こちら編集室「新しい広告」(2月20日・金)

 雪が雨に変わった。小正月行事も終わって、これからの秋田の冬は春に向かって〃雪解け〃を呼ぶ雨が多くなるかもしれない。冬の雨は確かに春を呼ぶが、風景全体がジメジメした感じでうっとうしい。除雪車という便利な機械がまだなかった子どものころ、雨が降ると道路は凍った雪面がむき出しとなり、ツルツルに滑ったものだった。しかも雪面は馬の背中のような丸みとデコボコで、馬そりが落とした馬のフンとドロで真っ黒に汚れ、転倒すると着ているものが水浸しどころか泥だらけの悲惨な状態となった。

 転ばないようゴム長靴を縄とかワラで巻いて滑り止めとしたものだが、水浸しの道路を歩くと効果は半減した。遊びに出かけ、編んでもらったばかりのセーターを転んで泥だらけにし、泣いて帰ったこともあった。だから冬の雨は大嫌いだった。

 縫い物を生業としていた母は注文を受けては丹前を毎日のように家で縫っていたが、セーターなどの編み物は手がけなかった。だからセーターは外注したものだった。転んで台無しにしたセーターは秋にでき上がって着せてもらった。どんな色だったか。ラクダ色をした下地に青の横線が2本入ったようなセーターだったと思う。

 庭で近所の子どもたちとクギ刺しというただ地面にクギを投げつけて刺し、相手の釘を倒すゲームを遊んでいたのだが、奥から「マー。マー」と母が呼ぶ声がして座敷に上がったら、ニコニコした女の人が新しいセーターを手に、「マコちゃん。これちょっと着てみて」と言った。手を通すと母もその女の人も「背丈はちょうどいいみたいだし、似合うんしナ」と言って、ホッとした顔を見せた。そして「へば、これでいいと言うことで」とその女の人は母からお金を受け取って頭を下げた。母は「マア。そのセーターなら温かいべぇ」と笑顔を見せた。その大事なセーターを冬、雨で濡れた路面で転んで泥だらけにし、台無しにした。情けなくて泣きながら家に帰った。

 あの時、母はどんな声で自分を迎えたのか思い出せない。ただグッショリと濡れたセーターを目にしてオロオロして迎えたかもしれない。とにかく無性に悲しかったことだけは覚えている。そして釘刺しをして遊んでいた時、ラジオからはプロ野球の生放送が流れ、アナウンサーが興奮状態で「川上、打ちました。大きい。大きい。入りました。川上。ホームランです」と叫んだのだけが記憶に残っている。川上はもちろん読売巨人軍の川上であり、その川上のホームランと濡れて台無しになったセーターがなぜかダブって泣きながら自宅に帰った。

 今でも冬の雨は嫌いだ。道路は雪解け水でグシャグシャになり、歩ける状態ではない。水たまりがあちこちにでき、車が通るたびに逃げ場を求めなければならない。秋田は雨と雪で大地が潤い、昔からいい米が取れたと言われた。穀倉地帯は雨と雪で潤った。雪解けを早める冬の雨を厭(いと)うばかりではいけないかもしれない。19日は「雨水」だった。雨にはならなかったが、これかの雨を多少は感謝の念をもって迎えよう。

 本紙に今月から新しい広告が2本、掲載された。一つは大曲市日の出町に本社を構える「佐藤測量事務所」であり、もう一つは田沢湖町の玉川温泉にこの春5月に新しい温泉療養・宿泊施設としてオープンする「ぶなの森玉川温泉湯治館『そよ風』」である。1998年4月に設立した「株式会社ぶなの森玉川温泉(神成裕代表取締役)」が経営するもので玉川温泉、そして新玉川温泉に次いで3つ目の宿泊施設となる。

 佐藤測量事務所の佐藤芳雄社長は「県南日々新聞は毎日、見ている。うちが新聞に広告を出しても会社の売り上げにつながるわけではないが、イメージアップと名前の浸透効果は期待できるだろう」と好意を示し、広告予算を計上してくれた。

 一方、ぶなの森玉川温泉湯治館「そよ風」は株主の方から話があって実現した。株主は「秋田県南日々新聞」の魅力を「まずアクセス数がすごい」と語り、さらに「『読者のお便り』を開いても分かるが全国はもとより、とても海外の読者が多いのもすごい」と語った。そして「玉川温泉は世界に通じる観光地であり、湯治館『そよ風』の存在をケンニチを通じて世界に広げたい」とも強調した。

 嬉しい申し出にただ「お願いします」と頭を下げた。ケンニチは1996年12月1日にスタートした。今年12月1日で8歳の誕生日を迎える。この8年間、何ら変わることなくただひたすら一人で走ってきた。走るというより毎日、紙面を更新できるようコツコツと努力してきた。

 当初の一日のアクセス数は2〜300件だった。それが700件、1000件と増え、昨年は平日のアクセス数1800件前後で推移した。そして昨年3月29日、ケンニチは待望の「100万ヒット」を記録した。100万を記録するまで足掛け7年かかった。それがこの1年でもう150万に達しようとしている。わずか1年で50万件のヒットである。

 ケンニチのアクセス数は今年になってさらに加速した。昨年の平日での平均アクセス数は1800件だったのが、今は2300件平均となった。土日を除いた平日の読者が2300人平均いるというのは大きな励みだ。同時に少し怖い。それこそ下手な記事は書けないし、大きなプレッシャーを感じる。取材するものがないと「今日はどうする。どうしたらいい」と焦る日もある。ニュースを待っている読者に申し訳ないと感じる。

 同時に2300件のヒット数があれば広告を掲載して下さっている企業の名前の露出度も高まり、イメージの浸透には役立っていると思う。それが企業の売り上げにつながり、利益になってもらえたら嬉しい。無収入でスタートを切ったケンニチ。8年目にして初めて、県外の大手企業からの広告をいただいた。ケンニチは大手企業からの広告掲載で紙面のイメージもアップした。いずれの広告も掲載が長く続くよう期待したい。

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http://www.kennichi.com/news04/Jan/n040121.html