日本は4連休なんですね。
今週は私の会社で働く日本人女性社員が週末のスポーツセンターで運動をした後、その場で倒れ、その場から救急車で病院に運ばれ、救急治療を受けると云うハプニングがおきました。一時は昏睡状態で心配したのですが、軽い脳梗塞であり、処置も早かったことが幸いして体の機能障害を起こさずに回復に向かったのは何よりだったのですが、根本原因を探る為の精密検査を行った結果、心臓内部に腫瘍のようなものが見つかり、そこから血瘤が飛散して体内に回った可能性が大であり、投薬による治療は困難であるし、このまま放置すると再度、脳梗塞等の症状を起こす危険が高いと云うことで、急遽、心臓手術を行って、その腫瘍を切除することになりました。
勿論、大きな手術です。私の方は、日本から来た親族のホテルの手配や足の確保、医者と家族の通訳(これが一番の仕事です)など等、仕事は日本の連休で比較的時間的な都合がつけられる期間で幸いでしたが、私的には大忙しです。そんなことから、今回の出来事を通じて、経験したアメリカの病院と医療の話を2回に分けて取り上げさせてください。
最初はアメリカの病院のことについてお話します。
アメリカの病院と日本の病院の機能役割には大きな違いが一つあります。こちらでは、病院と云うのは救急患者を除き、一般の診療を行わないことです。日本の病院の何処でも見かける大きな待合室内で、診療を受けようとする人たちが、長い時間、長椅子に座って順番を待つ、あの独特の風景はアメリカの病院にありません。
何らかの理由で診察を受けようとする人は病院の周囲に独立して建てられたメデイカルセンターとか、プロフェショナルセンターと呼ばれる中にある各医院に出かけます。これは医院のアパートのような建物で、同じ地域の建物に100人から150人ぐらいの医師が自分の専門を看板に独立して医院を経営しています。同じ建物内には血液や尿などの医療検査を専門とする検査会社の採血事務所や処方箋薬を扱う薬局などもあります。
これらのセンターの医師は中心となる病院の医師グループに登録されています。日本で見られるような医師が自宅近くや駅前近くで独立した場所に、自分の医院を構えるようなことは極めて稀です。
一般診療をするこれらの医院の特徴は、内部設備として日本の医院で極当たり前のように置かれた診療器具とか医療器具がほとんどないことです。悪く言うと日本の学校の保健室並の医療設備とか医薬品しか揃っていないことになります。逆に各医院の内装は医療施設的な雰囲気を出さず、明るくしゃれた小さな待合室と予約や支払いを受けたりカルテなどの事務管理をする小さな事務所、それに医者が常時使う事務室と、診察の為に利用する2〜3の診察用の個室があります。医師は診断と処方箋の用意や症状の説明や治療に関わる注意事項を促すだけで、その場の治療行為はほとんどしません。
病院の役割は病院の医師グループに登録される医師の診察を受けた患者が精密検査、手術、放射線などの特殊な治療や入院治療が必要な場合に利用する施設である訳です。
従って病院は高額医療設備や手術室や医療機器と共に、看護士や医療技師の他、看護に関わる専門家や入院生活に関連する生活のアシスタントを常時確保してグループに所属する医者が共同利用出来る場所で、病院自身が採用する専従医師の数は極めて限られています。
医院で診察を受け、入院を勧めた医師は患者に対する諸々の検査の指示を病院に出し、病院側はその実施結果をその医師に伝え、医師は必要に応じて、直接病院内で患者を診察して、次の処置を病院側に指示すると云うのがアメリカの入院治療のシステムです。無論、診断や検査の結果、治療や手術は自分の専門外である場合には、自分の知り合いの専門医を紹介することになります。
手術についても全く同様で、医師は病院の手術室に出向いて手術を担当することになりますから、医者も病院近くのメデイカルセンターやプロフェショナルセンター地域内に医院を構えた方が仕事上も便利が良い訳です。
また、日本と大きく違うのは病院内での看護業務に対する役割です。患者の看護は全て看護士の仕事と云う日本流の考え方は無く、患者に対しての治療方法の説明、実際の看護、採血、注射、点滴などの医療行為、患者の身の回りの世話や食事、患者の検査や手術の為のベッドごとの部屋間の移動など等、驚くほどの数の職種の医療担当者が一人の患者に関係していて、それがシステム的に上手く繋がっている点です。
日本と比較すると驚きですが、アメリカと日本の医療現場との大きな違いです。ここ4〜5年、私の父の入院の関係で、日本の病院の医療現場を直接見る機会が多かったのですが、日本の看護士達の仕事の範囲があまりにも広範囲に及んででいることです。あれだけ多くの種類の作業の全てを間違いなくこなし、間違いがあれば患者の生命を脅かす危険をはらんだ職業です。
医師の診療行為と処方を除いて、入院患者に関わる全てのことを看護士に依存してしまう日本の医療現場と医師と看護士の従属的関係で医療や看護が進められたらアメリカの看護関係者は皆逃げ出すでしょうね。
余談ですが、アメリカには白衣を作業医とする医療関係者がほとんどいないことです。手術に関わるような仕事をする人たちは大体青緑を濁色にしたような衣服、看護士の多くは私服です。時間を争うような救急に関わる医療関係者は衣服の色で担当職務を分けていますし、Tシャツの背中に担当の仕事を大きくプリントした人も見受けます。正直なところ、一見して誰が医師で誰が看護士、医療技師なのか?素人には分りません。判別は職名が書いた胸につけた名札に頼るしかありません。
アメリカの病院も問題はあります。先に説明したように、一人の患者に対し、医療、治療、看護に関わる人が非常に多いことから人件費が跳ね上がって医療費が非常に高いことです。ちょっとした手術や入院で保険が利用できなかった場合など、一般の人ではとても一括払いが困難な金額が請求書として回ってきます。逆に病院も医者も心得ていて、入院期間などは最短日数で留め置くような在宅中心の看護に力を入れています。これは次回の話に加えたいと思います。
岩間@SJ
写真1:私の会社の社員が入院した病院です。病院の病室数が少ないのも
こちらの病院の特徴です。日本から看病に来た彼女のお母さんは巨大な
病院の駐車場に驚いてました。
写真2:病院の建物の周囲にあるメデイカルセンターとかプロフェショナルセンター
と呼ばれる建物です。この建物の中に各医師は独立した医院を持っています。