仙北市西木町出身の詩人・小田嶋忠宏さんの「詩集(14)」(06・08・12)

  病気のため04年6月の「家族風景論十八景」以来、休載していた小田嶋さんの詩の掲載が再び始まります。小田嶋さんは1957年、当時の仙北郡西木村出身。神奈川県立横浜翠嵐高等学校卒。横浜在住。これまでの詩集に『コスモスロード』(紫陽社刊)、『宇宙消滅』(紫陽社刊)がある。また短編集『んだら、な!』(文芸社刊)ほか雜文多数。現在は和紙の出版社「横濱文庫」編集長、学習塾「横濱文庫」塾長。

  「大曲公園墓地の風に吹かれて」

  詩を初めて書いたのは、いつごろだったろうか
  なんて
  思いながら いまも 
  売れない詩人を自称しながら
  生きてるよ
  o-san
  生きてるような気に
  自分をさせながらね

  大曲公園墓地
  の風は
  淡い日なたの影に揺れている
  十三年ぶりの
  この墓地は
  まだ 人影をこれから待っていた
  旧盆の

  ぼくは
  町のコンビニでワンカップを買った
  二本
  o-san
  と飲むためだ

  〈愛〉とか〈正義〉とか
  もう 僕らの国には見当たらない
  さまざまな〈夏の日〉を選んで
  ぼくは
  〈友〉の墓地をようやく見つけだしたのだった
  この墓地に美しく立ちならんだ戒名だけ
  が風に吹かれている
 

  〈愛〉とか〈正義〉とか
  ということばは
  もう ぼくらの国には生れはしない
  o-san
  ぼくのこの寂寥だけが
  それを確かにしている
  だから
  ここで飲もう
  大曲公園墓地の風に吹かれて
  ワンカップは
  二本を分けて飲もう

  墓石に
  独り言のように
  酒を流す
  この国には
  もう見当たらないものを
  飲み干すために
  ぼくは もう少しだけ
  生きているよ
  O-san