岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(29)株式投資」(98・5・24)
ちょうど今日から米国はメモリアルデーの3連休に入りました。このメモリアルデーの連休を夏のバケーションシーズンのスタートとする習慣のようです。まだ、学校の夏休みが始まる前なので、観光地は混んでいないし、ホテル等もまだ夏のシーズン前の料金なので割安と言う理由もあるようです。 金曜日の出張の帰りの飛行機便などは80%はビジネス客で無く、バケーション旅行と分かる乗客ばかりでした。
今日は最近のアメリカの株式投資について感じることをちょっと書いてみます。無論、感覚だけの話ですが。
こちらの会社内での社員の雑談では大抵、株の話が出てきます。何処の株はいくら上がったとか下がったとか今が買い時、売り時とか言う話です。一つの理由はシリコンバレーの企業の多くはベンチャー企業であって、採用時の条件としたり、ボーナスの一部として自社株がストックオプションとして割り当てられます。特に会社のスタートアップ時期に参加して3−4年間でその会社が事業としてある程度成功、株式公開に成功した場合、経営者で無くても、ちょっとした社員であれば手持ちの株が5−6千万円の価値になることは珍しくありません。また、経営者であれば持ち株価格が数億円から数十億円となります。
まあ、逆に事業が成功しない場合、その持ち株の価値もほとんど無くなり、空手形、もしくは紙屑となる訳です。現実には成功話よりもこちらの方が多いと思うのですが、転職する中で一生に何回かはこのラッキーなチャンスが巡ってくる可能性はあると思います。
このストックオプションのシステムによって経営者も従業員も会社が株公開に成功するように一生懸命働くし、会社も並みの給与と職能力に応じた多くのストックオプションを組み合わせた給与条件で優秀な人材を集めることが出来るというメリットがある訳です。逆に大企業で働く場合、このようなストックオプションは期待できない反面、会社倒産等によって仕事を失うようなリスクは少ないということになります。カリフォルニアの場合、ゴールドラッシュ時代の一旗揚げると云う山師的な感覚とフロンテイア的な精神が入り交じったせいか?大企業にこだわらず、ある程度仕事のキャリアを大手企業で積んだ後は、積極的にスタート アップ企業に参加するという人が多く、それが現実に世界に類の無いシリコンバレーの成長を作りあげている訳ですが。
また、アメリカ人の生活の中の蓄財と云う意味において株投資は重要なテーマです。昔から銀行預金よりも株式投資という考えの人達が多いようで、ホームファイナンシャルアドバイザー等も大抵、年齢が若ければ銀行預金よりも株式投資、 年齢が高まるに従って段階的に貯金へ移行していくことをすすめます。また、公的年金の基金や企業年金なども団体として昔から積極的に株式投資で資産を増やしています。それだけに個人も団体も投資家として投資先の企業の経営状態に対して非常に厳しい目で観察しており、そこの経営者の事業責任や報酬に対してクレームをつけたり、集団訴訟によって責任を追求することも多く発生します。外部の投資団体から無能な経営者と宣告される訳ですから経営者も必死、日本の馴れ合い経営とは結果的に大きな違いが出てくるのは当然だと思います。
話は逸れましたが、株投資はアメリカ人にとって預金以上に非常に重要な蓄財の手段となっています。個人的には預金が良いのか?株が良いのか?なんとも判断しにくいのですが、毎日会社に出かけると、今日も、上がった、下がったの話が聞こえてきます。