岩間郁夫さんの「アメリカ暮らし(35)感謝祭」(98・11・22)

  金曜日の夜遅くカナダと東海岸の出張から戻ってきました。今回に出張は現地でのスケジュールが変わってしまい、まだ一度も足を踏み入れたことが無かった東部ではもっとも北にあるメイン州に立ち寄ることが出来ました。メイン州は車のナンバープレートの中に赤いエビの絵が印刷されている如く、有名なメインロブスターと呼ばれる大きなエビの産地で、メインに来たら必ずこのロブスターを食べろと云われるぐらいアメリカ人には知られています。このロブスターと比べると伊勢エビは非常に貧弱に感じられ、一匹の爪としっぽの身を食べれば大抵の大人は食べたという満足感に浸れるボリュームがあります。これを塩ゆでにして、融けたレモンバターをちょっと付け、フォークもナイフも使わずに手掴みで、かぶりつくというのが標準的なスタイルです。それでもレストランでの値段は精々20ドルぐらいですから、やはり食べ物が安い国です。

  さて、今日は22日の週に来るサンクスギビング(感謝祭)のことを少し書いてみます。私は歴史的な背景は良く知らないのですが、昔、子供から聞いた話ではメイフラワーに乗ってアメリカに入植した人達が、食料の確保で苦労していた時に現地で暮らしていたインデイアンからトウモロコシの栽培法を習い、その最初の収穫のあった年の秋に、感謝の為に野生の七面鳥を料理して、インデイアンを招待、一緒に収穫を祝ったとか?云う話で、それが、やがて祝日になったと聞きました。ただ、今は収穫祭という性質で無く、むしろ、遠隔地で暮らす家族が元気に再会し、七面鳥料理で会食をするような習慣に変わってきています。何処でも家族の長となるおじいさん、おばあさんは子供や孫が訪ねてくるのを楽しみに七面鳥をグリルで焼いて食事の準備をする訳です。ちょうどこの週は日本で云うと帰省ラッシュのようなもので、米国内の空港は移動する人達で、何処も大変混雑し、毎年、最も乗降客数の多い日となります。また、せっかく家族が顔を合わせる機会ですから、この時にクリスマスプレゼントを届けたり、受け取る人もけっこういるようです。そして、サンクスギビングが終わると一斉にジングルベルの音楽が町角から聞こえ始め、クリスマスへ一目散と云うことになります。

  ただ、この楽しいサンクスギビングにも悩みが一つあります。大抵の家は七面鳥を丸ごと焼くわけなんですが、一匹分を夕食で食べきってしまう家族は非常に希で皆、残った肉を冷蔵庫に入れて、翌日の昼のサンドイッチに挟んだり、夕食用に暖め直したりするんですが、所詮はこの肉は淡白な味ですから、すぐに飽きてしまいます。それで、次の週には家族全員がこの肉にうんざり!と云うのも本当です。