岩間郁夫さんの「旅の雑記(14)アメリカのラーメンブーム」(05・09・06)

  アメリカは夏の終わりとなるレイバーデーの祝日も終わりました。次は11月の感謝祭まで祝日はありません。真夏よりもしのぎ易いし、旅行に良い季節なのですが、皆さん、既に夏のバケーションで予算を消化してしまったのか?私のご近所さんも、どこもお金のかからぬ自宅の庭仕事に集中してました。今日はアメリカのラーメンブームを書かせてください。

  以前にちょっと触れたことがありましたが、アメリカ社会の中での日本食ブームの広がりは相当なもので、人口98万人のサンノゼ市内の日本食レストランだけでも、おそらく200軒以上はあると思われます。既に日本食は日本人が経営し、日本人が料理する特殊なものと云う段階は過ぎ、韓国人、台湾人、ペトナム人が経営する日本食レストランも増えましたし、鮨職人の方も白人を含め人種も様々。鮨そのもののアメリカ版と云えるアメリカでしか無いような鮨ネタや巻物も増え、そのメニューが日本に輸出されるまでになっています。

  しかし、ラーメン店と云うのは、昔からあるものの、店を出しては潰れると云う具合で、中々安定した日本食店としての地位は得られませんでした。以前はサンノゼ辺りにラーメン専門店は無く、サンフランシスコでしか食べられませんでした。しかし、日本のラーメンを食べたことのある人には麺もスープも納得できないという感じで、日系人口の多いロスアンジェルスやニューヨークに行かないと、本格的なラーメンはダメと思ってました。

  アメリカ人の立場から見ると、猫舌系の多いアメリカ人にはあの熱いスープは苦手であり、食べるのに時間がかかること。日本では当たり前なのかもしれませんが、ラーメン一杯に700円から800円を支払い。さらにチップの100円を加えて800円から900円と云うのは他の日本食メニューと比較して割高感が強いこと。更にはあの狭いカウンター席で窮屈な思いをするのもイヤだったのかもしれません。

  そんなことからラーメン店と云うのは日本人客を対象にほそぼそとビジネスを続けるのですが、それでもなかなか流行らないと云うのが常識でした。

  ラーメンとは全く異質なものですが、アメリカで麺類流行の発端となったのはベトナム系のヌードルでポーと呼ばれるものです。米の粉から作った柔らかい麺で、大よそ腰があると云う日本人好みの麺とは全く違いますし、スープも淡白なものですが、アメリカ国内で最大規模のベトナム人コミュニテイーを持つサンノゼでは急速に社会の中で広がっていきました。当然ながら、ベトナム人の会社の同僚に連れていかれてポーを食べるアメリカ人。興味本位で一回は?と思って店に入ってみるアメリカ人。理由は様々ですが値段も400円から500円と云うこともランチとして魅力があったように思います。無論、量としてアメリカ人のランチとしては少なめなのですが、ダイエットブームの背景か?そんなものと云う習慣からか?不満を云う客も減ったようです。(無論大盛りもあるのですが)このポーをきっかけに暖かいスープに麺が入ったヌードルスープと云う食べ物がアメリカ人の中に一気に広がりました。

  最近、サンノゼで日本食の店を開く日本人の方は減ったのですが、今のところラーメン店だけは日本人の方が店を開いています。味の要求を言えばまたキリが無いのでしょうが、少なくともアメリカ生活が長い日本人には納得出来ると云うか?申し分ない味のレベルに達していますし、昔のようにこんなものか?と不満足を感じることも無くなりました。面白いのはこのラーメン店の客の大半は男女を問わず、日本人よりも台湾人、中国人が非常に多いことです。中華にはラーメンに近いものが沢山あり、結構おいしいのですが、日本のラーメン人気を支えているのは彼らのような感じがします。

  ラーメンがアメリカで認知されてきたと云うのは面白い現象です。昼食時、ちょっと美味いと知られたラーメン店にはアメリカでも歩道に順番待ちの客の列ができます。
 

岩間@SJ
 

写真:中国蘇州の定宿の中庭です。市内のホテルなのに中々良く出来ています。