岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(149)セントルイスの町」(02・3・24)

 仕事でアメリカ中西部の町、ミズリー州のセントルイスまで出かけてきました。丁度、こちらも学校の春休みの時期でもあり、学生や家族連れの旅行者で、飛行機はほぼ満席。混雑する時期だけに航空運賃もずいぶん値上がって、サンノゼーセントルイス往復運賃は750ドルと云う、サンフランシスコから日本往復するより高い運賃を支払うことになりました。

 サンノゼからセントルイスへは飛行機で3時間半、この空港はちょっと前まで、アメリカでも歴史のある航空会社TWAの主要ハブであったところですが、ここ15年ほどの間に、彼らの強かった路線が中東戦争や相次ぐテロ事件の影響で乗客は激減して、事業として落ち目になってしまい、最近、アメリカン航空に買収されてしまいました。そんな訳で、利用した便名はアメリカン航空なのですが、機体のペイントはアメリカン航空でも、機内の内装はTWAのまま、スチワーデスも制服はアメリカン航空のものだけれど、サービス時に使っているエプロンはTWAのもの。紙ナプキンもTWA名の入ったものと云う具合、駐機している機体もTWAのままのもの、とりあえずマークだけアメリカン航空に変えたもの、アメリカン航空の機体そのものなど等まさしく切替途中にあるといった感じでした。

 セントルイス市はミシシッピー川の西河岸にある町です。地図上からは明らかに東部に近く、西部と呼ぶのは妙な感じもするのですが、西部開拓時代にミシシッピー川から西は未開の地、すなわち西部と云う定義(?)が今も生きていて、この地は西部になります。

 高さ195メートルのゲートウェーアーチこの市のあるミズリー州自体、現在は産業的にも政治的にもそれほど注目されることが無く、地味な土地なのですが、西部開拓時代は、西部に繋がる陸路の出発点であったり、大陸横断鉄道建設時の東の出発点になった土地であり、ミズリー川、イリノイ川、ミシシッピー川の大河が合流する地域であり、川を利用した船舶の中継地など東西交通の要所として繁栄した州で、セントルイス市も第2次大戦が終わる時期には人口85万人を超える全米第4位の都市まで発展したことがあったそうですが、その後、鉄道の中心はシカゴに移ってしまい、港としての相対価値も低下、町は次第に衰退の傾向を示し、現在の人口は34万人ほどですが、引き続き、この町の人口は減少傾向にあるそうで、典型的な中西部の町の動向を感じさせます。

また、先に話をしたように、この地を拠点に成長した航空会社TWAもアメリカ航空に買収されてしまったことから航空路線上のハブの位置も次第に怪しくなる感じがしますから、かっての
繁栄の源であった陸海(ここでは河川ですが)空路の要所としての地盤低下イコールこの町の状況と云う感じがします。

 さて、この町で一番の観光スポットは1965年にミシシッピー川の河岸に建設された高さ195m強のステンレス製のアーチです。ゲートウエーアーチの名称で知られていますが、テレビ塔などの利用目的で建設されたものでは無く、純粋に町のシンボルとして作られたものです。

 町の歴史、すなわち西部への入り口を強く感じさせる構造物です。このアーチ建設に関わる面白い話として、アーチは両側の足場から同時に建設を始めて、そ最高部でアーチとして最後の部材をつなぎ合わせたのですが、その最後の部材のつなぎ合わせの時間帯に、一方のアーチ側に当たる日差しが強く、その温度上昇が金属膨張を起こして一方のアーチが伸びてしまい、接合部の位置が合致せずに上手く繋がらないと云う問題を解決する為に、日が昇って温度上昇した側のアーチに対して、消防車を利用して放水することで、金属の温度上昇を押さえ両方の長さを調節、最後の部材を両端につなぎ合わせたと云う理科の実験のようなことが実際の工事現場で行われたことです。これが建設エピソードとして多くの写真に記録されています。

 本によると、単純に見える形状ですが、現在のアーチ形状が決まるまで、随分多くのデザインが検討されたそうですが、実物も見ると壮大さとやさしさの両方を感じさせる、なかなかの芸術作品のように感じさせます。

 私などにはやや単調な生活に感じられるこの町ですが、なかなかスポーツは盛んです。メジャーリーグでも名門チームのセントルイスカージナルズ、アメフトで2000年のスーパーボールで優勝したセンルイスラムズのホームグラウンドで、地元大学のバスケットボールチームも全米では常に高いランキングを示しています。

 そんなことからか?今回のランチ時の話題はメジャーリーグの話でしたが、残念ながら地元が期待してイチロー、新庄のようなイメージを持って迎えた日本の田口選手がオープン戦で
今のところヒットゼロ、全く見せ場も無く、さっぱりの状態なので、冗談ながら日本選手批判をされてしまいました(笑)。

 
ユニオンステーション ミシシッピー川
5年前にこの町を初めて訪れた時に感じた中西部の、のんびりとした都市の印象は今回も変りませんでした。ジャズのスタンダードナンバー、セントルイスブルースのメロデイーから感じとれる町。昔の栄光の余韻を残す古い町並みの一角と新しい街づくりの2つが混じった町並みをからも、何か寂しさを感じさせる雰囲気の町は今回も変りませんでした。

それじゃ

岩間@SJ

写真1:町のシンボル。ゲートウエーアーチ
写真2:昔は全米で有数の規模の旅客駅舎を廃止後、ホテル、映画館、ショッピング
センターに改装してしまったユニオンステーション
写真3:ミシシッピー川の風景(対岸はイリノイ州です)