岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(178)シリコンバレー景気」(03・03・10)

 こちらは春爛漫の週末でした。夕方からは、まだまだ気温も下がりますが、日中はずばり春。日本のお花見時期の天気のようです。しかし、季節は春なのですが、このシリコンバレーの不景気状態は少しも上向く感じが無く、アメリカ政府がイラク攻撃の構えを続けていることが、益々景気立ち直りの足を後ろから引っ張っているような感じがします。

 無論、戦争で儲かる産業もある訳なのですが、シリコンバレーでは目立って、その恩恵を受けることが出来る企業と云うのは少ないように思います。

 ガソリン価格の高騰は止まらず、少しパニック状態です。今日あたりも、ちょっと安めの値段でガソリンを売るスタンドには10台ー20台の車の列が出来、列は道路にはみ出しています。スタンドにガソリンが無いと云う昔のオイルショック当時とは事情は違いますが、安いガソリンを追い求める消費者心理は益々強まっています。

 昨年末までビッグ3のローン金利ゼロ等の大型キャンペーンで、好条件!とばかり、多くの消費者が新車に乗り換えました。最も人気のあるSUV車は、本来アメリカ人が好きなより豪華な!より大きな!より力のある!と云う消費者心理を掴んで満足感を与える車の代表であったのですが、ここに至って、ガソリン価格が数ケ月前のほぼ2倍になってしまうと、これらの大きな車を持つ人たちはもう安閑としていられなくなってしまいました。

 シリコンバレーでは一般に通勤往復だけで一日に50〜60Kmを車で走る人が多い(100Kmぐらいも珍しくありません)のですが、燃費は改善されたとは云え、1リットルで精々5Kmぐらいしか走らぬ車での通勤は次第にきつくなってきました。会社通勤に対して、交通費の補助などが全く無いのがこちらの給与システムですから、ガソリン代は全て自腹。大きな車を購入したことを今は後悔し始めている人も多く、自慢の大きなSUVを奥さんに渡してしまって、小さなセダンで通勤を始めたと云う知人もいます。

 地元の基幹産業は無論、シリコンバレーの名前の通り半導体産業なのですが、これが全く振るわず、御三家と呼ばれるインテル、AMD、ナショナルセミコンダクターの3社も業績は
ぱっとしません。これらの半導体企業はパソコンと通信機器に深く関わっているのですが、パソコンとインターネット関連共にビジネスが低迷している為、半導体産業は地元の景気の
牽引役になれない状態です。

 岩間さん宅で割いている久留米ツツジ確かにパソコン量販店に出かけても訪れる客の数はめっきり減っていますし、店頭にならぶ機種の数も減ってきる印象です。2月、3月と云うのは量販店も在庫を減らす時期なのですが、量販店の店内が週末でもガランとしているのは異常です。また、家電商品の起爆剤として期待されている地上波デジタル放送用のテレビや大型液晶の薄型テレビのコーナーにも
ほとんど客足が無く、店舗スペースが広いだけに寂しい状態です。

 割高な昼食となる日本食レストランは昼食時でも昔の混雑は無くなりました。割安な中華料理店やファーストフード店や手持ちのサンドイッチで昼食を済ませる人が増えたのです。レイオフされないまでも、多くのシリコンバレーで働くサラリーマンは給料の10%カットは当たり前のような状態になってしまい、ハイテック関連企業の従業員の給与水準は4年前のレベルに戻ったといわれています。同じ不況でも、まだベアが何とか、定期昇給が云々と労使で議論している日本が本当にうらやましいです(苦笑)。

 人材不足が騒がれた当時、従業員が貰ったストックオプションも、今は会社から購入出来る株価よりも株価市場の価格の方が安いと云う状態で、全くの空手形化してしまいました。退職金の積み立てとして好評であった401Kプランも株価の低迷で毎月目減りしている状態。やっぱり現金の方が良かった!と思っている人も多いように感じます。

 とにかく元気の無い今のシリコンバレー。やはり今回の不況は今まで経験してきたシリコンバレー不況とは、かなり違った感じを持っています。

ではまた!

岩間@SJ

写真:暗い時期ですが、自宅庭で咲く久留米つつじの花です。こちらはまもなく満開の季節を迎えます。