岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(28)拳銃」(98・5・12)
新聞の写真に写ったタンポポの種と菜の花。日本にいた頃はよく川の土手で見つけ、親しみのある植物でしたが、カリフォルニアで暮らして以来、タンポポは芝生の大敵。菜の花は、この地の雑草で花粉症を引き起こすマスタードグラスにそっくりな為、どちらも春の終わりの頭痛の種となりました。カリフォルニアの天気は相変わらず不安定ですが、庭の柿もオレンジもリンゴも花が終わって実がつきはじめました。本来ならもう初夏の陽気なんですが?
今日はアメリカの生活の上で無視出来ない銃器のことについてちょっと書いてみます。日本では子供のナイフによる校内犯罪がアメリカでは銃による校内犯罪が問題になっています。長い歴史の中で銃器を持つことが個人の権利として認められるアメリカで銃器そのものを回収することや、所有を禁止することは困難なんですが、このシリコンバレーで暮らしてみると、意外にも銃器に全く縁が無いという家庭や個人は珍しくありません。治安そのものが比較的良好なこともありま すが、銃所有そのものを否定する人達も多くいます。
逆に、週末のスポーツ用品店の広告には毎週のように銃器の特価品の広告や玉の広告がテニスやスキー用品と同様に記載されています。スポーツ用品店の銃器コーナでは壁にライフルやショットガンが釣り竿の陳列の如く並び、手前のガラスケースにはレボルバー式からマガジン式、大小口径の違う拳銃が並んでいて、店員が拳銃を客の要求で陳列棚から取り出し、それを客が握って狙いを定めるような恰好で引き金をカチャカチャさせている様子を見ていると、この人は何の為に拳銃を買うのか?と私は恐怖を感じてしまうんですが、銃器のコーナーはいつも客で混んでいます。
拳銃そのものは新品で安いものなら250ドルぐらいから購入出来、材質やデザインでこれまた上はキリがないようです。中古品であれば100ドル前後で手に入る訳で、その場で本人が引き取れないという条件がカリフォルニアでは存在するだけで、現実は大人であれば正規にほとんど自由に購入出来ます。
どうも銃器も他のスポーツ同様、道具に凝るという性質があるようで、銃器ファンなる人達は大抵10種類以上の銃器を所有しています。数年前にある知り合い宅に招待されたのですが、彼はいわゆるサバイバリストの類で、ロシアがいつか本当にアメリカを攻めてくると信じているんです。そんな彼の家の中は綺麗に整理保管された銃器だらけ、50ー60種類は持っていました。中にはとても護身用とは思えない軍用の軽機関銃まであるのには驚きました。当然ながら相当量の実弾ケースも並んでいました。
まあ、米国に暮らす限り、銃の無い世界が来るとは思いませんが、時代を先どりするシリコンバレーの人間達の中に銃器と縁の無い生活をおくっている人が増えているもの事実です。