岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(157)卒業式の季節」(02・6・16)

 サンノゼは一年で最高の季節に入りました。快晴の毎日、午後から吹く、程よい冷たい海風の影響で日中でもクーラー要らずの生活が出来ます。日本の梅雨とは対照的なこの季節、
日本から来られる人たちが感嘆をもらす季節です。

 ちょうどこの時期、アメリカの各学校は卒業式のシーズンです。今日はそんな話を少しさせてください。

 入学式と云う行事は小学校から大学まで無い国なのですが、一方で卒業式は非常に盛んです。卒業式には両親の他に親類や縁者、卒業する学生の友人達も参加することが多く、卒業式の会場は卒業学生数より、はるかに多くの人たちが参加します。そんなことから学校の体育館程度の大きさの会場ではとても収容しきれないので、学校に、余程大きな屋内施設がない限り、卒業式は屋外が行われることが多いようです。学校規模として学生数が多い高校では、この会場に一番よく利用される所が、両側にスタンド席の付いたアメフト試合のグラウンドです。

 アメリカの高校には、ほぼ100%スタンド席が整ったアメフト試合のグラウンドがありますから利用しやすいのかもしれません。

 大学になると卒業式は学部単位で実施されたり、卒業式も6月と12月の年2回行われることから、一回の卒業式としての規模は小さくなります。それでも、どの大学でも一番規模的に大きい学部である文理学部になると卒業学生だけでも1000人を超えることもあるので、2部に分けて卒業式を実施するケースは珍しくありません。この規模になると自分の子供をスタンドの席から見つけるのは容易ではありません(笑)。

 そこで学生達は卒業式に被る上が平な帽子の上の大きなイニシャルを書き込んだり、着用する黒のガウンに目立つレイなどを首に掛けて、遠くのスタンド席からでも親が分かるような工夫をしたりで、一様でない面白さがあります。

 大学の卒業式に親が参列することに対して、日本では親離れが!子離れが!と云うような議論をしてしまうようですが、子供の人生のマイルストンにあたる卒業式に両親や親類縁者も参列して、素直におめでとう!と言って祝うのは私は良いことだと思います。卒業式は両親が参加しやすいような日時を選ぶことが多く、大抵は金曜日の午後3時からとか、土曜日を利用して行われます。

 こちらの大学の卒業式で良いと思うことの一つは学生一人一人に卒業証書が手渡されることです。日本でも小中学校時代はそうであったと思うのですが、高校ぐらいから代表1名が受け取る程度では無かったか?と思うのですが、(最近、変わっていたらすいません)。ただ全員が証書を受け取るまで、学生も参加者も、静かに順番を待っていたのでは退屈してしまうので、知り合いや自分の子供の名前が卒業証書受け取りの為に呼ばれると、参加者や卒業生から掛け声や鳴り物が鳴るお祭りムードになり、別れとかさびしさが伴う日本の卒業式と違って、どちらかと云うと楽しい卒業式になります。

 さて、今年の卒業生にとっては、日本以上に厳しい就職環境です。日本のように先に卒業予定者を内定して、4月1日に全員一同に入社と云うような定期採用システムは無い国ですし、採用即勤務開始と云う就職システムですから、卒業するまで、ほとんどの学生は就職活動が出来ず、就職先も決まっていません。そんな訳で卒業式の後は早々とアパートを引き払い、先ずは実家に戻って、直ぐに就職活動を開始と云う卒業生がほとんどです。この夏は夏休み!と云うのんびりしたムードは無く、この不況でレイオフされた実務経験者の人たちと競って就職先を探す苦労は並大抵のことではありません。卒業式のお祭りの余韻に浸る間もなく現実の社会での一歩がもう始まっている訳です。

それじゃ

岩間@サンノゼ
 

写真:6月8日の次男の大学の卒業式の様子です