岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(201)飲料水」(04・04・25)

 長旅になりましたが、漸く出張から戻りました。滞在先が香港を中心とした地域であっただけに、何処も連日日中はほぼ30度近い暑さでした。

 アジア地域を旅して感じるようになったのは飲料水のことです。昔から水道水は飲めるものと信じて、アメリカ暮らしを始めてからも、飲料水にはほとんど気を使わない私ですし、ペットボトルの水を買うこともめったにない私なのですが、今日は飲料水の話をさせてください。

 私がアメリカで生活を始めた当時、今と違いアメリカでもペットボトルの飲料水を買うと云うのはそれほど一般的な習慣では無かったように思います。スーパーマーケットには4L入りの飲料水は売っていましたが、日常の飲用目的と云うよりキャンプやピクニックに出かけた時の飲料用として売られていたように思います。無論、広いアメリカですから水の悪い地域があって、そこでは水道水とは別に飲料水を購入する必要があっても不思議はないのですが、私の生活するサンノゼ地域の水道水は十分飲料に適するものであり、私自身、この水が不味いと感じたことがありません。

 結構質の高い飲料に適する水道水の供給を受けているにも関わらず、飲料水だけを専門に売る店舗が当時から有り、そこではボトル入りの水を売るのでは無く、そこに客が10L以上のブラスチックボトルを複数個車に積んで飲料水を買いに来て、そこで飲料水を詰めて買えるのです。

 その飲料水作りにそれほど大きな仕掛けがあるように思えず、単に水道水をその場で簡単なフィルターを通して再濾過や殺菌処理しただけの水のように思えるのですが、とにかく買いにくる客が多いのです。水が重いこともあるので男手のある夜になると、その店舗は混雑すると云う妙な感じを持ったものです。私自身、十分、生水で飲める水道水なのに、どうしてわざわざ飲料水の為にお金を別に払い重たいものを運ぶのか?不思議でなりませんでした。しかも、その客の大半はアジア人です。

 しかし、最近、アジアに出向くことが増えて事情が良く分かりました。水道水でそのまま飲用出来る水と云うのが、ほとんど無いと云うことですね。高級なホテルに宿泊しても、水道の蛇口には飲用不適と注意書きされています。

 気の利いたホテルには宿泊者用に2本程度のペットボトルがサービスで置かれていますが、それ以外の場合、ホテルに宿泊すると先ずはペットボトルの水を買いにいくか?室内にあるミニバーも高いペットボトルの水を飲まなければいけない訳です。中華料理店では水は出ませんし、それ以外の店でもサービスの水はなかなか提供されません。あえて頼むと、湯冷ましの水を持ってきます。

 冷えた水は逆に警戒され、生水で無く煮沸した水ですと云うことを証明する為、生暖かい水を客に出すのがサービスになっています。そのぐらい飲料水に対する警戒が強いんですね。私も良く現地で脅かされるのでホテル滞在中は歯磨きの水に水道水を使うのが怖くなってしまいます(笑)。

 そんなことから多分アメリカに移ってきた多くのアジアの人達も過去の長い習慣で水道水は飲用に不適と云う感覚を捨てきれないのではないかと思います。水に恵まれた日本の良さを改めて感じるのですが、日本もいつのまにか飲料はペットボトルの水の時代になってしまいましたね(笑)。

それではまた。

写真1:マカオのシンボル、旧天主堂跡
写真2:旧砲台から見たマカオの旧市街