岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(13)植物の移動」(97・9・2)

 ようやくハワイでの休暇から戻ってきました。オアフ島のワイキキは都会の騒音 と排気ガスの臭いですが、カウアイ島はまだまだ静かですね。海の青さも違いま した。ハリケーンで島の観光ビジネスが一時は壊滅的な打撃を受けたと言われま したが、今は見事に復旧したという感じでした。カウアイ島は初めてでしたが、 何かこの島が妙に気にいって、リタイアーでもしたらここで暮らそうか?なんて 家内と半分は本気で話していました。そりゃシリコンバレーのような競争社会も ビジネスマンとしては面白いんですが、何とか生活が出来れば自由でのんびりし た社会も悪くは無いと言うのが実感でした。

 今日、県南のページを見たらススキの穂が垂れた日本の秋の風景。良いですね。

 そこで今日は植物の話を少し。

 同じ国とは言えハワイへは米国本土から勝手に植物や種や果物を持ち込んではい けません。同様にハワイから米国本土へ同じように持ち込みは不可です。特にハ ワイから本土に持ち込む場合は必ず植物検疫を受ける必要があります。つまり正 式に検査許可された以外の種や根のある草木は本土に持ち込めません。ただ、切 り花はこの対象から外れています。

 この植物検疫は海で離れたハワイと米国本土 の間では理解出来るのですが、米国本土の中でも存在します。特に農業の盛んな カリフォルニア州は非常にセンシテイブなんです。 ハイウエーを走って他州からカリフォルニア州境に入ると道路上に検問所が存在 します。これが植物検疫所です。

 検問所で停止する前に、まずカリフォルニア州 のナンバーをつけた車と他州のナンバーをつけた車と検問所の入り口が分けられ ます。カリフォルニア州のナンバーをつけていた場合は旅行先からの帰りと見な され、停止して検査官が何処へ行ってきたか?という質問と他の州で購入したフ ルーツや草木が無いか?をたずねるだけで、よほどおかしな返答をしない限りは 車をのぞき込む程度で行け!と合図をしてくれるんですが、他州のナンバーをつ けていた場合は同じような質問と同時にトランク等を開けて成田空港同様の検査 を受けるはめになる場合があります。

 特に商用車両の場合は検査が厳しく、トラック類は積み荷を証明する書類の提示 が必ずもとめられ、果物類を運んでいる場合は所定の許可を受けたものか?否か かなり厳密に検査を受けます。目的は他州からの害虫の水際作戦なんですが、陸 続きなのに本当に意味があるか否か不可解なんですが、今も続いています。

 米国でも東部の方に行くとこのような箇所は無いので、東海岸から来た人間は始 めてハイウエー上の検疫所を見てビックリするようです。確かに12年ほど前に カリフォルニアで地中海ミバエが大発生した時、カリフォルニア州の中でも発 生地域からの柑橘類の移動が禁止され、農家は大被害を受けました。カリフォル ニアでは家庭の庭に1ー2本の柑橘類の木が植わっているのが普通ですから、結 局農場だけの薬剤散布では効果が不自由分であった為、この時は町中、住宅地も 薬剤散布の対象となり、毎晩、散布地域が決められ、その区域の外出を控えるよ うに案内されて、夜間数台のヘリコプターが編隊を組んで一斉空中薬剤散布が実 施され、数ケ月後にミバエ騒動は納まりました。

 でもこの薬剤が車の塗料を傷め るとかで、州政府はその後の保証で大変であったようです。 何れにしても米国は州政府の自治権が強く、州の方針と言うことでこのような検 疫が実施されている所があります。