こちら編集室「星の世界」(11月18日)

  いつからだろうか。毎朝の日課のように秋田市の主婦・高杉静子さんが運営している「あきたNWES」に目を通している。97年4月24日にホームページを立ち上げ、アクセス数は間もなく2万件に達しようとしている。主婦の目で捉えた秋田県内の話題をほぼ毎日のようにダイエットサイズのニュースにまとめ、更新する器用さとうまさに感心する。表紙を飾る写真もまたいい。

  その「あきたNWES」の今朝(18日)の掲示板「ゲストブック」での高杉さんと長谷川さんの言葉のやりとりが面白い。と同時にお二人の「見よう」とする行動力とそのエネルギーの豊穣さに感心した。「しし座流星群」をめぐってである。

  午前0時52分。まずshizukoさんが「星みたいなあ」の題名で書き込む。「秋田は今日一日雨と風。雨はやんだかしらん。風は相変わらず吹いてます。3時過ぎたら二階の窓からのぞいて見ます。天候回復はあまり期待できないけれど長谷川さんが見てくれると思うとちょっとホッとします」。

  これを受けて長谷川さんが午前2時31分に「まだ見えないなあ」と書き込む。「午前2時半です。やっぱり起きてます。寝たら起きれそうにないから。北斗七星やカシオペアなどは見えますが流星はまだ・・・。今、毛布をかぶって外に出たんですが、1、2分ですかね。寒くて外なんかにいられません。流星と言っても外に出ればいつでも流れてくるというのではなく、やっぱり待たなくてはだめでしょうね」と。

  お二人とも本紙の熱心な読者で、今年になって何度かお会いした。一緒にお酒を飲んだこともある。高杉さんはホームページからもうかがえるように知的女性である。長谷川雅美さんは静岡県焼津市の読者。この秋には横手市の「秋田ふるさと村」で再びお会いしたが、その時に「私が演奏したギターを聞いて」とCDレコーダーのイヤホンを渡され、耳にしたがまるでプロ並みの演奏力に驚いた。

  そして流星群をめぐっての二人の会話は続く。午前3時7分。「ねむい!」の題名でshizukoさんは書き込む。「眠くて、こうしてパソコンの前に座っていてもまぶたがさがってきてしまう。マッチ棒でつっかえ棒をして置かなくてはいけない。こちらはすこーしだけ雲が切れているところがあるという状態です」。さらに午前4時6分。「秋田は曇り」の題名で「雲が多くて星は見えません。長谷川さん、かわりに見ておいて明日話を聞かせてね。おやすみなさい」で終わる。

  とにかく流星群を見ようと午前4時過ぎまで高杉さんは徹夜で起きていたのである。それでも見られなかった。かわいそうに。

  一方の長谷川さんは午前7時53分に「みましたよ、shizukoさん」の呼びかけで「しし座流星群」の報告だ。「ここに書き込んでから(午前2時半に『まだみえないなあ』と書き込んでからのことだろう)、車で田んぼの真ん中に行って見てきました。スッ、またスッ。ワクワクしてしまいました」と報告する。「スッ、またスッ」。これがいい。まさに流星群の流れが目に浮かんでくるようだ。

  書き込みは続く。「急いで家に戻って、子どもたちをたたき起こして車に乗せました。いい記念です。ここでは、東側は海です。車が海に向かってたくさん走っていきました。4時過ぎになると子もどの姿もたくさんありました」とあるから、流星群を見ようと多くの人が車をだして海岸に向かったのだろう。

  さらに「私が海に行かなかったのは、人込みの中で見たくなったことと寒いので車の中から見たかったからなんですが、最後は結局車を下りてボンネットの上に体を乗せて天を見上げました。4時過ぎると雲が広がってきましたから、3時ごろは大正解でした」とある。

  長谷川さんは夜空をさん然と輝きながら突っ切るように流れる流星群を子どもたちと一緒になって眺めたようだ。その姿が目に浮かんでくる。「人込みの中で見たくなかった」と長谷川さん。きっと流れ星の美しさを自分一人のものとして見たかったのだろう。分かる。長谷川さんのその気持ちも。春と夏、そして秋にもお会いしたが、いつも朗らかでとっても明るい元気なご婦人という印象だったが、「私のギターを聞いて」とCDレコーダーを渡され、長谷川さんの演奏した曲を聴いていた時、ふと見せた寂しそうな表情。あんなに元気な人なのに心のどこかには寂しさやロマンチックな少女の面影を残しているんだと思った。そのシャイな面が「人込みの中で見たくなかった」にもなったのだろう。

  そして午前10時16分。今度は佐賀県のankouさんが「あきたNWES」のゲストブックに登場する。「午前4時に起きるため、お酒も3合くらいに控えめにして、目覚ましでちゃんと起きましたが、残念ながら薄い雲で星のかけらも見えませんでした。静岡では見えたのですね。子どもたちよかったね。家では娘が30数年前を覚えていないなんておかしいと私を責めますが、当時は今のような情報に乏しかったんですよねえ」とぼやきながら書き込んでいる。

  朝4時まで頑張ったshizukoさんはこの時間は眠りの世界だったろう。書き込みはまだない。それにしても「しし座流星群」を見ようと全国の数えきれない人たちが意地らしいほどの努力をしていたんだ。「星の世界」に思いを馳せて・・・。その間、自分はさっさと酒を飲んで眠りに入った。情けない。

  話は変わるが、先週の土曜日(14日)、マレーシアの柳千賀子さんとお会いした。「マレーシア体験記」の千賀子さんである。実家が平鹿郡十文字町で「里帰りしたらお会いしたい」とのメールがあって、携帯電話の番号を知らせておいた。その電話がなった。初めて聞く声。当初は聞き取れず「???」の連続だったが「千賀子です」の声に思わず「ああ。千賀ちゃん」と叫んでしまった。「そうですー」。向こうも嬉しそうに声を弾ませた。もう仕事も何もかも投げ出して十文字町へ車を走らせることにした。家が分からないため困ったが、父親が電話に出て「十文字町のインターチェンジまで娘を送ります」と言ってくれた。

  これまでの柳さんの文体から「かわいい人柄」を感じていたが、まさにその通りだった。明るい大きな目をしていた。初めての対面なのにもうずーっと前からの知り合いのように自然に会話が弾んだ。湯沢市に行って食事をし、コーヒーを飲んでから大曲市の「県立農業科学館」や「山の手ホテル」を案内した。話題は事欠かなかった。長谷川さんや高杉さん、そしてアメリカの岩間さんの名前も千賀ちゃんの口から飛び出した。「私の友だちの友だちがね」。千賀ちゃんの口癖だ。「県南日々の表紙を見ていると秋田の草の匂いも感じられるから好き」とも言った。

  千賀ちゃんと話をしていてつくづく思ったのは県南日々に登場する読者の名は千賀ちゃんにとっても自分にとっても一つの温かいファミリーなんだと。クアラルンプール。暖かい南の国から久しぶりに帰国した千賀ちゃんは「寒い。寒い」と悲鳴を上げていたが、今ごろは温かいご両親のもとで故郷の温かさにひたっていることだろう。「来年は厄年。来年夏にも来るから今度はゴルフに付き合って」とはしゃいだ。千賀ちゃん。マレーシアであんまり腕を磨かないでほしいよ。

  こうして思いを馳せていたら、雪が舞った。初雪である。読者の皆さん。この県南日々の表紙を飾った初雪の日が「おばこネット」の「初雪予想プレゼント企画」の正解になります。どうぞこの日にちをプレゼント企画に書き込んで応募して下さい。