・変わりゆく弁護士像ー法曹は庶民に近づくか(連載第3回)=3月19日=
フリーランスライター
酒井隼男
3、弁護士の日常
ここで十河の典型的な1日を再現してみると・・・
7時 起床、家族と朝食をとる
9時半 事務所に到着、電話の受信簿をチェックし必要な人には電話連絡
10時 裁判所に出かける こちらの弁論書を届けるとともに相手の文書を受け取る。
(このとき公判もしくは口頭弁論があれば午前一杯つぶれる)
10時半 事務所に戻り依頼者と打ち合わせ
12時 昼食がてら雑務をこなす
1時 再び裁判所へ、調停が入る場合もある
3時 事務所に戻り依頼人との打ち合わせ、電話応対、FAXでの連絡など所内での仕事
に費やす
6時 弁護団の勉強会や学習会、十河の所属する医療過誤研究会の会合など
8時半 帰宅後夕食、休憩、入浴
11時 訴状、弁論書の準備、資料の読み込みなど
1時 就寝
十河の手帳は、土日休日関係なくスケジュールでぎっしりと埋まっている。彼はさらに、弁護士会の「消費者問題特別対策委員会」幹事や広報宣伝係、司法修習問題委員会など5つの委員会に所属しており、毎月1回は昼食を取りながらの会議があって、昼、事務所にいないことも珍しくない。そして土曜は法廷こそないが、残務の処理と弁護士会野球部の練習が入りめったに休むことはない。日曜に何とかホッとする時間が訪れる程度で、そのわずかなやすらぎですらくつがえることも度々だ。
気になる収入はいくらぐらいになるだろう。「う〜ん、まあ、同期の生保に入った友だちとどっこいどっこいですかね」と“期待”を裏切るような回答が返ってきた。
弁護士は医者や大企業社長と並ぶ高収入を得られる職業と誰もが思っているからだ。そんな“意外性”を裏付ける調査結果がある。1990年に日弁連が調べたところ、弁護士の平均年収はイソ弁が755万円、独立開業して1330万円、何人かのイソ弁を置くボス弁でようやく3280万円ほどになる。年収1億円などというのはよっぽどの敏腕か、悪徳しかいないのである。
「結局弁護士なんて自分の動ける範囲で稼ぐしかないですから、まあ動ける時間は一生懸命働くつもりでいます」。十河は何者にも拘束されない、自分の処分権で仕事を制御できるこの職業に大きな満足を覚えている。つまりそれは、自分の人生を自分の考えで作り上げられる“自由業”=弁護士ならではの特権だからである。
筆者のプロフィール=1958年岩手県生まれ、40歳。1981年大学卒業後、大学生協職員。1995年家業を手伝うため岩手に戻る。家業のかたわら、1996年から岩手の前沢町、衣川村を発行エリアとする「胆南新報」の記者。その後フリーランスライターを経て現在は業界紙の記者。
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