岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(200)公的年金」(04・03・22)

  日本滞在中も随分暖かな陽気だと思いましたが、アメリカに戻って みると、サンノゼ、春を通り越して一気に夏が訪れた感じがします。 このまま夏と云うことは無いと思いますが?暑いですね(笑)。

  日本滞在期間中、運良く中学時代の同級生や昔の職場仲間等と 夕食(飲み会?)をする機会があり、大曲訪問を含め、出張の余禄として 楽しい時間を過ごすことが出来ました。大曲訪問時には大変お世話に なりました。

  さて、友人達との会話で出てくる話題なのですが、皆、それなりの年齢に達したと云う証なんでしょうね。年金の話が必ず出てきました。ずばり、その話の核心は、いったいいくら貰えるの?と云う訳で、諸先輩からの又聞きのような話です(笑)。

  私の場合は日本企業を退職し、アメリカ企業で働き始めた後も、 まじめに国民年金を払い込んでいるので、日本の年金受給は出来る筈 だと思っているのですが、毎年、請求書と領収書は日本国内の親戚の所に届くものの、いったい幾ら貰えるものなのか?について、全く情報提供が無く、支払いを行っているけれど、本当に受給資格があるのか?当人ですら 期待だけで、実際には判断や予測がつかない状態です。恐らく、これが日本の年金システムの最も不可解な点ではないかと思うし、良く出来たシステムとは思うのですが、不審を抱かせる大きな理由ではないかと思います。

  今日はアメリカの年金の話を少しさせてください。アメリカでは年金は企業年金と公的年金の2本立てになっています。企業年金は日本でも最近話題になった401Kプランがその大きな柱なのですが、401Kプランは、日本では退職金なのか?それとも年金なのか?判断に迷うところですね。こちらは色々の選択肢もあるので、今回は公的年金を取り上げます。

 以前にもお話したことがありますが、アメリカの公的年金はソシアル セキュリテイー番号と云う社会保険事務所が、個人の申請によって提供する番号で一元管理されています。就労年齢に関わり無く、パートタイム、フルタイム、アルバイト等など如何なる形態で働いても、企業がその就労者に給与を支払う場合、州および連邦に対する所得税額とは別に、ソシアルセキュリテイーの保険料が、その収入から一定率差し引かれます。定額で無く収入額に応じて定率で支払うと云うのが日本との公的年金システムとの違いです。同時に企業は個人が拠出した金額 と同額分の支払い負担義務を負い、その合算した金額を社会保険事務所に 納付するようになっています。

 転職しようが、引越しをしようが、複数の仕事をしていても企業から給料を得る限り、自動的に天引きされるようになっています。また、ソシアルセキュリテイー番号の一元管理によって、年金受給申請時に日本のように過去の就労記録を紐解くような必要は無く、どの社会保険事務所からでも、そのソシアルセキュリテイー番号を入力すれば過去の納付金額の実績が瞬時に分かる透明性の高いものです。

 アメリカの公的年金の受給資格を得るには、合計10ケ年間分(120ケ月分)の保険料の支払いが条件になっています。言い換えますと、収入の無い時期には保険料を納付する義務を負わない訳ですが、過去の納付額に応じて年金受取額も違ってくることになります。

 私の世代であれば、公的年金は62歳から受け取れることになっていますが、戦後のベビーブーマーと呼ばれる世代が受給年齢に近づくに従って公的年金 システムは、日本同様、非常に厳しい懐事情に陥る懸念が強く、62才から公的年金を受け取った場合の減額率を増やしたり等、受け取る側に不利な条件等が、ちらちら見えるようになってきました。

 ただ、アメリカの議会も議員も、実際は高齢者によって支えられていると云う(若い人は選挙に関心が薄い)事情もありますから、制度の抜本的な改革などは議員も話題にしたくないし二大政党も真正面から議論することは避けているような印象を持ちます。

 最後に、日本と比較して優れていると感じられるのが、ソシアルセキュリテイーシステムのサービスです。個人が保険料の10ケ年間分の支払い条件を満たし受給資格を得ると、その翌年から毎年4月の時期に、郵便で自分自身が過去に支払った年金拠出額の年度毎の記録と現時点の払い込みを前提にした年金受給年齢に達した場合の年金受取 額、身体障害等の理由で働けなくなった時に受け取れる年金額。本人が死亡した場合に受け取れる遺族年金額がはっきりした数字で、本人に通知されることです。

 一般的な情報提供としてモデルケースと云うようなあいまいな表現でなく、貴方の場合には。。。。と云う個別の通知なのです。その金額の大小と云うよりも、社会保険に対する国民の信頼をつなぎとめる上で、 このサービスは重要な意味があるように思います。私の場合、米国企業で働くようになってから、日本の国民年金の支払いを海外送金と云う形で、継続している訳なのですが、いったい私は幾ら貰えるものなのか?全く不明な状態と云うのは非常に妙な話のように思いますし、日本で生活されている皆さんも多分、 同じようなお気持ちではないかと思います。

 先日、日本のニュースでは58才ぐらいの時点で本人が過去の就労情報を提供すれば年金金額を通知してもらえると云うような話も聞きましたが、個人的にはそういう情報を積極的に加入者に通知するのが社会保険事務所の仕事のように感じるのですが?年金受け取りは国民の権利であって国家による施しでは無いと云う原点に立ったサービスの提供を国民に出来ない日本の公的年金システムに対する信頼感はやっぱり薄らいでいくような感じがします。

 岩間@SJ

 写真1:カリフォルニア大学サンタクルツ校内の桜(3月15日)
 写真2:サンタクルツの海岸風景(3月15日、夏と変わりませんね)