こちら編集室「友とするに」(98・11・5)

  友とするに悪き者7つありと「徒然草」に書いてある。一つには高くやんごとなき人。二つには若き人。三つには病なく身強き人。四つには酒を好む人。五つにはたけく勇める兵(つわもの)。六つには虚言(そらごと)する人。七つには欲深き人。と兼好法師は書く。

  そしてよき友三つあり。一つには物くるる友。二つには医師(くすし)。三つには知恵ある友と書く。なるほど身分の高い人とは付き合いづらい。しかし、若き人はなぜいけないのだろう。自分なら積極的に若い人との交際を求めたい。若い人の考えを聞くのは参考になることが多いからだ。だから、兼好法師は考えた。若い人と病なく身強き人は「人の心の痛みを知らない」とでも思ったのかもしれない。さらに酒を好む人との付き合いも遠慮したいと言うから、兼好法師はよほど「酒癖の悪い人」と出会ったのか。そして「たけく勇める兵」。これは分かる。勇める兵と付き合っていたら何が起きるか分かったものじゃない。ましてや兵(つわもの)たちが刀、槍を手に闊歩した時代だ。

  今だって酒を飲んでは「威張る」「吠える」「怒鳴る」ような人と付き合っていたら何をされるか分かったもんじゃない。ましてや最近は車のクラクションを鳴らしただけで殺されるという物騒な時代だ。「たけく勇める兵」との付き合いは遠慮しよう。

  友とするに悪き者の六つめの嘘をつく人は自分も真っ平だ。欲深き人もなおさらだ。幸いにして友とする人に戯言を吐き、欲深き人はいない。そしてよき友三つありの最初に登場する「物くるる人」も残念ながらいない。いたら大事にするのだが。まあ、働いている限り、他人から「物をもらって」もいいことは何一つないことも確かだが・・。しかし、昔も今も人の願いは変わらないものだ。体具合を遠慮なく相談できるお医者さんが友にいたら心強いのも確かだ。

  昨日4日夜の講演で出会った秋田赤十字病院の医師・工藤進英さんはその一人だと思った。大腸がんの診断技術では世界のトップレベルを行っていて、毎週のように全国、世界各地から講演を頼まれて歩いているという。それでいながら話を聞いているといわゆる町医者の感覚で気さくに相談に応じている。このような人を友にもったら安心だろうと講話を聞きながら思った。

  兼好法師が友として求めた「知恵あるもの」。これもほどほどにしたい。悪知恵ということもあるからだ。幸いにして悪知恵を働かせる友もいない。

  自惚れとなるが、現代ではよき友として求めたい職業に新聞記者も入ると言う友がいた。なぜ?と首を傾げたくなったが、「何かあったときに相談に乗ってもらえるからだ」と言う。その相談が来た。何事かと話に乗ったら役所のことだった。詳細は避けるが、何度掛け合っても「係がいないから」「担当者が変わってしまった」と役所内をそれこそたらい回しにされたというのだ。話を聞いてみると確かに役所の側に落ち度がある。そのために仕事にまで支障を来しているのだ。間違いを証拠づける書類まであるからこれは黙っていられないと立ち上がった。「動くからには新聞にも書くことになるのだが」と言ったら、「いや。そんなに大げさにはしたくない。相手にだって立場があるだろう。ミスだったことを認めてくれればいい」と友は言う。

  証拠書類を手にトップに直談判した。「知らなかった。これは確かにこっちが悪い。すぐ担当課に連絡して善処させてもらいたい」と頭を下げた。間もなく友は役所から呼び出しを受けた。たらい回しにされ、こじれにこじれた話は一挙に解決に向かった。「いや持つべきは新聞記者という友だ」と頭を下げた。そんなに恐縮されるほどのことをしたつもりはないが、友人の悩みのタネが片づいたから良かった。

  知人のライターから「仕事がなくて困った。生活がかかっているのに」と嘆きのメールが来た。助けてやりたくてもどうしようもない。仙台市に現在、住んでいるのだが「フリーのライター」では食えるはずがないと思っていたが、相当、追い詰められているようだ。ライターとしての道をあきらめ、他の職業に就こうと職安にも通っているらしいが、この不景気である。「自分と同じ失業者が職安でウロウロしてる」との嘆きのメールが胸を痛めた。困ってしまい、このインターネット新聞を通じて知り合った河北新報社のT氏に電話をかけた。「タウン誌は仙台にもあるので積極的に聞いてみましょう」と明るい声が返ってきた。久しぶりに聞いた声がとても嬉しかった。感情のこもった声にとても温かい友情を感じた。いい友が仙台にいると心強く思った。

  昨日、大曲市角間川町出身で東京で仕事をされている読者が「仕事の関係で」と故郷に寄ったついでに顔を出してくれた。コーヒーを飲みながらいろんな話をしたが、話を通じて分かるのは自分の新聞を本当に隅から隅まで目を通して下さっているということだった。50代後半の方である。「マレーシアの柳千賀子さんの体験記、あの方のエッセーも面白いですね。なんか読んでいて気持ちが明るくなります」と言う。嬉しかった。読者が折角、書いて送って下さるエッセーだ。どなたかが褒めてくれれば自分のことのように嬉しい。温かい読者は自分の良き友である。

  おばこネットが昨日から「初雪予想プレゼント企画」を始めた。県南日々新聞の応援企画でもあるらしい。応募者の動向によって県南日々の読者層や読者数も判明し、これからの広告活動にも役立つと立案者は言う。ここにも温かい友がいる。そしてその企画を見て早速、応募してくれた静岡県の長谷川雅美さんもいる。良き友に支えられて明日も頑張ろう。