柳千賀子さんの「シンガポール日記(9)」(97・4・16)

   

 今回は4月13日に、念願のFIM WORLD CHAMPIONSHIPS(オートバイの 世界選手権)開幕戦を観戦してきたことについて報告したいと思います。

 私は、オートバイレース観戦が大好きなんです。日本でもオートバイレースを見に 行っていましたが、このWORLD CHAMPIONSHIPSは、一年に1回 鈴鹿でしか開催されないため(F1レース日本開催と同じ)、行くことができなかった ので、毎回TVで見ていました。 だから、世界のトップレーサーのレースを目の前で見るのは、 はじめてなので、この Marlboro Malaysian Grand Prix ’97  をすごく楽しみにしていたんです。

 レースの結果や内容については、テレビや雑誌、新聞などで知る事が出来ると思うので、私がスタンドで見たレースについて書きたいと思います。 また、ほかにも会場での出来事やマレーシアと日本との違いでビックリしたこと なども、書きたいと思いますが、今回1回では書ききれそうにないので、 次回にと2回に分けて書くことにします。

 第1回目 まずは、久しぶりに興奮して、まださめやらぬレースについて。

 このレースを知っている方は、「オー、見に行ってきたんだ」と思って頂けると 思いますが、ご存じない方にどれだけ詳しく書いたらいいのか、そう言っている 私も、大好きなくせにあまり詳しくは知らなかったりするので、不明な事がいっぱいあると思いますので、その点ご了承くださいませ。

 13日の朝は雨が降り、雨女の私はまたしてもガックリ。 でもでも、レース開催時は雨も止み、曇っていてときおり涼しい風が吹き レース観戦には、絶好のコンディションになったのでラッキーでした。 レース事態には、あの天候がよかったのか、悪かったのかはわかりません。 でも、レーサーにとっては、ギンギンに照り付ける日差しの中でのレースよりやりやすいはず、と自分勝手に一人で納得したりして。

 オートバイは125cc、250cc、500ccと排気量別にわけて、レースをします。 日本人のレーサーは17人参戦しています。これがまた、速いというか強い というか、世界的に有名で、どのレースでも上位には必ず日本人レーサーが いるんです。私は、同じ日本人としてすごく誇りに思っています。

 今回の開幕戦でも、絶対日本人に優勝してもらいたいし、その瞬間を みたいと思い、メインスタンドのスタートとゴールが目の前で見れる 位置を陣取りました。最終コーナーから直線の一番スピードがでるコース はみれるのですが、ほかのコーナーは見えないので、日本だったら、 ウルトラビジョン(大きなスクリーン)で様子を見れるのが、なんとそこの サーキットには設置されておらず、私たちがいるスタンドの最前列の上に テレビモニターが1m間隔でぶら下がっていて、もしかして、これで見るの!? 会場でテレビを見ている感覚というか、でも、スピード感や、バイクのエンジン音 、オイルのにおいには、直に体感できる。なんとも、拍子抜けするような 不思議な感じでレース観戦となりました。

 まずは、125ccのレース。 7人の日本人レーサーが参戦。夫は、サカタかウエダが有力候補だというので ワクワク、ドキドキしながら、がんばってー!と祈るような気持ちでスタートを 待った。スタートするとやはり、日本人が上位を独占。これはいけるとおもい、 立ったまま「サカター」「ウエダー」と大声で叫びました。届くはずはないけど・・・ 終盤にさしかかり、サカタとイタリアのRossiとのデットヒート。手に汗を握る とはこのことか、すごく興奮しました。

 ふと横を見るとなかなかかっこいい 白人の男性が、私の方をにらみつつ、興奮している様子。もしかして、Rossiを応援 している?そうおもったら、私も睨み返し、ますます応援に力がはいり 「サカタいけ〜」と大声を出していました。私の真っ正面にテレビモニターが あり、食い入るように見ていたら(光の加減で、これがまたみにくかったりする) さっきの白人が、私の隣ピッタリに来て(それまでは少し離れていたのが) 一緒にモニターを見ることになり、サーキットではサカタとRossiの激しいバトルが続き、スタンドでも、日本人の私と、どうもイタリア人らしい白人との応援 バトル。

 最終ラップにはいり、サカタが1位になったので、これは大丈夫とおもって いたら、最終コーナーでちょっと大回りしてしまい、そのすきに、Rossiに 抜かれ、あえなく2位。「ウッソォー」と呆然としていたら、隣のイタリア人は手をたたいて大喜び、私に握手を求めてきた。悔しかったけど、すごくいいレースだったので、 ニコニコ顔で握手してしまった。

 「サカタはグットレーサー」だと誉めてくれたので、 なんと、私たちは仲良くなってしまったんです。「日本のHONDAのバイクもgoodだけど、イタリアのAPRILIAのバイクは very goodだ」といい、やたら上機嫌。サカタもRossiもAPRILIAのバイクにのっていたので、無理もないかも。 結果は、1位Rossi 2位サカタ 3位ウエダ(もしかしたら、違うかも。ちょっと 自信がないです。)でした。

 続く250ccのレース 6人の日本人レーサーが参戦。今年ののWGPで日本人にとっての見所は、 青木3兄弟が参戦していることです。 95、96年と2年連続125ccでグランドチャンピオンになったアオキハルチカ(三男) が今年は250ccにステップアップしての参戦。バイクも一回り大きくなり どこまで上位にくいこむかが楽しみなところ。

 夫いわく、昨年のグランドチャンピ オンのBiaggiは、メチャクチャ速いから2位と3位はハラダとアオキがねらえるかも。 Biaggiは、またしてもイタリアのレーサー、隣のイタリア人もなんだか勝ち誇った ような顔をしている。とにかく力の限り応援したものの、だんとつ1位はBiaggi 2位ハラダ、3位アオキでレースは進み、等間隔で、誰かが転んだり、 マシントラブルがない限り順位は変わらないといったレース展開。隣のイタリア人もやたら落ち着いてみているし、私も2位と3位が125ccに続き日本人だし、 アオキが頑張っているからと、125ccのレースとは打って変わって、おとなしく観戦。

 結果は、やはり1位Biaggi 2位ハラダ 3位アオキハルチカ 隣のイタリア人いわく、Biaggiは、HONDAのバイクで、ハラダはAPRILIAのバイク にのっているけど別に問題はない。といいながら大喜びで、またもや苦笑いしながら握手をしてしまった。

 最後の500ccのレース。 4人の日本人レーサーが参戦。アオキノブアツ(長男)、アオキタクマ(次男)兄弟 で、WGPに参戦して、しかも同じクラスでレースをするなんて、他国にはいないので、日本としては誇れるレーサーなんです。 ほかに、アベ、オカダとこれまた有名なレーサー。ポールポジションは、オカダ だったので、これは面白いレースになりそうとワクワク、どきどき。でも、 オーストラリアのDoohan、スペインのCrivilleもめちゃくちゃはやいからなぁ〜と 夫はみずをさす。

 スタートして2〜3周目アオキ兄弟が1位2位とバトルをして 「いけぇ〜」と大声を出して、興奮しました。 それにしても、速すぎて、目が追いついていかないあのスピードは、ただものではありません。

 これはイケルかもと思っていたら、 ジリジリとDoohan、Crivilleが追いついてきて、1位Doohan、2位Criville、3位 アオキノブアツ、4位アオキタクマの順位でレースは進んだ。隣のイタリア人は なんだか静かな様子。イタリアのレーサーCadaloraは、5位だったからです。 失礼ながら、Doohanか Crivilleのどちらかがリタイアしてくれたら、アオキ兄弟で 表彰台にのれるのにと思ったのは、私だけではないはず。250ccと同様に 1位〜4位まで独走になり、誰もがこのまま行くだろうと思っていたら、終盤 5位のCadaloraがジリジリと追い上げてきて、隣のイタリア人がだんだん興奮して 大声を出していたので、私も負けじと「タクマいけぇー」と大声で叫んだのもむなしく、ゴール直前で、追い抜かれてしいました。

 隣のイタリア人はまたもや、 手をたたいて大喜び、3度目の苦笑い握手をしてしまいました。 結果は、1位Doohan、2位Criville、3位アオキノブアツ でした。

 生身のからだで、一歩間違えたら、生死をさまようかもしれないあのスピードを操れるなんて本当にすごいです。同じ人間には思えないほど。 女には絶対出来ない、男のロマンを感じました。

 はじめてWGPを観戦して、すごく楽しくって久しぶりに興奮しました。 やっぱりあのスピード感はたまらなくいい。 私は、第13戦のインドネシアでのレースを見に行くために、WGP貯金を することにしました。

 そういえば隣のイタリア人は、レースが終わると、表彰式をみずに、SEE YOU! といって帰っていきました。どこかで又会うことがあるのかなぁ〜と思いながら、 私も、SEE YOU!といって手を振ってしまいました。