2月8日、ユタ州の州都ソルトレイクシテイーで冬季オリンピックの開会式が行われました。結局、私はテレビ中継を観ることはありませんでした。日本の報道は毎日、選手の近況を
含めて大きく報道しているようですが、こちらの新聞では、聖火リレーのニュースは時々流れたことや、警備に関わる人員や予算がどうのこうのと云う記事、特定の企業が莫大な利益を得ていることなどスキャンダルめいた記事は目についたものの、どんな選手が出場して誰がメダル候補か?と云うような記事はほとんど気づきませんでした。
私の友人もソルトレイク市で冬季オリンピックが開催されることは知っていても、いつから?と聞くと、もうじき?と返事はするけれど、2月8日と答えることが出来る人はいませんでした。開会式のテレビ中継は視聴率25%以上を記録したそうですが、個人的には本当???と云う思いです(笑)。
ソルトレイクシテイーへはサンフランシスコから車でハイウエーを18時間前後東に走ると到着しますし、飛行機であれば1時間ちょっと。時差は1時間ありますが、近隣の州にも関わらず、私の周囲ではオリンピックムードがほとんど感じられないと云うのが本音です。個人の予測として敢えてオリンピック競技でアメリカ人に人気のある種目は?と云うとフィギュアスケートとアイスホッケーではないかと思います。日本期待のジャンプとなるとどうでしょうか?
今日は冬季オリンピックが開催されているソルトレイクシテイーと云う町を私の知る限りの範囲でご紹介したいと思います。
ソルトレイクシテイーは海抜1300mぐらいの高地に位置し人口は17万5千人程度で、アメリカの中ではどちらかと云うと目立たない町です。15年ほど前は中堅規模の民間航空会社のハブ空港になっていたので、乗り換え利用者も随分いましたが、現在はその航空会社も大手に買収されてしまい、ハブ空港としての機能は無くなってしまいました。加えて隣州であるコロラド州がデンバー市に全米一の規模と云う巨大空港を建設した為に、ソルトレイクシテイーに立ち寄る飛行機は随分減ってしまったように思います。そんな訳で私もこの10年ソルトレイクシテイーには立ち寄ったことがありません。
ソルトレイクシテイーのあるユタ州の大半が砂礫を主体とした砂漠、もしくはそれに近い土地で茶褐色の色をした土地が広がっています。車で西海岸から走っていくと、ネバダ州の景色同様にゴツゴツした岩山と、背丈の低い砂漠で生きられる潅木が点在するだけで、味気なさと共にとても人が住めるようなところでは無いと云うことを自然に感じてきます。ソルトレイクシテイーに近づくにしたがって驚くことは雪景色のような広大な塩の平原と生物の存在を感じさせない死んだような湖面を見せる琵琶湖の9倍と云うソルトレイクという名前の塩水湖です。これは日本では絶対に見ることが出来ない景色です。そんな殺伐とした風景を見ながら到着するソルトレイクシテイーの町には、大変、緑が多いのでことさら落ち着きを感じます。
ただ、この町は自然のアオシスに建設された町で無く、この不毛の地に1847年から中西部地域で宗教上の対立から、安住の地を求めて移ってきたモルモン教徒が、山間部から雪解け水をひき、灌漑施設を建設して土地を改良し、農業を起こして町作りをした歴史を持っています。初期のフロンテイアの人達が放棄した土地を、モルモン教徒の協同組合的な組織力によってこの街づくりを成し遂げた訳ですから、この町とモルモン教とは深い関係を持っています。
州の人口の60%以上がモルモン教徒と云われるユタ州の州都であるソルトレイクシテイーはテンプルスクエアと呼ばれるモルモン教の総本山を中心に出来上がっています。日本流に云えば門前町と云うことになります。このテンプルスクエアは特定の施設を除いて一般に公開されていて、信者でなくても自由に立ち入ることが出来ます。モルモン教の歴史や、ソルトレイクシテイー建設の歴史を知る上で興味を感じるところです。ご存知のようにこの教団は海外布教活動が非常に盛んで、外国語を習う人達が多いことから、私のような観光客の人間が施設内を歩いていると、日本語を習っている説明員が直ぐによってきて、日本語で諸々を説明をしてくれます。おそらく今回のオリンピックでも彼らがボランテイアで各国の選手や観光客の通訳として沢山活躍していると思います。
そんな訳で、この町はモルモン教の信仰がここで暮らす人達の生活にも強い影響を与えています。彼らの生活に対して節制した生き方と清潔感は広く知られるところですが、私のようなお酒を飲む人間には困ることがあります。この町では、事実上、アメリカで最も厳しい禁酒法がひかれています。モルモン教徒がお酒を飲むことは勿論ご法度ですが、我々がレストランに出かけても、食事前のお酒を注文できません。
レストラン自体が、お酒のサービスをしないのです。どうしても飲みたければ、自分で酒屋に出かけてそこで酒を買い、レストランに持ち込んで飲むことになります。レストラン自体はお酒は出さないけれど、グラスの提供はしてくれます。また週末には酒屋も店を閉めるところが多く、酒を扱うスーパーではお酒を並べたコーナーだけ、週末はシャッターを降ろして、客が立ち入れないなんてこともあります。
またアメリカのホテルの室内の引き出しには必ず聖書が置かれているのですが、この町のホテルに置かれている聖書は新約聖書でも旧約聖書でも無く、モルモンの聖書です。信者の方たちの誇りの一つに、キリスト教は色々の分派があるけれども、自らの宗派の聖書を持っているところはない。モルモン教だけが独自の聖書を持っていることだそうです。
この町は決して大きな町ではありませんが、春にこの町を訪れると雪が残る山々を背景に緑と花が多く咲き乱れる美しさは本当に見事なもので、気持ちが洗われます。またユタ州は全米でも自然を中心とした国立公園が沢山あることで知られスケールの大きい自然を堪能できるところです。日本からは必ずしも便利の良いところではありませんが、ヨーロッパの人達には大変人気のある観光ルートになっています。
それでは
岩間@サンノゼ