岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(185)空港のセキュリティー」(03・06・19)

 3ケ月ぶりの日本訪問でしたが、今回は珍しくサンノゼ空港から成田空港へ直行するアメリカン航空の便を利用しました。アメリカの学校が夏休み入りしたこともあって、乗客は日本人よりもアメリカ人が圧倒的に多く驚いたことに満席の状態でした。一方、成田空港の出発ゲート付近で搭乗を待つ乗客や成田エクスプレスの乗客数の少なさに驚きました。

 今日はアメリカ国内の空港でのセキュリテイーチェックを話題にさせてください。アメリカ国内は、一昨年から空港セキュリテイーは驚くほど強化され過去の常識が随分変わってきました。ちょっと前までは日本の空港と違って、特定の空港を除けば国際線でも乗客の見送り人や出迎えの人達も乗客と同様、ターミナルビル内のセキュリテイーチェックを受けさえすれば搭乗ゲート付近まで出入りすることが出来ました。

 しかし、セキュリテイーの強化で見送りや出迎えはゲート付近で出来なくなってしまいました。言い換えると日本の昔からの空港のシステムと同様な制限になってきたと云う方が正解かもしれません。

 これはどんな意味があるのか?良く分からなかったのですが、アメリカの空港で搭乗手続き時に、カウンターの職員は全ての乗客に対し「見知らぬ人から手荷物を頼まれたり、預かっていませんね?」、「自分の手荷物は自分で詰め、自分で管理できない状態に置かれていませんでしたね?」と云う、2つの質問がこの2年間ほど行われてきたのですが、この質問は無くなりました。

 私自身が感じたのは本当に悪いことをしようとする人が見知らぬ人からの荷物を預かってます。とか自己管理できない状態に手荷物は置かれてました。等と返答することはまづ有りえないだろうから妙な質問だと思ってました。

 実はこの質問は初めて経験する日本人の方には、なかなか苦痛なもので、カウンターの職員が日本人の方に良く分かるような表現で質問をしてくれる訳で無く、同じ内容の質問なのですが単なる疑問文で訊ねる地上職員と、否定の疑問文で訊ねてくる地上職員がいたりして、初回はYesと2回返答すれば良かったのが、別の空港ではNoを2回言わなければいけないと云う、英語の試験のようなことになってしまい、その返事に迷った方も多いと思います。

 英語を母国語にしない人達の多い国ですし、カウンターの職員もその返答結果に困ったのでしょう?。その質問はカウンターに文字として表示されるようになり、会話形式の質問に答えられぬ場合、表示された質問文の下に書かれたYes、Noを指差すよう求められました。

 でも、先の口頭による質問同様、英語の苦手な乗客にとって、カウンターに書かれた英語の文章を一読し、その内容を理解、即YesかNoのサインを指差すと云うのも、なかなか大変だろうと思いました(笑)。この質問は新しいセキュリテイーシステム化で無くなりました。

 一連の変更の中で、最も強化されたものは手荷物の検査です。以前、このX線による手荷物検査や金属検知器によるボデイーチェックは完全に民間警備会社に委託、作業は実施されてました。どういう訳か?サンフランシスコやサンノゼ空港では、この作業を担当している警備員の多くは永住権を持つアジア系の人達で占められていましたが、セキュリテイーの強化と云う理由で連邦政府代行機関が直接業務を行うことになり、その警備作業者は警察官同様アメリカ市民に限ると云う条件が付き、その職場はアジア系からほとんど白人系警備員に変わってしまいました。

 空港セキュリテイー作業の流れの中で、身分証明書の提示回数が一気に増えたことも大きな変化です。搭乗手続き時、航空券とは別に写真入り身分証明書(政府機関発行の身分証明書と云う条件があるので具体的には運転免許かパスポートになります)の提示を求められます。航空券名の人物が搭乗手続きをしているかの確認です。以前はグループ旅行のような場合、乗客の一人やツアーコンダクターがそのグループ全員の航空券を持って搭乗手続きを済ますことも出来たのですが、今は上記の本人確認を受ける為、全員がカウンターに顔を出す必要が生じています。カウンターは本人以外に搭乗券を渡さないと云うやり方です。

 次にX線による手荷物検査や金属検知器によるボデイーチェックを受ける時にも、搭乗券と顔写真入の身分証明書の提示が求められます。これは搭乗者本人が検査を受けているか?否か?の確認です。X線検査、金属検査自体は基本的に日本と同じですが、ちょっと面倒なことがあります。

 パソコンは必ず鞄やケースから出し、その鞄やケースとは別に、X検査を受ける必要があるのです。もっと面倒なことは、多くの空港では搭乗者全員が靴を脱いでその靴も個別にX検査することを求めています。搭乗客全員は金属検査機のゲートを、靴を脱いで通る訳です。脱ぎにくい、履き難い靴だと、その場に靴べら等が用意されていないので大変です。

 さらにパソコンについては抜き取りで、爆発物存在の有無の検査と云うことで、何か特殊な検査紙でパソコンを拭い、その検査紙を専用の検査機にかけます。無論、結果は30秒もかからずに判明するのですが、当世、ビジネスに関わる出張にパソコン無しは考えにくいのですが、その持込は大変になってきました。

 更にもう一回、いよいよ搭乗ゲートから機内に入る前ですが、ここでも搭乗券とは別に写真入身分証明書の提示を求められます。機内に入る前に、搭乗者が本人であるか?の確認です。しかし、これで全てが完了と云う訳ではありません。その便の1〜2%の乗客は、ランダムに選ばれて、再度、機内に入る前、個別にボデイーチェックと手荷物検査を受ける必要があります。

 実はこれが一番面倒で、乗客にとっては運が悪いとしか言いようが無いのですが、ここでの手荷物検査は、X線の透視検査で無く、手荷物を空けての持込物の中身を一つ一つの目視検査なのです。この検査に引っかかると、その検査作業の手間から、搭乗も乗客の中で一番最後になってしまいます。無論、この乗客を乗せずに飛行機が出発することは有り得ませんが、当人にとってはかなり不愉快な検査です。

 これが現在のアメリカの空港でのセキュリテイーチェックの一般的な例なのですが、以前から比べると、機内搭乗までの待ち時間も増えて、乗客にとっても非常に面倒な訳ですが、多くの乗客はこれらの一連の検査に対する不満よりも安全確保に対する協力意識の方が強いような気がします。

それでは!
 

岩間@SJ