袴田勝浩さんの「イギリス暮らし(4)」(97・11・10)
11月最初の日曜、朝、ふと目を覚ましてカーテンを開けると、窓が真っ白で した。
寒さのあまり、窓の内側が曇っているんだと思って、指で窓を拭いてみると、 なんと、全く濡れません。そう、窓の内側ではなく、外が曇っていたのです。 どうも、寒さと、霧雨の影響で、外は、靄というか、霞がかかったような状態 でした。
う〜ん!さすがイギリス!と感動していましたが、一日中、こんな状態で、嫌 になってしまいました。
さて、もう、2ヶ月以上も前のことではありますが、引越しが終った後のこと を書いてみたいと思います。
夏といえば、当然、夏休みです。 イギリスでも当然義務教育はあるのですが、この教育制度が、イングランドと 北のスコットランドとでは異なっていたりと、一概にこうだ、とは言い切れな いようです。 また、これも学校によって、異なるようですが、大体、7月中旬(下旬) から、8月いっぱいは、夏休みになるようです。 (日本でも、地域によって、期間が違うのといっしょか?)
この時期、多くのイギリス人は、家族で旅行(バカンス)に行くために、夏休 みをとります。私の上司のイギリス人も、家族でスペインに2週間ほど行くか ら、といって、とある金曜の午後から、「あとはよろしく、何かあったら携帯 電話に連絡するように」とか言って、出かけてしまいました。
ちなみに、ヨーロッパでは、携帯電話は、GSMという方式により、ほとんど の地域に自分の携帯電話を持っていけば、そのまま使用できるようです。 アメリカや、アジアの一部でも、そのままで大丈夫なようです。 ただし、日本は駄目です。こういうのは、何とかして欲しい。
話がずれましたが、皆さん、会社(仕事)より、家族(生活)を大事にする社 会です。まあ、こういう時には、出発前にみんなでどこに行くのかとか聞いて あげて、"Enjoy your vacation !" とか言って、送り出してあげて、戻ってき たら、また半日くらい、みんなで、どこそこはどうだったとか話すのが、礼儀 というもののようです。(日本では、怒られそうですね) 当然ながら、この時期、休暇をとる人が多いため、会社の仕事は、かなり、滞 ります。私の勤務先でも、ビルの中の人が少なくなり、静かになりましたが、 あるシステムがおかしくなり、仕事が止まっている人がいました。 (担当者は、自分で家を建てている最中とかで、2ヶ月休んでいたらしい) また、人が少なくなるので、カフェテリアも、3週間くらい、営業時間を短縮 してしまいます。
有給休暇をとらなくとも、週末は、高速道路で郊外に向かう車で金曜の夜あた りから渋滞が始まり、日曜の夜は、逆方向の渋滞がある、という状況になりま す。あ、ちなみに、高速道路は、全て、ただです。 (日本みたいに高い通行料金をとる先進国なんてないと思います。)
しかし、そのような楽しかった夏休みも8月で終り、9月からは、ついに、新 学期が始まります。(ちょうど、その時に、悲劇が起きました。)
学校が始まってから気がついたのですが、イギリスでは、親が子供を学校に送 り迎えするのが、普通になっている、ということです。そのため、学校が始ま ると、近くの道路は、朝、子供を乗せてきた母親(あるいは父親)たちの車で いっぱいになります。また、家が近所の場合は、親が子供の手を引いて、歩いてき ます。(時には、下の子を乗せたベビーカーを押しながら)
日本の場合、学校の近くには、ほとんどの場合、歩道橋あるいは、押しボタン つきの横断舗道があるかと思いますが、こちらでは、そんなものはありません。 大体、信号機自体少ないですし、信号を守って横断する歩行者は、もっと少な いです。大体、皆さん、横断舗道があろうがなかろうが、自分の都合の良い所 を横断します。(車を運転している方は、ちょっと恐い)
が、しかし、日本で言うところの緑のオバサンみたいな人はいます。
日本の場合には、緑のオバサンというのは、大体、黄色い旗を持っていて、信 号に合わせて、子ども達が渡るのを確認する、というのが、ほとんどだと思い ます。 しかし、こちらの緑のオバサンは、そんな生やさしいものではありません。
もっと強力な、”止まれ”の道路標識のようなものを持っています。更に、蛍 光塗料で、ピカピカ光りそうな、緑っぽいコートのようなものを着ています。 道路を横断しようとする親子連れが来ると、はじめは舗道で、世間話をしてい るようですが、その親子連れが何組か溜ると、車の流れを見極めて、おもむろ に道路中央に歩み出て、そこで仁王立ちになり、”止まれ”の道路標識のよう なものを車に見えるように、持ちます。 そして、一般の車を、有無を言わさ ず、止めてしまいます。
アメリカのスクールバスには、車の前後に、信号の様なもの(赤と黄色の信号 機だった記憶しています。)がついていて、その信号機は、通常の信号機と同 じ意味を持っています。つまり、赤信号が点灯していると、通常の信号と同様、 対面する交通は止まる必要があります。(前後の車は進んじゃいけない) こちらの緑のおばさんには、それと同じ機能があるわけです。 同様の光景が学校が終った後にも、繰り広げられているらしいです。 (残念ながら、見たことがないので、違うかも知れません。)
この、緑のオバサンの法律的な根拠とか、資格とかは、全くわかりません。 しかしながら、はっきりいって、これは、交通の流れを妨げます。 (私が会社に行こうとする時に、ちょうど、やっているので、迷惑してます。) でもまあ、子供のことですから、誰も、文句は付けられないようです。
親が毎朝、子供を送っていくのは、大変ではないか?と日本の方は思われるで しょうが、こちらでは、普通です。なんといっても、家族が大事ですから。
これは、聞いた話ですが、イギリスには、12歳以下の子供が外出する際には、 親が同伴しなくてはならない、という法律があるそうです。 信じ難いのですが、本当かもしれません。いまだに、いろいろな、奇妙に思え る様な法律がたくさん、残っているようです。
今年の9月は、明けても暮れても、ダイアナ妃のことが話題になっていたよう に思います。(私の周りではそんなこともなかったのですが。) 9月末、日本の友人に頼まれて、追悼CDを買いにいったのですが、売り切れ でした。 10月になって、多少は落ち着いたようですが、いまだに、追悼のため、と思 われる本などは、出版されているようです。
いずれにせよ、10月になって、日が短くなるのが、日を追ってはっきりとわ かるようになり、秋も深まってゆくのでした。