もう冬は終わったと思っていた。3月になってからはそれほど毎日が暖かく、青空が続いた。その天候に虫も6日の「啓蟄」を前に目覚めたのだろう。わが家の風呂場の脱衣室に一匹の虫が飛び込んできた。コオロギが脱色したような長い足を伸ばした虫だった。子供のころはかぶと虫、バッタ、トンボ、カエルなど、いろんな虫を追って遊んだのに今は虫が怖い。ちょうど携帯用の電気掃除機を持っていたので、気の毒だが吸い込んだ。(虫さんすみません。そして神さまごめんなさい)
しかし、冬が終わったと思っていたら7日朝と8日朝、そして今朝もどさりと雪が降った。「オイ。雪だよ」。除雪車が久し振りに〃出番〃を迎えたとばかりに勇んで走ったようで、玄関前には雪の塊がタップリと置かれていた。着替えを終えて、散歩に出かけようと外に出た妻も驚いて「エー。こんなに降ったの!」と大きな声をあげた。3日間、散歩を終えてから久し振りの雪寄せ作業をした。まだ冬は去り難いと思っているようだ。
「犬はいい 崖っぷちでも 助けられ」(第一生命サラリーマン川柳から)
小犬のパピヨンを家族にしているせいか、図書館で犬を話題にした本を見かけるとつい手にしてしまう。そして嬉しくて泣いたり、腹を立てたりと感情が激しく揺れる。その本は「命の重さはみな同じ みなしご犬たちの物語」である。大曲図書館の児童図書室にあった。表紙を飾ったどこか淋しげな犬の顔が気になり、その本を借りた。
本はショッキングな話の連続だった。犬を飼っては見捨て、ネコを飼っては捨てる。人間の身勝手さが許せないような事件の連続だった。そうした不幸な犬やネコを一匹でも救おうとする優しい人たちにスポットを充てた物語で、感動の涙がボロボロ落ちた。大阪府能勢町野間大原117にある「ハッピーハウス」を舞台にしたワンちゃんやネコたちの実際にあった話である。
ハッピーハウスは、甲斐尚子さんが代表を務める認定NPO法人「日本アニマルトラスト」が運営している。不幸な動物たちの「駆け込み寺」とでも言うべきだろうか。捨てられたり、身寄りもないまま交通事故に遭ってケガをした犬やネコを保護し、食事を与え、できれば再び動物好きな家庭にもらわれて「し・あ・わ・せ」になってもらいたいと、人間社会で楽しく暮らせるよう訓練もしている。
車にはねられ4本の足を骨折し、ウジにまみれたまま捨てられ、弱っている小犬を引き取ったハッピーハウスのスタッフ。お医者さんが「安楽死」を勧めても、「助けてやって下さい。このまま一生を終わらせては、あまりにかわいそうです。命さえあれば、この犬だって、きっと楽しいこともあると思います。なんとか、命をつないでやってください」と頭を何度も下げる甲斐さんの情熱と優しさには泣けてしょうがなかった。
結局、前足の1本は切断され、3本足となってしまったが、それでも甲斐さんのハッピーハウスに引き取られ、スタッフの愛情を受けて懸命に生きようと頑張り、最後は優しい里親に引き取られ、幸せを見つけたラブと呼ばれた犬。
飼い主から虐待を受け、人間不信となって人を見ただけでおびえる犬。ブリーダーに捨てられ、飢え死に寸前まで弱った犬たちを救った話。両目が見えない犬。左目がない犬。ハッピーハウスでは様々な障害を持った犬やネコも引き取り、世話をしているという。
しかし、世話といっても500頭前後の犬やネコたちに与えるえさ代や医療費、動物舎の維持費や光熱費、それにボランティアも含めた30人のスタッフの人件費などを加えると年間1億1千万円もの経費がかかるという。
その経費捻出のため、ハッピーハウスでは大阪の街頭で募金を求めたり、支援してくれる会員を募集したり、ドッグトレーニングクラブを運営するなど様々な活動もしている。図書館から借りたその本を読み進めているうちに自分も何らかの形で支援できたらと思った。甲斐さんを中心としたハッピーハウスを取材し「命の重さはみな同じ みなしご犬たちの物語」を書いたのは沢田利子さんで、本は社会学習研究社から発行された。
本の売り上げの一部は、ハッピーハウスでの動物たちの保護活動のために使われるという。甲斐さんを取材した沢田さん、そして本にした社会学習研究社に感謝したい。ハッピーハウスのホームページは下記からどうぞ。