袴田勝浩さんの「イギリス暮らし(2)引っ越し」(97・10・23)
ダイアナ妃の悲劇から、あっと言う間に一ヶ月以上経ってしまいました。 事故自体に関しては、未だに諸説あるようですが、その葬儀の日のことです。 私は、ロンドンにある八百半ショッピングセンターに行こうとしていました。 そして、いつもガソリンを入れているスタンド(スーパー直営で安い)にいっ たのですが、何と、スーパーごと休みでした。 そのスーパーは、9月から、24時間営業をはじめたばかりだったので、なん か変だなあ、と思いつつ、近所のガソリンスタンドを回ったのですが、何と、 ほとんどが休みではないですか!。ようやく、一軒見つけて、ガソリンを入れて、ロンドンに向かったのですが、 車は、ほとんど走っていませんでした。高速道路には、ロンドン市内には車で 来ないように!という表示があるにもかかわらずです。 後から知ったのですが、ほとんどの商店は休んで、喪に服していたようです。 でも、八百半ショッピングセンターは、営業していました。 (日本だったら、非国民とかいわれそうですね。)
ところで、前回は、イギリス到着で終ってしまいました。 何か、つまらない、個人的な思い出を書いているようで申し訳ありません。 つまらん、こんなもんはやめろ、と思う方は、伊藤さんまで連絡して下さい。
とりあえず、勝手ではありますが、その続きです。 (どこまで話が進むか疑問ですが。)
イギリスに到着したのは、5月末で、天気は良かったのですが、何と、この時 期、イギリスでは、花粉症の時期でした。私は、ひどい花粉症で、日本の3、 4月の時期を何とか乗り切って、今年も花粉症の時期が終ったと思い、ほっと していたのに、イギリスで花粉症の症状が出て、7月位まで、辛い思いをしま した。(知ってる人は知ってると思いますが、非常に辛いものです。) それ以外は、基本的に、天候も良くて、暖かく、良いシーズンでした。聞いた ところでは、4月は、April Shower といわれるほど、雨が降るそうで、5月 から8月くらいまでは、とても過ごしやすくて、良いシーズンだそうです。 北半球はどこもそうですが、6月の夏至の辺りが一番、日が長くなります。 イギリスは、ロンドンが大体北緯51度と、北海道よりも北にあるため、6、 7月は、朝は6時前から明るくなり、夜は10時近くまで明るい、という、状 態でした。(もっとも、その分、冬は、日照時間が短いそうです。)
はてさて、イギリスに来る前から、住むところに困るであろうことは、十分に 予想されていました。そこで、人事の担当者に頼んで、住むところは見つけ てもらっていました。最初の2カ月は、勤務先の近所の人の家にホームスティする ことにし、その間に住む所を探して、引っ越すことにしたのです。
まずは、部屋探し。これがまた大変でした。
日本の場合は、不動産屋に出むいて、そこで家賃、設備、部屋の間取りとか をみて、これがいい!、となると、不動産屋にその場所まで連れていってもら い、下見をした上で、判断する、ということになるかと思います。 イギリスの場合、ある意味では、もっと簡単です。 (とはいっても、日本人にとっては十分面倒です)
基本的に、不動産屋(エステート・エージェンシィ)に電話をして、自分の希 望する間取り、家具付かどうか、月々の家賃、場所、などを相談して、良さそ うなところを決め、後日、下見する約束をして、下見し、それから、判断しま す。(引っ越した後もいろいろと手続きがあるのですが、ほとんどは、とりあ えず、電話をして、ということが多く、日本人にとっては、疲れます。)
しかしながら、イギリスの不動産屋は、総じて、賃貸の場合、不親切です。 まず、日本のような、間取り図のようなものは、全く持っていません。 こちらの人は、あまり、気にしないようで、分類も、1 bed room, 2 bed room というように、ベッドルームの数で、分類されています。
私が一番困ったのは、住所をいわれても、どんなところか、全くわからないこ とでした。こちらの人は、住所を聞くと、大体、あ、そこはやめておいた方が いい、とか、その場所でその家賃は高い、とか判断できるようですが、こちら に来たばかりの人間にとっては、全くわかりません。 また、賃貸・売買どちらも、決まるのがとても早いようで、新聞の広告を見て から電話しても、大体、もう既に決まってしまった、といわれるのがおちでし た。
それから、一番頭に来たのは、こちらが電話をして適当な物件がない時には、 見つかったらあとで電話をするから、といって連絡先を聞くのですが、あと から電話をもらったことは、一度もなかったことです。 私より一カ月位早く来て部屋探ししていた人も、同じだと言ってました。
実際に部屋を借りる段になって知ったのですが、こちらでは不動産屋の手数 料は非常に安いので、手間を掛けていられないのではないか、と想像してま す。(私が借りた場合も、手数料は、125 ポンド、約2万3千円です。) あるいは、6、7月で、そろそろ、夏休みをとる人が多かったからかも知れま せん。(本当のところは良くわかりませんけど)
後から聞いた話ですが、イギリスでも、サッチャー政権の時に、それまであっ た多くの規制を廃止し、国営企業を民営化するなどの政策をとったそ うです。(おそらく、それを見て、某首相が「民活」とかわけのわからんこと を言い出したのではないかと思います) 日本同様、不動産投資に走る人は出てくるもので、不動産価格は上昇したそう です。(日本ほど極端ではなかったようですが。) そのため、一般の人でも、自分が住んでいる家の他に家やフラット(アパート) を買ったりして、それを貸す、というような投資をしている人は、少なくない ようです。
もっとも、当然のことながら、日本同様、いわゆる、バブルがはじけたそうで、 住宅ローンで苦しんでいる人も少なくないとか聞きました。 同じ不動産屋でも、賃貸ではなく、このような住宅の売買を扱う業者は、かな り多く、土曜でも、営業しています。多分、それだけ、手数料が高いんだと思 いますけど。
以下、ちょっと聞いただけなので、間違っているかも知れませんが。
イギリスの場合、日本と大きく異なるのは、イギリスの土地というのは、基本 的に、王様(今は、エリザベス女王様ですが)のものだそうで、土地自体の売 り買いというのは、ない(できない)みたいです。従って、不動産取り引きと いっても、土地というより、住宅の取り引きあるいは、土地の使用権の取り引 きの様です。 先日返還された香港は、99年の租借、とかいうことでしたが、こちらでもそ のような取り引きはあるそうで、イギリス人からみると、それほど珍しくもな いようです。 また、住宅自体に関しても、壁の色とか外層をこうしなくてはならない、とか 様々な規制があるそうです。(煉瓦作りの家が多いのは、規制自体の影響があ るようです。)ただ、イギリスは、ほとんど地震が起きたことがないそうで、 日本の様な、建築方法自体に関しては、あまり、うるさくないようです。 (煉瓦を積んだだけでも十分、外壁になる。日本じゃ無理でしょう) 私がホームステイしていた家も、広いリビングルーム(多分20畳以上の広さ はあったと思う)にほとんど柱とか梁などの構造物は見られず、これで地震が 来たら大丈夫かな、という感じでした。
更に、ある程度古い由緒のあるような家は、法律により、その家をその状態で 維持管理する義務を負わされるとか。個人の物だから、どう処分してもいいと はいかないそうです。 それ以外にも、基本的にイギリス人は、古いものを大事にするようで、外見か らしても、かなり古い家は多いです。 あまり、住宅を壊して新たに建てる、ということはしないようで、古い家の手 入れをしながら暮らしている、というのが多いようです。
もっとも、同僚のドイツ人に言わせると、イギリスには、本当に古くて良いも のと、ただ古いだけのものがあるから注意しなくてはいけない、と言われま した。(もっとも、ただ古いだけのものが多いように思えますが。)
話がそれましたが、結局、私の場合、会社に定期的に送られてくる不動産案内 をみて、適当なところに、決めました。というか、ホームステイしていたとこ ろのおばさんが心配して、その不動産屋に電話して下見の予約をしてくれまし た。実は、私よりも先に下見の予約をしていた人がいたにもかかわらず、なお かつ、不動産屋さんの営業時間が終っていたのにも関わらず、無理矢理、その 人の前に、下見の予約に行くことに予約してしまいました。 (洋の東西を問わず、オバサンパワーというものは凄い、と感心した次第です。)
まあ、そのおかげで、現在、フラット(アパート)に住んでいます。 一軒屋に住んでも、家賃はそれほど変わらなかったりするのですが、一軒屋の 場合、大体庭がついている(これがまた、結構広い)ため、毎週、芝苅りをす るはめになりそうだったので、そういうことをしなくても良さそうな、フラッ ト(アパート)を選びました。
引越し自体は、家具付のフラットだったので、楽なのですが、面倒なのが、家 具その他フラットに付随する物品(インベントリィ)の確認です。 これは、何かというと、そのうちに何があったか、というのを入居前(前の住 人の出ていく時)に、確認する作業です。 非常に細かくて、スプーンが何個とかまでチェックします。 この作業に2時間以上かかりました。それが終了してから、鍵を受けとり、ようやく、おしまいです。
個人的な印象なのですが、イギリスでは、仕事が非常に細分化されており、それぞれの担当者が異なるようです。各担当者の仕事自体は、非常に能率的に行 なわれるのですが、それぞれのスケジュールの調整がうまく行かないと、時間 がかかることになります。
今回の引越しに関しても、フラットの下見の時に来てくれた人はその対応しか しないようですし、実際に契約する時の担当者、インベントリィの確認の担当者は、それぞれ、別の人です。自分の担当以外のことは、平気で知らないといいます。(というか、本当に知らないみたい) 実際に下見に行った時には、前の住人の荷物が残っていたのですが、この電子 レンジは付いているのか、といっても、知らない、との答でした。 (結局、電子レンジは前の住人のものでしたが) この様な状況は、私が働いているところでも同様で、質問しても、それは誰それに聞いてくれ、とかいうことが多くて、疲れることがあります。ただし、自分の担当範囲のことに関しては、詳しくて親切ですし、熱心にやってくれます。 その落差が激しいので、日本人にとっては、不親切の様に写る場合が多いと思います。
以下、次回に続く。