西木村出身の詩人・小田嶋忠宏さんの「詩集(2)」(03・11・10)

《二行詩》
 
 

「紅い花」

〈ひとつの不安は、紅い花のようにこぼれた。〉
 
 

(冬)
「あ、雪が。」紅い花にひとひらの結晶(ゆき)
昨日寒風にひと羽の白い蝶たふぁたふぁと天空を目指しぬ
 
 

(秋)
紅い花水に流れ咲かば
残されて悩まし葉はみどりにして散り滝壷に君を抱く
 
 

(夏)
紅い花に明滅せしは螢
明滅せしはほたる裁断したき自己史あり
 

(春)
「この陽光に、ずうと、眠れや。」
少女と少年の恋しく下る道に彼方まで紛れてゆくあれは紅い花