敦子・リーさんの「真心・ふれあいロスアンジェルス(2)」(98・7・6)

  「お母さんが形式にこだわる気持ちはわかるけど、僕は僕と同じ価値観を持ち人柄のいい人をワイフに選びたいんだ」。イスラエルの片田舎からロスに移住して8年というユバルは、上機嫌で言った。家のカーペットのクリーニングに来てくれた折の会話である。自分の考えを堂々と述べ、仕事に一生懸命に取り組みながら将来の自分の人生の夢を語ったこの青年は、さわやかな印象を明確に残した。

  ロスは、90ヶ国以上の国の言葉が話されている人種のるつぼである。ちなみに私の日常生活でお世話になっている人たちはこんな具合。車の修理はスイスから来たロバート。お祝いごとの度に行くギフトショップはハンガリーから来たジョン。電気関係はロシアのキルギスから来たマイク、クリーニング屋さんは韓国ソウル出身のチョーさん、不動産屋はマカオから来たグレース。水道関係の修理はアメリカ人のボブ。庭師はメキシコから来て20年というロザリオ。みんなとてもいい人たちだ。

  東京に勤務していた頃、在日大使館関係の方々と接する機会が多く、国際儀礼の本を読み漁ったことがある。残念ながら、そのほとんどを今では忘れてしまったが、一つだけ忘れずにいることがあり、それがロス暮らしに大変役立っている。各国の挨拶言葉である。「こんにちわ」「ありがとう」「さようなら」この3つの表現だけで初対面の人と、グーンと心が近くなれるのが嬉しい。洗濯機が故障した時、始めてマイクが来てくれ修理を終えた際、「英語の他に何語を話すの?」と聞くと「ロシア語」と彼。帰り際に「ダスビダーナニャ(さようなら)」と言うと、あれほど無口で黙々と仕事をし、ニコリともしなかった彼が、満面の笑みで「ダスビダーナニャ」と答えてくれた。

  また、この夏8年ぶりに日本に行くのでアメリカ市民のパスポートを申請した時も、あまりに親切で丁寧な応対のパスポートエージェンシーのアジア系係官に「失礼ですが、アジア人ですか?」と聞くと、「韓国人です」と答えてくれた彼は、「ありがとう」と付け足してくれた。「カムサハムニダ」と私は連れの2人の子どもと一緒にお礼を述べた。カーペットをきれいにしてくれた、アメリカ人の彼女ができたばっかりのユバルに、「シャローム」と言って送った際、「僕は日本人が大好きなんだ」「また半年後仕事に呼んでよ」としっかり念を押された。

  私は、何語を話すかと聞かれると「二か国語、一地域」と言っている。一地域とは勿論、どこに行っても絶対忘れない秋田弁。渡米11年の間の、いろいろな失敗談をゲラゲラ笑って懐かしい友達と語りあうことを楽しみにしている。昨日は7月4日。アメリカの独立記念日で各地で花火が打ち上げられた。家族でマリナ・デル・レイの花火を見たが、「大曲の方が数段上だわ。去年は全国から50万人の人出があったとインタネットに出ていたのよ」と家族に自慢した。その大曲の花火を見れるのは、もう10数年ぶりのことだ。故郷が本当に懐かしい。