タレントショーでは、子供たちがご自慢の歌や踊りの披露をする。出演する23グループを、順番通りスムーズにステージに送るのが私の役目。小学校では年間を通して各種の行事がたくさんあるが、その行事運営はすべて子供たちの親のボランティアに任される。アメリカでは両親が働いている率が多いので、ボランティアができる人数にも限界があるから、あの行事、この行事とお馴染みのボランティアのお母さんが大活躍をする。今年のタレントショーの運営委員長はローラ・アラナティ。小学校の所在するこの街に会計事務所をご主人と経営している彼女は時間の融通がきく。出演を希望する子供たちを集めたり、練習、ドレスリハーサル、音響の確認、校長先生や各クラスの先生への徹底事項を配布したり、この人気のある行事のために何十時間も彼女は働いた。彼女を筆頭に陰で支えたボランティアは20人以上。私も、自分の出番までワイワイと騒ぎながらちっともおとなしくしてくれない子供たちを注意したり、出番寸前の子どもに「グッドラック」と激励したり、無事演じ終えた子どもに「とてもよかったよ」と誉めたり、全力投球であっという間に4時間が過ぎた。
無事、行事が大成功して校長先生が挨拶。その中で、貴重な時間を子どものために費やしてくれたボランティアの皆さんに感謝したいと、校長先生が私たちを、講堂の観客に紹介してくれた。ローラが涙をぬぐった。私も胸が熱くなった。こういう大きな行事を運営すると必ずいろいろな問題が生ずる。ローラは愚痴ひとつこぼさず、自分の仕事と今回の責任を精一杯やりきった。「大成功してよかったね。ステージクルーの仕事を応援してくれてありがとう。みんなでこうやって子供たちの喜びのために一生懸命働いた、チームワークの勝利が本当に嬉しい」と私の手を強く握った。
このほっと心温まる感覚は、私のアメリカに生きるひとつの醍醐味である。子どものために、また自分の住む地域のために一緒に行動して社会をよくしていこうと、それぞれ自覚した個人がこうして連帯して善の価値を生んだ事実。この感覚は経験者でなくてはわからないと思う。ボランティアといっても決して大袈裟なことではない。しかし、日本人が誰もいない中に自分を置いて、アメリカ人と同等に行動し対話し友情を深めていくことは勇気を要した。この勇気もまず、ひとつの経験を積むことからと、図書館のボランティアを週2時間、5年前から始めた。その他に美術館や、近隣の公園の清掃、自然保護運動など、これらのボランティアに参加して得た収穫はとても大きい。
ロスアンジェルス国際空港の玄関街ウェストチェスターに住んで11年。人口5万人。この街を愛し、友達をたくさん作りたい。深刻な社会問題を抱えながらも、多くの人が真剣に前向きに取り組んでいることは感動だ。高橋司市長が人間性尊重を掲げられ行動して下さっている大曲市出身を誇りに、懐かしい山々や雄物川をいつも心に描きながら、今日もがんばろう。
(本紙から=敦子・リーさんは大曲市の大曲西中から大曲高校を卒業。渡米11年、アメリカ市民となって2年目となっております)