仙北市西木町出身の詩人・小田嶋忠宏さんの「詩集(13)」(06・06・11)

  病気のため04年6月の「家族風景論十八景」以来、休載していた小田嶋さんの詩の掲載が再び始まります。小田嶋さんは1957年、当時の仙北郡西木村出身。神奈川県立横浜翠嵐高等学校卒。横浜在住。これまでの詩集に『コスモスロード』(紫陽社刊)、『宇宙消滅』(紫陽社刊)がある。また短編集『んだら、な!』(文芸社刊)ほか雜文多数。現在は和紙の出版社「横濱文庫」編集長、学習塾「横濱文庫」塾長。

あじさい

「あなたは、りっぱな芸術家になってください」と

言われて電話を切ったのは二年前のことだった。

〈人間失格〉となったぼくが

入院をする直前のその会話が最後の会話になった。

二年前、ひっそりと、

あなたは、自死してしまったのだという。

そのことを、つい、最近まで

ぼくには伏せられたままだった。

Tさん、なぜ、ぼくらは

まだ、生きなければならないのだろう?

ひっそりと

ひっそりと

〈りっぱな芸術家〉にもなれず

よたよたとよたよたと町を歩く人影とすれ違う。

あじさいは、紫。

あじさいは、青。

あじさいは、白。

と、呟きながら
 

今日も青梅雨のあめの通りを。