病気のため04年6月の「家族風景論十八景」以来、休載していた小田嶋さんの詩の掲載が再び始まります。小田嶋さんは1957年、当時の仙北郡西木村出身。神奈川県立横浜翠嵐高等学校卒。横浜在住。これまでの詩集に『コスモスロード』(紫陽社刊)、『宇宙消滅』(紫陽社刊)がある。また短編集『んだら、な!』(文芸社刊)ほか雜文多数。現在は和紙の出版社「横濱文庫」編集長、学習塾「横濱文庫」塾長。
「大曲公園墓地の風に吹かれて」
詩を初めて書いたのは、いつごろだったろうか
なんて
思いながら いまも
売れない詩人を自称しながら
生きてるよ
o-san
生きてるような気に
自分をさせながらね
大曲公園墓地
の風は
淡い日なたの影に揺れている
十三年ぶりの
この墓地は
まだ 人影をこれから待っていた
旧盆の
ぼくは
町のコンビニでワンカップを買った
二本
o-san
と飲むためだ
〈愛〉とか〈正義〉とか
もう 僕らの国には見当たらない
さまざまな〈夏の日〉を選んで
ぼくは
〈友〉の墓地をようやく見つけだしたのだった
この墓地に美しく立ちならんだ戒名だけ
が風に吹かれている
〈愛〉とか〈正義〉とか
ということばは
もう ぼくらの国には生れはしない
o-san
ぼくのこの寂寥だけが
それを確かにしている
だから
ここで飲もう
大曲公園墓地の風に吹かれて
ワンカップは
二本を分けて飲もう
墓石に
独り言のように
酒を流す
この国には
もう見当たらないものを
飲み干すために
ぼくは もう少しだけ
生きているよ
O-san