日本はお盆の休み入りですね。私の職場では日本からのメールが先週後半からガクッと減っています。先週辺りまで、日本では住民基本台帳ネットワークシステムによる国民総背番号化で起こる?やもしれぬプライバシーの侵害が問題になっているようなので、再び、アメリカの国民総背番号の話題を取り上げてみようと思います。
アメリカの国民総背番号のルーツは社会保険制度上のソシアルセキュリテイーナンバーと云う個人管理番号です。これは収入の一定率の金額を雇用者と被雇用者が同額拠出して納付、被雇用者が一定の年齢に達し、且つ、納付期間(回数)の最低条件を満たせば、拠出額に応じた年金を受け取ることが出来ると云うシステムなのですが、この運営上に必要な個人管理手段として社会保険庁が就労を求めるアメリカ人、若しくはアメリカ国内で就労が可能な労働許可証を持つ外国人の申請に対して個別に与えられる9桁の番号です。
申請後、郵便で送られてくるこのカードは名刺大のぺらぺらの紙の上部にソシアルセキュリテイーと印刷され、中央に氏名と番号がタイプ、一番下に保有者のサイン欄があると云う簡単なもので、写真も指紋もバーコードもICも無い凡そハイテックとか無縁の簡単な証明書です。ただ数字が3桁、2桁、4桁に分けられているので、英語でも語呂が良く覚えやすい番号です。
雇用者は新規採用者に、必ずこの証明書の提示を求め、労働資格のあることを確認し、そのコピーを保管し、被雇用者の毎回の給与から社会保険納付分を差し引き、会社側の拠出金をプラスした額を各自のソシアルセキュリテイー番号を使って納付するシステムなので、本人の職場が変わっても、住所が変わっても、給与が変わっても、この番号を基にして納付された情報を一元化出来ますから、社会保険局として管理運営する上では、非常に都合の良いものです。
また、将来年金を受け取る本人にとっても、この番号情報だけで、職歴等の厄介な情報を提供することなく、その場で年金情報を得ることが出来る便利なものです。事実、受給資格の一つである最低納付回数をクリアすると、その後は社会保険庁から毎年、過去の年度の納付金額と累計、それを基に算出した期待できる年金額の情報が郵便で届けられます。
全くの個人的な憶測ですが、このソシアルセキュリテイー番号を社会保険庁以外で、最初に流用したのがIRSと呼ばれる国税局ではないかと思います。税額は所得が基準ですから、この番号情報は極めて有効です。結果的には給与だけで無く、凡そ所得に関係のある全ての情報、銀行口座開設、保険、株式の売買、為替取引、両替、不動産売買、高額商品の売買、クレジットカード、車の購入等など、お金が絡む諸々の事には、このソシアルセキュリテイー番号の提供が伴い、銀行、証券、保険会社などの金融関係事業所は、ソシアルセキュリー番号とその取引の内容と金額情報を国税局に提供することが義務付けられています。働こうが働くまいが、年間に何らかの収入を得た個人の全てが、納税の対象として確定申告の義務を負う国ですから、確定申告にもソシアルセキュリテイー番号情報は不可欠で、家族としての基礎控除を受けようとする場合には、赤ん坊であってもソシアルセキュリテイー番号を得ぬ限りは家族数に加えることも出来ず、控除の対象から外れる為、親は子供が生まれた年に早々、その子供のソシアルセキュリテイー番号を申請する為、以前は勤労者だけが必要としたこの番号は、今は国民総背番号そのものになりつつあります。
次に、この番号が、普段、どの程度、利用されているかの例を上げてみます。運転免許試験を受ける場合、この番号は不可欠です。州によって差はありますが、労働資格の無い人に対しての救済策として社会保険局が発行する就労不可条件の付いた代用番号で試験を認める州が多いのですが、全く運転免許試験を受けさせない(運転免許を与えない)州もあります。銀行口座や小切手口座開設には、先ほどの話のように、この番号の提供は不可欠ですし、住宅ローンや自動車ローンを組む場合でも、必ず必要です。
民間が運営する健康保険では、この番号をそのまま個人の保険証番号に利用しているところも珍しくありません。皆、必ずこの番号を覚えているからです。学校での学生番号も、この番号をそのまま使います。大学入学許可審査に使うSATと呼ばれる全米共通試験ではこの番号イコール受験番号です。クレジットカードの発行申請にもソシアルセキュリテイー番号は
必要ですし、請求等の間違いを見つけてカード会社に電話で問い合わせる場合も、クレジットカード番号と氏名を伝えただけではカード会社は本人と認めてくれません。ほとんどのケース、カード会社からは貴方のソシアルセキュリテイー番号の下4桁の番号を言ってください!と聞かれます。この数字を知るか?知らぬか?で、電話の相手をカード所有者本人か?否か?の判断に用いています。
病院や歯医者に出かけた時も、初診であれば住所、氏名、生年月日などの書き込みと共に、必ずこの番号の記入欄があります。自動車、住宅などの高額の買い物をする場合にも、当然のようにこのソシアルセキュリテイー番号を提供することは不可避です。
戸籍や住民票の無いアメリカでは政府や自治体が、運転免許書番号やソシアルセキュリテイーこの番号を個人の身分証明として利用するのはもちろんなんですが、政府、自治体での利用はある程度、法律やモラルで縛ることが出来るように思うのですが、実際に生活していて、一番、気になることは民間企業がビジネスとして、この番号と諸々の情報を広範囲に集めて汎用していることです。実際に、このようなことが起きます。住宅ローンの申し込みの為、金融機関に出向いた時、ある程度の個人情報(勤務先、収入、預金や財産、借金歴等)の記入提出を求められます。ローン担当者は申請者によって記入された書類に目を通しますが、申請者のソシアルセキュリテイー番号をコンピューターに繋がった、調査会社の検索システムに打ち込むと、たちどころに、申請者の過去20年間ぐらいのほとんどのクレジットカードの利用、返済や問題暦。金融機関からの借入金やその返済暦や残高等の情報がプリンターからリストアップされてきます。
ローン担当者は先ほど読んだ申請者からの記述内容と、その検索から上がったリストを見比べて、内容に差がある場合に質問をします。例えば、貴方はクレジットカードは2種類持つと書いてありますが、実際は4種類なんですね?とか。このクレジットカードの分割払いが未だ終わっていませんよ? XX年YY月、何故AAカード会社への支払いが遅れたのですか?と云う具合です。
つまりは様々な民間の金融機関がソシアルセキュリテイー番号を利用して個人情報を第3者機関に提供し、弟3者機関が、それを集計して、再び、諸々の金融機関に情報提供するビジネスが存在しているのです。また、時々、個人宛にそういう弟3者機関から何ドル払えば、弟3者機関が評価した貴方の信用度調査結果を提供します。と云うようなダイレクトメールすら届きます。利用法には何らかの法的規制があるとは思うのですが、個人のお金に関わる全ての情報はこのソシアルセキュリテイー番号と云う個人番号を基に、非常に正確に、且つ広範囲に集められて、保存され、ビジネスに利用されていると云うのは本当に気持ちの悪い話です。
日本の住民基本台帳ネットワークも、ほとんどの国民がこの番号を持つ様になった時点で政府や自治体での利用とはかけ離れた目的で、民間企業が、この個人管理番号を利用して最も正確な顧客情報として次第に吸い上げるようになり、その集まったデーターが形を変えて、また利用されると云う、アメリカと同じような利用のされかたになるのではないかと思います。
岩間@SJ
写真1,2:
8月10、11日にサンノゼダウンタウン中心にある公園内で開催されたサンノゼジャズフェステイバルの会場風景です。当日は気温は38度まで上がったのですが、湿度が極端に低い為、暑さは感じてもほとんど汗をかきません。もっとも翌日は日焼けで大変ですが(笑)。普段は公園内での飲酒はご法度なのですが、こう云う行事の時はビールは飲めます。フェステイバル後半はアルコールも効いて踊りだす人が増えます。やはり有料席よりも無料席が人気、場所取りは日本同様、早朝から各所に毛布一枚分を広げて見物(?)場所の確保です。