岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(10)」(97・7・14)

 カラ梅雨と聞いていたら急に大雨とか?日本の梅雨はまだ開けないんですね。カ リフォルニアは乾季の真っ最中。毎日、何処かの山火事の様子がニュースで流れ ています。ニュースにならない規模の山火事は日常茶飯事で我々の家の近くでも 山の斜面の枯れ草が燃えた後が黒々と広がっている所が簡単に見つけられます。

 こちらには山林火災専門の消防組織CFDがあり、山火事が発生すると、地元消 防隊と共に何処からか消火用の飛行機やヘリコプターが飛んできて空から消火に あたります。また被害が拡大しそうな場合は地上消火部隊も参加する訳ですが、 ブルドーザ等の大型装備の部隊の車両が移動する姿は迫力があります。

 さて今日はアメリカの新聞事情を少しお話したいと思います。 アメリカの新聞と日本との違いはアメリカの新聞は全国紙なるものがほとんど存 在せず、読者は基本的に地方紙を購読することです。従って日本でも名前が通る ニューヨークタイムズ等も地方紙です。歴史的な背景の詳細は知りませんが、多 分、国が広く時差があり同時配達の手段が無かったことが理由ではないかと思い ます。最近は通信手段の発達で、紙面を衛星中継でFAX転送、各地域の印刷所 で刷って全国同時発行するUSAトウデイー等の全国紙も出てきましたが、未だ に店頭売りが中心で、毎朝、各家に届けられるには至っていません。

 私の住むサンノゼ市にはサンノゼマーキュリー紙という地元新聞が発行されてい ます。シリコンバレーの中心にあることから電子工業の記事には定評があり、日 本の企業でも航空便で手に入れて購読しているところはずいぶんあると聞いてい ますが、あくまでも地方紙です。サンノゼで新聞と言うといわゆるこの新聞を指 すことになります。

 新聞の特徴を何種類か上げてみますと最初に驚かされるのは紙面の量です。日本 の一面に該当する主要記事、ローカル記事、スポーツ記事、産業経済等など7ー 8のカテゴリーに分類された小雑誌のような形態で各ページ数が10から20ペ ージありますので、毎朝届く新聞のページ数は軽く100ページを超えていま す。

 ローカル紙である特徴は例えばスポーツ記事の中にプロスポーツに混じっ て、毎週行われる地元の高校の各スポーツの成績が記載されていますし、大半の 広告は全国広告では無く地元広告です。また広告だけのページも多く、住宅、 車、ボート、バイク、電気製品、雑貨等の売ります買います式の個人広告や定期 採用が無いこの国では政府企業の求人は大小企業に関らず紙面を通じて行われる のが普通であり、各職種別に分類されて毎日求人広告で10ページ以上専有して います。日曜版等では更にこの種の広告は増えます。

 そんなことからアメリ カの新聞の紙面面積の半分以上が広告かと思います。私の勘ではアメリカの新聞 社は購読料で無く、広告料で食べているんでは無いかと思います。何れにしても 地元に密着しない限りこのような新聞は出来ない訳で、地方の情報がプンプンす るのがアメリカの新聞の特徴です。

 また日本と少し違うのはテレビラジオの番組表が毎日記載されていないことで す。これらの番組は日曜版の小紙に一週間単位でまとめて載せられますが、 この案内は日本の紙面の方が優れているように思います。 更にいつも日曜日には普段配達される量の倍の新聞が届きます。日曜版にはあま り時間が問題にならない旅行とか芸術、読書、園芸、インテリア等の住宅関連ペ ージが加わります。また日曜版が貴重なのは新聞に入ってくるチラシ広告のクー ポンです。大抵の家では奥さんがこの広告から必要なクーポンを切り抜き、保管 してスーパーやドラッグストアーで使うことが日常です。中にはハンバーガーや ピザチエーンのクーポン等もあり、買い物でクーポンを有効に活用することが家 庭の知恵となっています。人によっては新聞は見なくても購読する。新聞と一緒 に届けられるクーポンだけで新聞購読料は十分カバー出来ると思っているようで す。

 自動販売機による新聞の街頭売りも有ります。スーパーの前等に良く自動販売機 が並んでいます。でもこの自動販売機は全くいい加減な機械なんです。箱の中に 新聞が20ー30部積まれているだけで、コインを入れると箱の蓋を主動で開く ことが出来ますが、原則はむろん一部なのでしょうが、何部でも自由に取れるん です。多分、ごまかす人もいるとは思うのですが、あまり細かいことを言わない のがアメリカです。

 一番気にいっているのは米国の新聞には日本のような休刊日なるものが無いこと です。分かっていても朝新聞が届かないのはさみしいものですから。 また近年、米国の主要都市では日本の全国紙を衛星版として再編集、現地印刷さ れ、日本との時間差も無く夕方に届けられるようになりました。家庭用としては米 国生活感覚からすると、ちと高価ですが、日系企業の多くは購読しています。た だ理解しがたいのはなぜか見ることが出来ない日本のテレビ番組表が1ページを 割いて記載されていることです。 おおざっぱですがアメリカの新聞の紹介でした。