに参加しています。簡単な目安として同じ航空会社を使ってエコノミー席で米日間を4〜5回往復すると米日間の無料往復航空券が1枚手に入ります。

 これに刺激されて、日本の航空会社も倣って同じようなサービスを始めたのですが、内容が随分違います。マイル数が貯まれば無料航空券は手に入るのですが、利用に対して制限事項が沢山付きます。例えば年末から1月15日の間は使えないとか、夏休みや5月連休期間中は利用できないと云う訳でバケーションシーズン用に利用することはほとんど困難です。

 アメリカの航空会社のものは、無料航空券分の座席数には制限がありますが、基本的に早くから申し込んでおけばバケーションシーズンでも十分に利用できます。

最近、日本の航空会社は顧客サービスとしてエコノミー全座席に液晶テレビをつけました。乗客全員が同じ番組をスクリーンで見るのでなく、個人が複数の番組から好みのものを選択して見ると云う映画好きの人には良いサービスかもしれませんが、実は液晶テレビは前の座席の背もたれに取り付けられているので、前後の座席間隔の狭い機内では、目と液晶テレビの距離が足りない為、私などは頭が痛くなります。そんなことから、私は液晶テレビをいつもオフにするのですが、この液晶テレビのコントローラが座席の肘掛の上にはめ込まれている為、ひじのつき方によっては液晶テレビのスイッチが入ってしまいます。寝ている時に目の前の液晶テレビが映り始めて目を覚ますと云う訳です。まあ、ここまでは我慢なのですが、
この液晶テレビを取り付けた為に、エコノミー席の座席の下所々に制御用の大きな金属の箱が取り付けられ、運悪く、その後の座席に座った人はエコノミー席唯一の足の空間となる前の座席の下に足を伸ばすことが出来ません。

 1時間程度の飛行であれば我慢もできるのでしょうが、10時間を超える飛行時間中、足を伸ばせない状態は非常に苦痛です。飛行機利用者にとって何がサービスなのか?の価値観が違うようです。テレビのスポットコマーシャルでエコノミー全席にテレビが付きました!と大々的に宣伝はしていますが、座席の場所によっては足の置き場が無くなりました!と補足説明していないんですね。

 以上アメリカの航空会社のサービスの良い点ばかり挙げましたが、実は先日初めて全日空のサンフランシスコー成田便を利用して始めて気づいたことがあります。この航空会社は
ユナイテッド航空と業務サービスの提携しているのですが、ほとんど全日空を利用しない私のような乗客に対しても、ユナイテッド航空のマイレッジサービスで受けられるのと全く同じ、
上に挙げたようなサービスをマニュアル通りに提供してくれました。

 また、これは偶然なのかもしれませんが?この時の客室乗務員グループだけの気配りなのか?全てのスチワーデスが高価なアクセサリー類や時計を身に付けていないことでした。
日本ではスチワーデスと云う職業は世間から見ると派手な仕事であり、収入も比較的良いことから乗客の誰が見ても分る様な高価プランドアクセサリーや高級時計を身につけている人が多かったのですが、この乗務員グループにはそう云う人を見かけませんでした。無論、仕事中だけ外していると思うのですが、乗客に対する細かい気遣い。これは立派だと思いました。

 2002年もどうやら米日往復が多い年になりそうです。そんなことからまた面白いことが見つかりましたら送らせていただきます。2002年もよろしくお願いします。

岩間@サンノゼ
 

写真:乗客がもどったサンフランシスコの新国際線ターミナル(でも成田と比べると空いてますね)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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