柳千賀子さんの「シンガポール体験記(16)」(97・7・14)

 さて、今回の体験記は猪のように突進した先をいよいよ書くことにします。

 バスケットの帰りが大変だったことを夫に話して、「うちに車があったら、あんな大変な 思いをしなくても済むのにぃ〜!」と夫を責めてしまいました。会社が車を用意してくれて そのカンパニーカーに日本人の駐在員が乗っているケースがほとんど。しかし、我が家の場合 夫は出張が多いので、仕事上ではあまり車を使わないし、シンガポールで車を購入すると言うことは 並大抵なことではなく、とにかく日本の10倍ぐらいの値段で販売されているので、そうやすやす と買うことが出来ないらしい。(車に付いてはまたの機会に書くことにして。。) ということで、我が家には車がないんです。ドライブが大好きな私にとっては、そのストレスが 溜まっていて、「運転したぁ〜い!」とたまに吠えてストレス発散をしている次第です。

 まぁ、こんなことはどうでもいいことで、話の続きを書きましょう。

 バスケに行くのに、毎回Aちゃん宅の車に乗せてもらうのも悪いし、タクシーは、行きは良いけど 帰りが大変だし、バスは、すぐ近くなのに乗り換えをしないと行けないし、 帰りは誰か仲良くなって乗せてもらうというのも、やっぱり悪いし、すごく近いんだけど、 歩いては行けないだろうし、などなど考えて思い付いたのは、「自転車でだったら行ける。」 ちょうどタイミングよく、近くのショッピングセンターで、マウンテンバイクの特売をやってい るのを発見。

 一人で見に行って、翌日は夫が見に行って、金曜日、土曜日は二人で見に行って、 自転車があったら、近くのスーパーにも乗っていけるし、近くに住んでいる友達のところにも、 わざわざバスに乗らなくてもいけるし、でもでも、それくらいだから、買ったところで果して 元がとれるくらい乗れるだろうかと、すごく迷っていたら、目をつけていた自転車が2台あった はずが、1台しかない。

 当然のように私は焦ってしまい、「あのスタッフに話を聞いてみてよ。」 と私が言うと、夫は「何を聞いたらいいんだよ。」私は「えっ!・・」動揺している自分が なんだか恥ずかしい。お店のスタッフも毎日のように来ているから「また来たよ」といった 感じで、寄り付いてもこない。「車は望めないから買っちゃえば」と夫の一言で、赤の マウンテンバイクをとうとう買ってしまったわけです。それも18段変速付き。

 我が家に乗り物が来たぁ〜って感じで、ルンルンな気持ちを押さえて、 夫の前ではクールな顔をしたいたような。 その自転車に乗って帰ることになったものの、私はその時短いスカートをはいていたので 乗ることが出来ず、夫が嬉しそうに乗っていた。これが6月29日日曜日の出来事だったんです。 「来週は、愛車でバスケに行くぞー!」と張り切っていて、夫に「おまえが何か始めると、 物はいろいろ増えるし、お金もかかるよ」と言われ、私もめげずに「そうだね、あと リュックも買わなくっちゃ!」。夫は言葉を失っていた。 愛車は赤だから、リュックも赤でそろえて準備万端、あとは日曜日を待つだけのはずが・・

 金曜日の夜、私たち夫婦に友達二人がジョイントしてテニスをすることになった。 月曜日のレッスンの為の練習ということで、張り切っていたら、3発ぐらい打ち返した とき、右足の付け根の部分が、ググッと音がしたようなしないような。折り曲げストロー の曲がる部分をグッと伸ばしたような感覚。無理して2発ぐらい打ち返したもの、痛くて痛くて 走れなくなりあえなくリタイア。どうも、筋を伸ばしてしまったらしい。 始めて5分もしないうちに出来なくなるなんて、悔しいィ〜。「年なんだから、張り切りすぎ 何だよ。おばさん。」なんて夫に言われ、ますますムカァ〜。

 おかげで、私はボール拾いのおばさんになり、友達二人は、私よりはるかに上手なので 夫を交えて、ラリーは続く続く。私とはあまり続かないから、夫もすごく楽しそう。 その日は、ほかの友達もテニスをしていて、ボール拾いをしている私を見て、「あの千賀ちゃんが なんでやらないんだろう?」と不思議に思ったらしい。

 翌日の土曜日は、昼は知人宅でお好み焼きパーティー。夜は別の友達のコンドミニアムで バーベキューと食べづくしで、バスケをするためにスタミナバッチリ。ビールやワインも 珍しく程々にしておいたのに。

 日曜日の朝、やはり右足は痛い。もう少し若かったら治っていたはずなのに、体力はあるけど やはり体の衰えはそうはいかないらしい。 あんなに楽しみにしていたバスケは、大事をとって休むことになってしまったのです。

 ちょうどお昼時、歩いても行ける所にタイレストランがあるので、自転車の練習を兼ねながら ランチを食べに行くことに決定。今度は自転車に乗るんだからとショートパンツをはいて、 お気に入りのナイキのシューズを履いて、張り切ってでかけた。

 私の場合張り切るとよくない らしい。 コンドミニアムのバックゲートの所にガードマンがいて、ニコニコしながら「新しい自転車かい? とてもいいよ。」と言ってくれたので、私も上機嫌で「なかなか良いでしょう!」という ゼスチャーをした。バックゲートまでは夫が乗り回していたので、ゲートを出て、歩道のところで いよいよ乗れる事に。

 なにせ、ママチャリしか乗ったことがないから、マウンテンバイクの 乗りかたをまず聞いて、「最初の乗りかたとしては、座ってから漕ぎ出せばいいよ。」と 夫のいう通りに乗ってみたら、フラフラしながらも乗れたぁ〜!。がしかし、 1mも進んだか進まないうちに、段差のところにつまづき、ヤバイ!とおもい、降りようとし たら、マウンテンバイクの真ん中の棒が邪魔になって、そのまま「ヒャ〜」と叫びながら ズデェ〜ンとすっころびました。よりによってデコボコのコンクリートのところで。

 夫は腹を抱えながら笑っちゃうし、バス停には人がいっぱいいて、バスの来る方向を 見ていたということは、私のことも見ていたはずだし、前の道路は車が渋滞していたし、 すごい無様な格好をかなりの人々にに目撃されたわけです。 起き上がってみると、左足のひざから血が流れていて、痛いんだけど、それよりも ちゃんと乗れなかったのが情けなくって。悔しくって。ショックで。 かつては、高校のとき50分ぐらいの道のりをチャリで通っていてかなり慣らしていたはずが・・ とにかく、血だらけのままではタイレストランには行けないから、手当てをしに 家に戻ることに。

 そしたら、バックゲートにさっきのガードマンがいて、何分もしないうちに血だらけに なって帰ってきた私を見て、心配そうな顔をしつつもゲラゲラまたもや腹を抱えて笑われて しまって、私もつい笑っちゃった。こんな姿を友達には見られたくないと思いながら、 歩いていると、前方から「千賀ちゃん!」と呼ぶ声がする。「ゲッ!誰?」と思ったら、 友達のKちゃん夫妻。ご主人には初めてお会いするというのにこの姿。トホホホ。

 家に戻って、夫に傷口の手当てをしてもらったら、その痛いこと痛いこと。何年ぶりかで 味わうあの痛さに絶えられず「痛ぁ〜い!」。思わず悲鳴をあげるほど。 「なんで、倒れる前に助けてくれなかったのよ!」と、夫にあたってしまった。 「ちゃんとブレーキもきくし、脚も届いていたはずなのに、おまえ突然変な格好で 飛び降りようとして、それがおかしくって笑っていたら転んでたんだもん」と夫は言う。 と言うことは、自分が想像するよりはるかに無様な格好で転んだらしい。そういえば、 ママチャリに乗っていたときは、ブレーキをかけながらも飛び降りて脚で止めていたかも。 ついその癖がでてしまって、だから、真ん中の棒が邪魔だったのだ。

 「降りかたを教えてくれればよかったのにぃ〜!」と、またまた夫にあたってしまった。 私には、流行りマウンテンバイクより、ママチャリの方が合っていたのかも。 今となっては、もう遅い。

 翌日、大事をとってクリニックに行ったところ、縫わなくてもいいけど、全治3週間と 診断されました。と言うことは、テニスも、バスケも、泳ぐことも当然しばらくお休み。

 だから、テニスのレッスンを受けているといっても、まだ1回しか受けていないし、 バスケットをやっているといっても、まだ2回しか行けていないのです。恥ずかしながらトホホ。 最近は物静かな日々を送っています。

 クリニックの先生が面白かったので、書きたいのですがまたの機会にします。

 長々と書いてしまいましたが、私の珍アクシデント話は終わりです。