こちらの2月1日、チャイニーズニューイヤーと呼ばれる陰暦の元旦の朝、スペースシャトルの空中分解事故が起こりました。宇宙開発に絶対安全と云う保証は無く、常に危険を伴うことは承知しながらも、最近ではスペースシャトルの打ち上げや帰還は一般のニュースにならぬほど、定常化していた事実だけにテレビに映った青空の中を白い雲を引いて、空中分解しながら飛行しているスペースシャトルの映像は何とも言えぬ思いがしました。恐らく事故原因究明には長い時間が必要でしょうし、その対応策の実施を考えるとスペースシャトル打ち上げ再開も当分無いでしょうね。
その事故から一週間が経過、スペースシャトル事故の報道が一段落したこともあり、アメリカの新聞やテレビは再びイラク問題に焦点をあわせるようになってきました。一度お話したことがあるとは思いますが、昨年末ぐらいからテレビ番組には戦争ものの映画、過去にアメリカが係わった戦争ドキュメンタリー、アメリカ軍の兵器兵装の詳細を紹介する番組、兵隊の訓練基地での生活ドキュメンタリー、果ては報道解説に退役将軍や高級参謀が出演してイラク国内への仮想攻撃シナリオなどを詳細に説明する番組などが増えたのが最近の傾向です。
大統領を含め政府要人の誰かは毎日イラク問題に関して何らかの発言を行い、国連査察団に対するイラク政府の対応を非難、アメリカは断固とした対応、すなわちイラク国内を攻撃してフセイン政権の転覆をはかることを強調しています。
これらの影響を受けてか?私の周囲の人たちの多くも武力によらない解決が好ましいし、どんな戦争もいやだけれど、イラクについては戦争やむなしと言う人が多いように感じます。その判断の根底には先の湾岸戦争で、イラクは突然クーウエイトを侵略、略奪行為を働いて、多くの油田施設を破壊した。その後も同じ政権が継続している以上、国家として信用し得ないと感じているようです。
マスコミの世論調査の結果もイラクに対するアメリカ政府の考えを支持する方が圧倒的な多数意見であることも間違いないと思います。ただ、アメリカ国内の様子を見ると先の湾岸戦争と比べて、ずいぶん違った感じもします。
現在でもアメリカ国内各地からアメリカ軍部隊が中東に兵力を移動させているのですが、湾岸戦争の時のように一般の人たちの気持ちの高ぶりがありません。湾岸戦争時はイラク軍をクーウエイトから駆逐して奪還すると云う、所謂、仕掛けられた戦争にアメリカは機敏に対応してイラクに勝ちをおさめなければならない。イラク軍は装備も良く、結構強力であると云う先入観もあり、云わば切羽詰まった感覚を持ちながら中東にアメリカ軍は移動していったので、一般のアメリカ人にもその種の危機意識がありました。移動する部隊が通過する高速道路の陸橋に星条旗が立てたり、アメリカ軍を支援するメッセージの垂れ幕が並んでいたものですが、今回はそのようなものを見かけることがありません。
私の暮らすサンノゼ周辺にアメリカ軍の実戦部隊の基地がないのもひとつの理由かもしれませんが、先の戦争ほど国民一人一人の意識が高揚するような雰囲気に至ってないのも事実だと思います。ただ、これは冷めた気持ちで状況を見ていると云うより、イラクに対して圧倒的に強力な兵力を持つと云うアメリカと云う自負から来る一つの安心感が働いているのでしょう。
この戦争準備が我々の生活に直接影響して来ていると思われるものが、やはりガソリン価格の高騰です。近隣の産油国ベネゼーラのゼネストの影響で原油供給が不足ぎみであると云う要因も加わって、昨年末からガソリン価格はじわじわと上昇を続け、普段でもガソリン価格が割高なサンフランシスコ市内ではレギュラーガソリンは1ガロン1ドル95セントと云うほぼ2ドル代の高価格に近づいていますし。サンノゼ近辺でも1ガロン1ドル80セント程度まで値上がりしています。ガソリンは私がアメリカで生活を始めてからの最高値に達しているように感じます。
また、不況によって下落低迷していた株価ですがイラク問題に関連した情報に非常に敏感に反応し、一層の値下がり傾向を示しています。アメリカ人の多くは退職後に向けた資産作りに401Kプランと称する株投資を中心にした材テク資産であることから、株価の下落に連動して、個人資産も日に日に目減りする訳で、この傾向が更に続くと大きな社会不安を起こす要因になりかねない感じがします。
テロ支援国の政権撲滅の大儀のもとに過去の石油利権の復活を狙うアメリカ、それに追従するイギリス。平和解決と唱えながらイラク国内に石油に関して既得の利権を持つフランスやロシアは、その利権維持の為にフセイン政権に恩を売る工作に努め、この機会を利用して中東への影響力を強めたい中国と云う訳で、国連の安保常任理事国の手の内が見えるような状況で、当事者であるイラクも大国の利害の皿の上に乗せられているような印象すら受けます。
本当にアメリカがイラク攻撃をすることになるのか?否か?まだまだ分からぬ要素もありますが、名誉ある撤退が出来る妥協策が見つからぬ現在、アメリカも斧を振り上げ、これが最後!これが最後!と口で声高に叫び続ける訳にもいかないでしょう。
岩間@SJ