石原敏郎さんの「メルボルン日記(1)移民の街」(02・2・28)

 この度、ケンニチの伊藤さんのご好意でオーストラリア、メルボルンからの便りを掲載していただける
ことになりました。

 私の母は今年76歳になりますが、大正15年仙南村の飯詰で生まれています。その母の妹、私の
叔母ですが、現在大曲市に在住です。そんなわけで、昨年ケンニチを知って以来伊藤さんにはお世話
になっております。

今回、第一回目の便りの前に若干の自己紹介をさせていただきます。

 私は、今年50歳になりますがオーストラリアに移民して17年目です。日本で脱サラし、日本語教師
を目指してこちらに来ました。そして、日本語教師の経験を経て現在、日本人と日本に興味のあるオー
ストラリア人を対象とした日本情報センターを運営しています。自称、メルボルンのセールスマンです。
少しでも、メルボルンの様子を知っていただきたいと願いながらお便りさせていただきます。よろしくお
願い致します。

 私の住んでいる所の近くにオークレーという町がある。私は、土曜日の午前中はオランダ系の連れ
合いとこの町に、主に野菜や魚などの食料品の買出しに出る。この町はギリシャ人の多く住む町だ。
朝早くから、あまり上背のないずんぐりした感じの中年の男女が沢山買い物に来ている。ここへくると、
自分がギリシャ人ではないことを申し訳ないように思えてしまう。

 ここのスーパーマーケットのベンチはちょっと変わっていて、「30分以上座らないで下さい。」と書かれ
ていて、なにやらクールな感じを与えると思ったりもしたが、実はこれ、ギリシャ人の長ッ尻に警告を発
しているものらしい。なにしろ、10人ぐらいの高年から初老の男性が常時、たむろしていて大声で何や
ら語り合っているのだ。恐らく、放っておいたら朝から晩まで続けられる光景なのだろう。そんな人たち
に向けてのメッセージがこのベンチのメッセージなのだろう。

 インド以西はまだ未踏の私にとって、ギリシャ本土や地中海沿岸の国々の様子は実際には見たこと
はないが、恐らくそこでの風習のひとつがそのままこのメルボルンに出現しているのだろう。連れ合い
は一日中この人たちを見ていても厭きないという。東洋人の元相撲取りのような男と金髪の白人女性
が毎週うろついていて、恐らく彼らにも好奇心の種を撒き散らしている私達だとは思うのだが。

 メルボルンは、アテネ、テサロニケに次いで第3番目にギリシャ人の多い街なのだそうだ。それは調
度、アメリカに東京、大阪に次いで3番目に日本人の人口が多い街があるようなもので、ある意味では
脅威だ。勿論、イタリア、中国、ベトナムなどの国出身の人も群を成していて威勢もいい。メルボルンは、
移民というキーワード抜きには語れない街。そんな街だから私達も、メルボルンに入ったその日から不
思議に違和感のなさを感じて溶け込んでしまえるのかも知れない。