「この人たち、まずボケないな」「何たるこのパワー」。80歳にそろそろ届くという老夫婦に会った私の印象だ。近所に住む友人、グレッグの両親が3週間ロスに滞在中である。ニューヨークの郊外の自宅を出たのが7月10日。大型のバン(ベットもついてるキャンピング用)を借り切って、各州に住む4人の子どもやその孫たち、また親戚などを訪ねまわっての、東海岸からのアメリカ大陸横断である。最終地が長男の住む西海岸のロスアンジェルスなわけだ。
昨日、今はロスの名所となったゲッティ美術館に案内をした。「主人はラスベガスでしっかり稼いだから(ギャンブルで)ご満悦だけど、私は退屈でしょうがなかったのよ。だって私何やっても勝てないんだから。だからロスでは私がしっかり楽しまなくっちゃ」とは母親フリーダの、3週間にかける意気込みである。孫娘とショッピングやらサーカスやら予定がたっぷり。ゴルフ三昧のご主人はホットケという感じだ。美術館の中も颯爽と歩き豪快に喋り、日本の一般的な80歳のシットリおばあさん方とは違う。特に、疲れて暗いジットリ中年男性群とはドエライ差なのである。
こういうアメリカの老人パワーを目の前にすると、人生は精一杯楽しむもの。一生懸命に働いて、一生懸命に遊ぶ。自分は何がしたくて、何がしたくないかをはっきり表現し、自分の人生を謳歌している醍醐味を感じさせられる。いいなあと思うのである。何とも明るいのがたまらない。また彼らの恋愛感というか人生の伴侶に対する姿勢も、これまた素敵。
夫婦で長寿を全うできたら本当にラッキーだが、どちらかが先立った場合、または60歳すぎてからの離婚などスタイルは様々な独身シルバー。「残された人生を、良きバートナーと過ごしたい」と非常にオープン。親しくなった60歳や70歳を過ぎてゲッティ美術館でボランティアをしている独身の婦人方はたくさんいるが、「ボーイフレンドはいますか?」と私が聞いても嫌な顔ひとつ見せない。「3年前理想的な彼とめぐり合ってこの夏はアラスカにクルーズに行くの」とハッピーな67歳のダイアナ。「主人が亡くなって5年。もうそろそろボーイフレンドがほしいけどまだよ。」とは74歳のアイリーン。但しこうして年齢を打ち明けてくれる御婦人は少ない。
こちら結婚12年。大海のように広い心の主人に大満足・大感謝である。アメリカの大きさ、多様さの価値観を学びながらの12年。恥じをかき失敗続きでもここまで堂々生きてきた。6月の長男の小学校卒業を渡米12年のひと区切りに、家族をロスにおいて、日本に一人旅。正味5日間の東京滞在。もとの職場の同僚や親しかった友達と喋り、食べ、飲みしただけだが、目的達成。すっきりリフレッシュして、自分が今どこにいるのか足元を見定めて、アメリカの自分の人生第2部がスタートした。自己演出も大事な自己表現。人生ワクワクしなくっちゃ。