アメリカの町 (コロラド州デュランゴ)

岩間郁夫さんからのリポート(99・6・14)

 

 デュランゴに行って来る!等と言ってもほとんどのアメリカ人は何処へ?と首を傾げてしまう。

 西海岸のサンフランシスコから東へロッキー山脈で知られるコロラド州の州都デンバーまで飛行機で2時間、そこから小型プロペラ機に乗り換えて南西に1時間半。この町はそんな所にある。主要な拠点を結ぶハイウエーも鉄道も通過しない。車で州都のデンバーまでは7時間ほどかかると云う。日本で云うならば陸の孤島的な町かもしれない。

 その昔はゴールドラッシュで栄えた時期もあったようだが、今は山の中にひっそりとたたずむ西部の町の臭いを強く感じさせる町である。

 

 この町には1880年代に金銀の鉱石運搬を目的に建設された狭軌鉄道の路線の一部が残っていて、72キロ離れた隣町のシルバートンまで蒸気機関車に引かれた観光列車が走っている。蒸気機関車は1900年始めの製造、客車は1880年代の製造と云うアンテイックな揃いであり、サンワン国有林の原生林の中を川沿いに走る雄大な景色の魅力から全米の鉄道マニアを引きつけ、今はヨーロッパからの観光客も目立つと言う。

 普段の生活の中で鉄道などに興味を示さないこの国の人達は鉄道を過去の郷愁を感じさせる乗り物と考えているようだ。

 町はこの鉄道の観光化を核に、夏はハイキング、フィッシング、マウンテンバイク、カヌーにロッククライミング。冬はスキー等、アウトドアスポーツに憧れるアメリカ人の心を掴んで、静かな観光町として復活した。

 

 デュランゴの駅まで真っ直ぐにつながるメインストリートは西部劇に出てくる町をちょっとモダンにした感じで、田舎町にも
関わらずあか抜けた土産物店やブテイックやレストランが並ぶ。あの西部劇の映画で見られるようなよそ者が酒場に立ち寄った時に店内の客が冷たい視線を浴びせるような雰囲気は無論ない。

見知らぬ人が通りで気持ちよくハイ!と声を掛け合う良さがこの町にはある。

 宿泊したホテルはゴールドラッシュ時代の1887年創業の看板が掛かっていた。赤レンガ4階作りで白セメントで縁取りをしたなかなか堂々としたもので親子3代にわたり経営を続けてきていると云う。部屋の家具類もほとんどが当時のものらしく、都会のモダンなホテルとはまた違った良さと興味を感じさせてくれる。それでもちゃんと電話にはインターネットに繋げるポートが用意されていて、部屋で仕事をしても不自由はない。

 

 このような町にもハイテックの企業が存在している。

 技術者の多くはボストンやニューヨーク、ロスアンジェルスやサンフランシスコ等の大きな町から移ってきた人達で、地元出身者はほとんどいないと言う。いわば都会の中から一気に田舎に引っ込んでしまったような感じだが、皆、この町の暮らしに満足しているようだ。彼らに言わせると、総合的な生活の質の高さにあるらしい。無論、同じような仕事に就いても給料は安い。しかし、ここでは生活費も安いし広い土地に囲まれ、家族と動物と暮らす生活は都会では味わえないと言う。また、通勤ラッシュを経験することもない。

 でもインターネットに支えられた世界である限り情報で孤立することは無いと言う。自分に同じことが出来るかどうか分からない。でも、この町にいると彼らの考えが分かるような気がした。  

 そんなことを仕事に合間に考え、2日間滞在したデュランゴの町を後にした。

 

岩間@サンノゼ